MMA
インタビュー

【UFC】中村倫也「大きな衝撃を残したい」=8月26日(土)UFC本戦デビュー

2023/08/26 07:08
【UFC】中村倫也「大きな衝撃を残したい」=8月26日(土)UFC本戦デビュー

中村倫也が刀を鞘から抜くときが来た。(C)ゴング格闘技

 2023年8月26日(土)18時から、シンガポール・カランのシンガポール・インドアスタジアムで開催される『UFC Fight Night: Holloway vs. Korean Zombie』にて、レスリングU-23世界選手権金メダリストでMMA7戦無敗の中村倫也(フリー)がUFC本戦デビューを迎える。

 米国のファーニー・ガルシア(10勝3敗)と対戦する中村のインタビューが同大会を配信するU-NEXTを通じて届いた。

 会見で中村は、デビュー戦でいきなりメインカード入りしたことについて、「色々な意味でモチベーションが上がります。絶対に届けられるものってあると思うんで。それぐらい今回も自分と向き合って作ってきました。集中力や一歩踏み出す勇気とか、いつも応援していただいているものを、試合で返していけたらと思ってます」と語り、対戦相手のファーニー・ガルシアが13戦10勝3敗中、一度もフィニュシュされていないことについても、「タフなファイターですが、彼をフィニュシュする最初のファイターが自分になりたいです」と自信を見せている。

 また、8月19日にショーン・オマリーがアルジャメイン・スターリングを2R TKOに下して戴冠したことを受けて、「すごいチャンピオンが生まれたなと思っています。自分が対戦するまで防衛してほしいと思っています。そこに辿り着くのは? 2年から3年くらいかなと思っています。いま28歳で、年齢を重ねるごとに強くなっているように感じますので、自分のピークは32歳、33歳頃になると思いますので楽しみにして頂けたらと思います」と、バンタム級での今後についても語っていた。

 なお、翌日の27日(日)には、中村が昨年勝ち上がった『ROAD TO UFC』の シーズン2 準決勝も同地にて連続開催され、日本からはフライ級で鶴屋怜(vs.マーク・クリマコ)、バンタム級で上久保周哉(vs.シャオ・ロン)、フェザー級で神田コウヤ(vs.リー・カイウェン)、ライト級で原口伸(vs.バテボラティ・バハテボラ)、の4選手が準決勝を戦う。

 中村との一問一答全文は以下の通りだ(※中村倫也×鶴屋怜)。

情熱と冷静さと、いい意味で楽しんでいきたい

──シンガポールでの試合の印象は?

「21日の夜に入って、去年1回『ROAD TO UFC』(※RTU)で経験していて、会場も同じっていうことなので、ちょっと慣れはあるのかなっていう感じですね。あとUFCのこういうイベントの前の準備とかも3回やってるんで、慣れてきたなあっていう感じです。いちいちアガることもなく、減量も順調でした」

──とはいえ、デビュー戦ということで、意識する部分はありますか。

「会場着いちゃったら未知の世界待ってますよね? ハハハ!(笑)どれくらいお客さん入りますかね?」

──フルキャパで1万5千人だそうです。

「おおおっ(笑)。まあでも、その辺もちゃんと、難しいですけどシミュレーションして、心がざわつくことがないように当日は仕上げていこうと思ってます」

──デビュー戦で初めて有観客の試合となります。

「去年の1回戦が同じ会場で、200~300人くらいは人がいたと思いますが、相手がインドネシアの選手だったので、みんな向こう寄りだったんですよ。で、向こうが出すパンチとかに『ワーッ』となってて。その人数でも“あ、沸くんだ”と思って、“そんなパンチ入ってないけど、何沸いてんの?”みたいな。ちょっとプチってなってるじゃん、みたいな(笑)。後から思い返したら、そっちにちょっと意識を持っていかれてしまって。だからやっぱりいない方がやりやすいのかなと思うけど(笑)、そんなことは言っていられないので、慣れるためにも今回一発目で、いいテストになると思っています

──では、自分への応援が大きい分には、特にそれがプレッシャーになったりすることは?

