(C)Cooper Neill/Zuffa LLC via Getty Images
2020年12月19日(日本時間20日)、米国ネヴァダ州ラスベガスの「UFC APEX」にて、UFC Fight Night: Thompson vs. Neal」が開催された。2020年のUFC最終戦となる。
いま注目の“黄金のバンタム級”では、3位のマルロン・モラエス(ブラジル)と11位のロブ・フォントが対戦した。
元WSOF世界バンタム級王者のモラエスは、UFCで5勝3敗。ジョン・ドッドソン、アルジャメイン・スターリング、ジミー・リベラ、ハファエル・アスンソン相手に4連勝を決めるも、2019年6月にヘンリー・セフードとのバンタム級王座決定戦で3R TKO負け。
2019年12月には元フェザー級王者のジョゼ・アルドに判定勝ちしたものの、セフード戦の黒星により敗れたアルドがピョートル・ヤンとの王座決定戦に進出し、ヤンがベルトを巻いている。
モラエスの前戦は2020年10月のコーリー・サンドヘイゲン戦。元キック王者の後ろ廻し蹴りで2R KO負け。タイトル戦線から後退した。
対するフォントはUFC7勝3敗。2017年10月にペドロ・ムニョスにギロチンで一本負け、2018年7月にハファエル・アスンサオに判定負けを喫しているが、2018年12月にセルジオ・ペティスに判定勝ち、2019年12月にリッキー・シモンに判定勝ちで、現在2連勝中だ。これまでランカー相手に敗れた黒星をモラエス戦で払しょくしたいところだ。
▼バンタム級 5分3R
○ロブ・フォント(米国)
[1R 3分47秒 TKO]
×マルロン・モラエス(ブラジル)
1R、出だしはサウスポー構えのフォントだが、すぐにともにオーソドックス構えに。右ミドルをヒットさせるモラエスは、左ミドルも。さらにダブルレッグでテイクダウンを決める。
ハーフから右で脇差し上体を起こすフォントにギロチンチョークを狙うモラエス。ハーフから対角にパスしたフォントが上に。ケージ背に立ち上がるモラエス。
右ヒザを突くフォントにモラエスはシングルレッグからダブルレッグに切り替え、尻下でクラッチし持ち上げテイクダウン。ハーフから右手で枕に抱き抑え込む。
足を戻してフルガードにしたフォントにパウンドを入れるモラエスは、腰を切り片足をまたいで再びハーフにすると、ケージを蹴ったフォントをパスしサイドに。
フォントはエビを打ち、モラエスの左手を持ちながら立ち上がりスタンドに。そこにすぐに左ハイをヒットさせるモラエス! さらに左ストレートにフォントは一瞬金網まで後退。
しかしフォントは前進し直すと、左ジャブを連打。さらに左右連打からボディストレートとボクシングの速い展開に。右フックをヒットさせると左からさらに右も、そこにモラエスも左フックを合わせる。
離れたフォントに右の後ろ廻し蹴りはモラエス。かわしたフォントは左ジャブ! 打たれ弱くなっているのかモラエスのヒザが落ち後退。詰めるフォントの右アッパー2発にダウンしたモラエス。フォントのパウンドを受けながらもいったんは上体を立てたモラエスだが、右のアッパーをさらに受けて再び背中をマットに着ける。
.@RobSFont is now tied for 5th most wins in @UFC bantamweight history with his 8th win.
