これはクレイジースポーツだ。金が貰えようが貰えまいが罵り続けるぜ
──「ヘイトよりたくさんのラブがある」、煽りから一転、熱いメッセージをありがとうございます。さて次は注目のスタッツ戦です。GP準決勝であるとともに、スタッツが持つ暫定ベルトも掛かっています。
「こないだのイーゴ戦とはだいぶ違う試合になるな。イーゴは一つのことに特化した選手だから、そこに気を付ける必要があった。でもスタッツは異なり、あらゆる分野で長けている選手だ。だから楽しくエキサイティングな試合になる。打撃が飛び交い、スクランブルの攻防もたくさん見れるはずだ。でも圧倒して勝つのは俺だ。この試合はBellatorの歴史における最大の試合の一つになるだろうな。今からみんなこの試合のことを話題にしているくらいだから、試合当日は凄えことになるぜ!」
──あなたとスタッツは、非常に強力なレスリングベースを持っているという点では共通しています。差を付けて勝利するための鍵はどこにあると思いますか?
「“ダニー・サバテーロであること”だ。俺のスタイルで戦うってことだよ。奴もレスラーと呼ばれているが、俺のレスリングがはるかに上さ。もちろん通常のレスリングではなく、全然別のMMAレスリングのことだ。それ以外のすべての分野でも俺が上だよ。打撃もスピードも技術の精度も俺が上回る。そして俺の方が上背もあってリーチも長いから、間合いを保つ能力も高い。俺の方が動きもシャープだし、もちろんコンディショニングでも勝っている。だから試合が長引いても技術の質は落ちないよ。全ての面で俺が上だな」
──絶対的な自信があると。
「まあ試合ではいろいろと試してリスクも犯してみるさ。たとえ俺が試合中に何かミスを犯したとしても、あいつはそこに付け込んで試合を決めることはできないだろうよ。奴はフィニッシュできるような技はたいして持っていないんだ。打撃にノックアウト・パワーがないし、寝技でもイーゴのような鋭い柔術があるわけじゃない。だからどんな試合展開になっても問題ないよ。打撃でも俺の方が上だし、レスリングの攻防になっても同じだ。奴はレスラーだけど、MMAレスリングに注目すると全然大したことねえよ。
(準々決勝でスタッツは)フアン・アーチュレッタに何度もテイクダウンを取られていたしな。だからどう転んでも、俺のスタイルで戦えば勝てる。もちろん向こうの戦い方に合わせた準備はしなくてはならない。すべての選手が異なる技術の組み合わせを持っているから、そこは考慮する必要はある。でも全体的に見て、この試合は俺にすごく分がいいぜ。俺のキャリアにおいてきわめて重要な試合だ。この試合に勝つことで世間の評価も上がり、スーパースターになれるはずだ。世界最強のファイターと呼ばれることになる」
──この試合は、強豪同士の一戦であるだけでなく、Bellatorが誇る二大トラッシュトーカーの激突という点でも注目を集めています。そちらの面におけるラフェオンのスキルはどう考えていますか?
「いやあ、あいつのトラッシュトークなんか全くのゴミだね!」
──そこまで言いますか(苦笑)。
「まあ確かに奴もガタガタ言うのが好きみたいだが、そのスキルに長けているわけじゃない。いつも噛んでるじゃねえか。記者会見で1対1でやり合えるのが楽しみでならないな。あいつは絶対緊張してプレッシャーを感じ、いろいろ言い間違えたりするだろう。その点でもこの試合は俺には都合がいいんだ。世の中に俺がベストファイターというだけでなく、ベストトラッシュトーカーであることも証明できるからな!」
──なるほど。
「ただこれはよく言うんだけど、俺は別に場を盛り上げるために相手を罵倒しているわけじゃないんだ。単に俺はもともとこういう奴なんだよ。ひたすら喋り続ける。で、結果的に事実としてファイターとしてもトラッシュトーカーとしても奴より優れているってだけだ。まあ奴がスキルこそ低いものの、トラッシュトークをしたがることは俺にも好都合だ。試合がより楽しくなるからな。
俺と絡むことで奴のマイクの技量の無さが露呈されるよ。それで多くの人は困惑するだろう。奴はいつも相手に一方的にトラッシュトークを仕掛けるだけだから見栄えもいい。でもよく奴の話を聞いてみると、まったくひでえもんだ(fxxkin' sucks)。俺は奴が話している動画を見るたびに、あまりにファッ○○・バッドなんで耐えきれなくなってラップトップを閉じてしまうんだ。まあとにかく、あいつの実力のなさを曝け出してやるのが楽しみだよ。奴はただの人間だし、辛い経験になるだろうな!」
──子供の頃からこんなに口が達者だったのですか?
「その通り。楽しいんだよ。多くの連中が俺のトークについて、ビジネスを盛り上げるためだとか金のためにやってるんだとか言うけど、奴らもそろそろ分かってきてるんじゃないか。俺は本心で話しているだけだって。もともと口が上手いんだ。他の連中はあらかじめセリフを用意したりするけど、俺はただ俺として話しているだけだ。それが楽しいんだよ。相手に精神的な戦いを仕掛けてる面もあるけどな」
──と言うと?
「相手をいかに動揺させるかってことだ。(GP出場者決定戦の)ジョネル・ルーゴ戦でも、(準々決勝の)イーゴ戦でもまんまと奴らの頭に血を昇らせてやったさ。試合で奴らはあまりリスクを取らなかっただろう。試合前に気持ちを折ってやったからだ。これはクレイジースポーツだ。脳震盪が起こる率も高いし、半身不随になる危険すらある。だから試合前に対戦相手の目の前で散々罵って、俺は試合では残虐なこともやりかねない、ぶち殺してやるって伝えてやるんだよ。そういう心理戦的な側面に加えて、俺はもともと煽り合いが好きだってことだ。金が貰えようが貰えまいが、俺は相手を罵り続けるぜ」
──根っからのトラッシュトーカーだと。
「そうやってより注目が集まり、よりプレッシャーがかかり、よりブーイングを受ければ受けるだけ楽しくなるんだ。その結果として次のストッツ戦がビッグファイトになるけど、俺はただ本来の俺であり続けているだけだ。もしも俺が試合前に相手とハグしたり愛想の良いことを言ったりしたら、みんなに俺がどんな人間かを誤解させちまうことになるだろ。俺はケージで対戦相手を殺そうとするような人間なんだから」
──根っからのファイターでもあるわけですね。
「俺はレスリングをやっていた頃から、ずっとこれをやり終えたらMMAファイターになりたいと思っていたんだよ。大学を卒業したらファイティング(MMA)に行くと決めていた。レスリングをやっているときにも『なんだって俺はこんなバカげた(fxxking stupid)ことをやってんだ。早く“闘いてえ”なあ』って思っていたんだよ。でも学位を取ることも大事だから。いつだってプランBを用意する必要があるしな。だからレスリングに専念することにしたんだよ」(※サバテーロがATTの同門の堀口恭司を語る後篇に続く)