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2022年12月9日(日本時間10日)、米国コネチカット州アンカスビルのモヒガンサン・アリーナにて、『Bellator 289: Stots vs. Sabatello』が開催される。
日本ではU-NEXTで生配信される同大会で、優勝賞金100万ドル(約1億3700万円)の「Bellatorバンタム級ワールドGP」準決勝2試合が行われる。
メインカードでは、現バンタム級暫定王者のラウフェオン・ストッツ(米国)とダニー・サバテーロ(米国)がGP準決勝および同級暫定王座戦(5分5R)を争うほか、もうひとつの準決勝でマゴメド・マゴメドフ(ロシア)とパッチー・ミックス(米国)が決勝進出をかけて対戦する。
大晦日にRIZINとの対抗戦に臨むBellator勢を知るには必見の今大会。本誌『ゴング格闘技』NO.321では、このベスト4から、ATTで堀口恭司と同門のダニー・サバテーロにインタビューを行っており、今回のGPの大一番に向けて特別公開する。
堀口がミックスに判定負けし、まさかの初戦敗退となったGPで、ファンの間で最大のヒートと注目を集めているのが、代打出場枠から勝ち上がったこのサバテーロだ。彼はなぜ一躍主役の座に躍り出ることができたのか? このインタビューを読めば理解できるだろう(text by Horiuchi Isamu)。
How we got here. 👀
— BellatorMMA (@BellatorMMA) December 4, 2022
The $1M finalists will be decided 𝕥𝕙𝕚𝕤 𝔽𝕣𝕚𝕕𝕒𝕪 LIVE on @SHOSports.#Bellator289 pic.twitter.com/FmHXBYbq31
中途半端より「愛されるか・嫌われるか」の方が余程いい
──サバテーロ選手、ZOOMインタビューに応じて下さりありがとうございます。
「Absolutely!」
──GP準々決勝においてレアンドロ・イーゴに完勝。その直後に準決勝で当たる暫定王者のラフェオン・スタッツと舌戦を繰り広げたことで、あなたは一躍MMA界で最も注目を集める選手となりました。あれからどうお過ごしですか。
「イーゴ戦終了のベルが鳴った瞬間から、俺の気持ちはもうスタッツに集中していたよ。ずっとその試合とのことを考えてきた。このトーナメントの組み合わせが決まった時から、あいつと戦うことになると分かっていたし、ずっと楽しみにしていた。世間の連中は、奴こそバンタム級最強だと言っているが、俺にはスタイル的にも相性の良い相手だと思っている。圧倒できるよ」
──スタッツ戦の話の前に、準々決勝のイーゴ戦についてもう少しお聞かせ下さい。ご自分の戦いをどう評価しますか。
「まあ全体的には『A』かな。フィニッシュできなかったから、A+(最高評価)は付けられない。俺はいつもそれを目指しているから。でもレアンドロ・イーゴのようにフィニッシュするのが極めて困難な強敵と戦うなら、まず勝つことが重要となる。俺の他の試合と同じようにドミネイトできたと思うし、そこは満足している。相手はバンタム級トップの1人だからな」
──ただ、2Rには、キムラの仕掛けからバックを奪われてしまう場面もありました。
「ああいうことが起きて良かったと思うぜ。俺がBellatorのケージで、多くの視聴者の前で初めて迎えた試練だったから。だからあそこは防御に専念したんだよ。自分に言い聞かせたんだ。“冷静さを保て、パニックになるな、ミスを犯すな”ってね。ああいう場面で多くの選手が焦ってミスして負けてゆくから。だが俺はあの過酷な状況を耐え抜くことができた。落ち着いて守りきり、立ち上がった時は、次のラウンドの反撃を楽しみにしてたんだ。2Rが終わったところでスコアは1対1だった。イーブンの状態に戻って、ここからいつもの3R戦が始まるようなもんだった」
──なるほど。
「俺が思うに、あの時点で奴の心は折れたんだ。2R終了後の俺たちの態度を比べてみるといい。全然違うから。向こうが圧倒的優勢で終えたラウンド直後であるにもかかわらずだ。奴は『ここでフィニッシュすべきだった、もうダメだ』って落ち込んでいたんだろうな。俺が残りの3Rで反撃に転じてくると分かっていたはずだ。そして実際そうなった。残りのラウンドを俺が圧倒的優勢に進めて勝利したというわけだ。だから上々だ。次のスタッツ戦はさらに良くなるぜ。1Rも落とす気がしないな」
──おっしゃる通りの完勝でした。が、さらに注目を集めたのはケージ上での試合後インタビューでの発言です。試合前にさんざんこき下ろしたイーゴのことは讃えたあなたですが、今度はブーイングする観客たちを『お前ら、戦いのことなど何も分からんプッ○ーども』と罵倒し煽りまくり。すごく生き生きとしていて、ヒールであることを心底楽しんでいるように見えました。
「ああ。俺は試合終了のベルが鳴った瞬間、対戦相手のことはもうどうでもよくなるんだ。気持ちは次の試合に向かっているから、負けた相手をさらに嘲ったり勝ち誇る必要なんてないんだよ。今回もそうだった。で、観客どもについて言えば、とっとと消え失せるがいい(go fxxk yourself)」
──本日一発目のF爆弾が炸裂です(笑)。
「別に俺にブーイングしようがなんだろうが好きにすればいい。俺はこのスポーツに全てを注いで戦っている。勝利を得ることすらできれば満足だ。誰が俺を気に入ろうが嫌おうが知ったことじゃない。もちろん全員から嫌われたいとは思わないし、好かれるのは結構なことだ。でも嫌われるほうがいい点もあるんだよ。このスポーツへのさらなる情熱や熱量が生まれるからな。だから観客の俺に対するブーイングなぞ、俺の耳には美しい音楽みたいなもんで、まったくいい気分だぜ!」
──ハハハ!