— UFC News (@UFCNews) December 20, 2020
MOST BANTAMWEIGHT FINISHES - UFC History
8 - TJ Dillashaw
8 - Marlon Vera
7 - Urijah Faber
6 - Rob Font
6 - Pedro Munhoz#UFCVegas17 Results: https://t.co/zVXrylTYG5 pic.twitter.com/EclHKw5XTH
足が効かないなか、右ヒジを受けたモラエスは右の鉄槌の連打を受け、レフェリーが間に入った。モラエスはサンドヘイゲン戦に続く連敗。3連勝をマークしたフォントはバンタム級の上位戦線に名乗り出た。
試合後、フォントは、「大金星さ。ランキング3位のファイターに勝ったんだ。怪我から復帰して1年のインターバルがあって(この結果だから)文句はない。驚くこともなかったけどね」と上位ランカーからの勝利に歓喜。
続けて、「向こうがギロチンを狙ってくるのは分かっていたし、テイクダウンを狙っているのも気づいた。俺は1Rでグラウンドになろうと立ち技での戦いになろうとどっちでも構わなかった。両方やったしね。とにかく打ち込んでいって、それがこの結果さ。ジャブを当てて、ダウンさせたのはアッパーカットだったと思う。そこからはドンキーコングのように攻めていった」と、打撃でもグラウンドでも自信があったと語った。
「この勝利はデカい。前にもこういうチャンスはあったけど、そのときは生かせなかった。今回はすごい形でやり遂げた。ラウンドを間違ったかな。2Rで決めるつもりだったんだけどね。でも、1Rで決められたんだから文句はないよ」と笑顔を見せたフォント。この勝利で一気にバンタム級トップ10圏内が視野に入った(※追記・12月23日に5位にランクイン)。
同日にはバンタム級7位のジョゼ・アルドが15位のマルロン・ヴェラに勝利しており、現在バンタム級のランキングは、王者のピョートル・ヤンに続き、トップ5は以下の通りとなっている。
1位 アルジャメイン・スターリング(12月のヤン戦がヤンのビザ問題でキャンセル)
2位 コリー・サンドハーゲン(6月にスターリングに一本負け、10月にモラエスにKO勝ち、2021年2月6日にエドガーと対戦)
3位 マルロン・モラエス(10月にサンドハーゲンにKO負け、12月にフォントにTKO負け)
4位 コーディ・ガーブラント(11月のフライ級王者フィゲレード戦がキャンセル)
5位 フランキー・エドガー(8月にペドロ・ムニョスに判定勝ち、2月にサンドハーゲンと対戦)
現RIZINバンタム級王者の朝倉海は、堀口恭司との再戦を制したら海外挑戦を目指すことを明言しており、その場合、マネル・ケイプのようにフライ級ではなく、「フライ級まで体重を落とすのは厳しい。そこまで落とすと力が出ない。バンタムの方が面白いし、適正なのかなと。UFCのチャンピオン、ランキングに入っているジョゼ・アルドとかコーディ・ガーブランドとやってみたい」とバンタム級で「世界」に挑むことを語っている。
「目標はUFC王者なのでそれに近付けるような条件をもらえれば」と語る朝倉海にとって、RIZINと関係の深いBellatorからのステップアップを目指すか、それともダブル王者・堀口戦の実績を手土産にUFCとの契約に向かうか。
Bellatorでは、王者のファン・アーチュレッタを筆頭に、元谷友貴に一本勝ちしたパトリック・ミックス、そしてBellatorデビューを果たした“ピョートル・ヤンと1勝1敗”のマゴメド・マゴメドフら強豪がバンタム級戦線に名を連ねている。
また、堀口もBellator王者から対戦を要求されており、大晦日の結果が両者の今後に大きな影響を及ぼすことは間違いない。果たして、日本の王者は、世界でどこまで戦えるのか。
朝倉海は、「日本人がUFCで勝てないじゃないですか。だから勝ちたい。今までUFCで日本人のチャンピオンがいないですよね。そこを目指したい。ほんとうの意味で日本の格闘技を盛り上げるのは、世界でチャンピオンになること」と、日本人初のUFC世界王者になることが、日本で格闘技をメジャーにすることに繋がると語っている。
金網設置してます🤗
— 堀鉄平@ 闘う不動産投資家 (@horihudosanjuku) December 20, 2020
有言実行で、ここから世界で通用する日本人ファイター育てます✊ pic.twitter.com/VYNhhuH9Hs