「絶対ないです!」

──中村選手は現在所属がフリーということですが、今回のセコンド陣は?

「髙谷裕之さんと、レスリングを一緒にやっている河名マスト選手、あとは後輩の鈴木崇矢選手ですね」

──今回は山本アーセン選手は帯同せずですか?

「アーセンも試合があるということで、『一回、今回はお互いのために集中しよう』ということになりました」

──それぞれの皆さんが具体的にどんな形で支えになってくれていますか。

「高谷さんは、後ろについてくれていると、自分的には(敬礼して)“ボス! 死にに行ってきます!”みたいな、特攻隊みたいな気分になれるし、それは多分、高谷さんが現役を通して本当に死に物狂いでやってきたからそういう雰囲気が出てるから、自分もそういう気分になれるんだと思うし、やっぱり高谷さんは、技術とか戦術面もそうですけど、そういうあの人の格闘技もそうであるし、彼の存在っていうのも僕にとってすごく大きいです。マストはもうずっと小学校の時から試合して、大学から7年間一緒に生活して、練習してきたので、僕のことをよく知ってるし、落ち着かせてくれる存在っていうのでお願いしています。で、鈴木君は僕の後輩として、今後UFCに出て行く選手だと思うので『見ておきなよ』と」

──その場の空気を吸っていることは違いますか?

「あっ、絶対的に違うと思います。はい、頭で理解するのと身体は別だと思ってるので。頭で分かっていても、身体が初めてのことで震えちゃったりする。それも頭で震えているんだろうと思うかもしれないけど、違うんです、全く別物なので体験するっていうのは本当に大事だと思います」

──その点で、UFCを目指す選手としてはRTUに出場することはトーナメントを勝ち上がらなくてはいけないという大変さがある一方で、優勝するまで3回UFCのオクタゴンに立つことができる。それも、今回メインイベントに出場するにあたって違いがあるでしょうか。

「全然違います。マジで(RTUを)『やっておいてよかったな』と思います。ケージのサイズも違うし、やっぱり一発目は“すごい広い!”と思ってその気持ちのまま準決勝に行ったら、“あれ?思ってたより小さいぞ”という気分になったり。そういうサイズ感に慣れていけたし、結構UFCって、レフェリーが入ってくるとすぐ始まるんです。“わ! もう始まった!”みたいなのも1回戦ではあったし。“あれ!? もう3回ぐらい四股踏みたかったのに!”みたいなこともありましたし(笑)。その辺の準備とかも全部できて、よかったですね」

──今回は、最後はどう試合に向けて調整を?

「最後はこの自分が持って情熱と冷静さと、あとは、いい意味で楽しんでいきたいという、この3つを高いレベルで自分の中で持って、試合のケージに入りたいと思っているので、その3つをうまい具合に高めていく、という感じです。テンションは勝手に上がるんで、どんだけ落ち着ける自分がいるかっていう部分をこの3日でしっかり上げていかないといけないかなと思っています」

──具体的に、どういうことをするのでしょう。

「どちらかというとテンション上がるじゃないですか。なので、瞑想などをして落ち着いている自分のレベルもどんどん高めていき、そういう時間を増やしていってGO! と言う感じです」

──では、今回のデビュー戦は、ベストバージョンの倫也選手が見られそうですね。

「お客さんに重心浮かされちゃうかもしれないですけどね……(笑)」

──マックス・ホロウェイがメインの大会で、有観客の公開計量(※135ポンド/61.2kgでパス)もあります。

「パフォーマンスを出そうっていうのはあるんですけど、UFCのYouTube動画に出していただいたり、試合もメインカードに置いていただいたりしてるんで、“フィニッシュしたい!”という欲も出てきてるんで、その辺の自分もうまくコントロールしながら迎えます」

──「フィニッシュ欲をコントロールする」というのは、しっかりフルラウンドを使う想定もしている、ということでしょうか。

「勝ちにこだわることは、第1の目標として絶対的に置かなきゃいけないところで、やっぱそういう“フィニッシュしたい”とか“これ当てたい”とかっていうこだわりが命を落とす競技なので。その辺は柔軟に柔軟に、その場その場でやった結果、フィニッシュになるっていうのが今までなので、今回もその通りにして行きたいです。でも、何か、そこからさらにはみ出る欲っていうのが、今回すごく自分の中にあるんだなって、ちょいちょい思いますね。でも、もうここからはイージーファイトは絶対ない、ということは分かっています」

──今回の対戦相手ファーニー・ガルシアの印象は?