「で、面白いのはそうやって会場でブーイングしてた奴らに限って、試合後のカジノでは俺に記念撮影やらサインやらねだって来るんだよ」
──アンチが対面ではファンになると。
「まあ、このビジネスはそういうもんだって俺も分かってるさ。だからファンの反応なんか気にしないよ。好かれようが嫌われようが、ファンがダニー・サバテーロの名前を認知してくれればしめたもんだ。俺のキャリアにおけるストーリーは、ずっとこんな感じで続くだろうよ。俺を試合内外ですごく熱心に応援してくれるファンもいれば、同時にアンチもわんさかいる。俺は嫌われ者と思われてるだろうけど、FacebookやinstagramやtwitterのDMでは『いつだって応援しているよ』ってメッセージを送ってくれるファンも多いんだ。
でも当然、好かれるより嫌われた方がクリック数が伸びるのも事実だ。だから今の状況は俺にはまったく都合がいいぜ。次のスタッツ戦でも別にみんなから応援されたいとは思わない。バッドガイ、悪役で大いに結構だ。あの連中を怒らせることほど愉快なことはない。このままどんどん行くぜ!」
──SNSでは応援メッセージのほかに、ヘイトメッセージも受け取るのですよね。
「その通りだ。まったく滑稽なのは、そういうのはことごとく中途半端だってことだ。『会ったら殺してやる!』とか、傑作なのばかりだよ。10歳のデブガキかなんかが懸命に書いてるんじゃねえか?」
──(苦笑)。
「それ以外は、逆にすごく熱心に応援してくれるコメントだ。それがいいんだよ。『ダニー・サバテーロ? そんな選手はどうでもいいよ』なんて言われるより、愛されるか嫌われるかの方が余程いい。そういう状況を作れているという点において、今のところ大成功だ。おかげで次のスタッツ戦は視聴者数も増え、Bellator史上最大の注目試合になるだろうからな! 俺が戦うからそうなるんだぜ。俺の目標は単に王者になること、他の団体も含めた統一王者になることだけじゃなく、Bellatorの顔になることだ。俺に本当に良くしてくれる最高の団体だ。俺もBellatorも、ここからさらにビッグになっていくぜ」
──鉄のメンタルですね。近年日本ではSNSで有名人に送られる匿名のヘイトメッセージが深刻な問題となっています。サバテーロ選手流のヘイトメッセージへの対処の仕方等、アドバイスがあればお願いしたいのですが。
「自分をしっかり持って、ファイターであることだな。必ずしも肉体的な意味だけでなく、精神的な意味においてもだ。前に進み続けるんだ。そうすれば状況は良くなるよ。自分の生活のなかでベストなものを探そうぜ。友達や家族と過ごしたり、常に楽しむんだ。で、ものごとをあまり複雑に捉えたり、考えすぎたりしないことだ。いつもスマイルで、自分をハッピーにしてくれることをするんだ。あいつらの言葉になど耳を貸す必要はない。他人を批判するような連中の言葉などな。そんな奴らはいずれ勝手に消え失せる。
いつもハッピーでいて、またいつもハッピーでいるような人々と一緒にいるようにするんだ。その種のエナジーは伝染するんだよ。いつも不幸で文句ばかり垂れているような連中と一緒にいると、自分も同じようになっちまう。だからポジティブな人間と一緒にいるんだ。この世界にはヘイトよりたくさんのラブがあるんだよ。ヘイトの方がクリックを稼げるのが事実だとしてもね」