「元銀行員とかなのですよね、だから多分賢さもあって、顔は優しそうで、何かこう……“すごいいい奴なんだろうな”と思うんですけど。やっぱりメキシカンですから、メキシコは勢いのある国だし、パンチもあるし、メキシカンボクシングで下がりながらタン、タン、タン、タン、タンと打てる選手です。だから変に突っ込まないというか、“行ける”と思った時にまっすぐ入らないで、ちゃんと横に角度切りながら、内側に入っていくという、ちゃんとMMAをして幅のある戦いをしたいと思っています」

──ガルシア対策として、特別に取り組んできたことはありますか。

「毎回相手の特徴とか見て、頭の中でどうやってフィニッシュして行くか、シュミレーションを何回も何回もやっていくので、今回もいろんなフィニッシュ方法が頭の中に入ってます」

──では、相手にかかわらず自分自身の中で取り組んできたことは?

「まあ、そうですね……日常で人に優しくするように心がけました! 強いのは当たり前なんであとは優しいファイターになりたいんで。そこですね」

──相手はUFCで2連敗中ですが、2戦とも接戦。背水の陣だと思っている可能性もあります。

「オッズとか一番開いちゃってますよね。でも僕もそんな差はないと思ってるんで、その辺は大丈夫です」

──ガルシア選手は「テイクダウンディフェンスをかなり練習してきた」ということを別のインタビューで話していました。

「いいじゃないですか!タックルのフェイント、めっちゃかかるじゃないですか(笑)。めっちゃ練習してるので、っていうところをバチーン!と(入りたいです)」

──今のが余計な情報になっていないといいのですが(笑)。

「自分はその上をいくっていうプランがあるんで。でも、まあ、向こうもさらに、フェイントとかにも、対処を考えているでしょうし、角度も考えているだろうし、そこはもう先手の取り合いで、絶対に先にペースを取っていきます」

──では、それを受けて、どんな試合展開になると思っていますか。

「2連敗しているので、僕に負けたら、変な話リリースの可能性も出てくるかもしれない、もしそう思ったら、勝ちに行くパターンもあるだろうし、1R KOを狙ってガンガンにボクシングしてくる可能性もあるだろうし。そういう相手の心情もあって色んなパターンが想定されるので、そのパターンに応じて自分の動きを準備してきました」

──今回の試合は今後のUFCファイターとしてのキャリアにおいてどういう意味を持っていますか?

「今回の試合はすごい自分にとって特別だし、でも今までの試合の全部がすごい自分にとって特別な試合だったので、この先もそうだし、毎試合・毎試合、本当に命かけてやってるので、そこは変わらないっていうのはあります。世界に大きく取り上げられて発信される一発目なので、大きな衝撃を残したい、残せればいいな、と思っています」

──U-NEXTで試合を見る方にメッセージをお願いします。

「U-NEXTをご覧の皆さん、いつも応援ありがとうございます。日々の練習や試合の時やケージ入る時、凄い怖い事もありますが、皆さんからいつも応援だったり、勇気をいただいているので、土曜日は僕の試合を通して、その勇気とか感動っていうのを皆さんにお返ししたいと思ってます。当日は応援の程よろしくお願いします!」

MAGAZINE

ゴング格闘技 NO.335
2024年11月22日発売
年末年始の主役たちを特集。UFC世界王座に挑む朝倉海、パントージャ独占インタビュー、大晦日・鈴木千裕vs.クレベル、井上直樹、久保優太。武尊、KANA。「武の世界」でプロハースカ、石井慧も
ブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリアブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリア

関連するイベント