▼第6試合 セントラルグループ presents 岡山ZAIMAX MUAYTHAI 65kg賞金トーナメント 1回戦(B2ブロック)3分3R延長1R
○山口裕人(山口道場/JAPAN KICKBOXING INNOVATION/WPMF世界スーパーライト級暫定王者)
判定3-0 ※30-29、30-28、30-27
×NOBU BRAVELY(BRAVELY GYM/KOSスーパーライト級王者)
※山口が準決勝戦進出。
試合内容にハズレのない山口は人気選手であり、ビッグマッチ慣れした堂々たる入場。高い集中力と気合いを感じさせながらヤンチャな色香が所々に見えるあたりスターファイターのムードが漂う。一方、NOBUは、極端に物静かで試合のみに集中する職人的な雰囲気で赤青コーナーで対極の色合い。
1R、山口の左ローキックを皮切りに常に攻撃は彼に先導される。だが、両腕ガードを高く保ち前進するのはNOBUの方。これは山口がサークリングやバックステップを厭わずに柔らかく対応しているように見える。激しい打ち合いが身上だけに見過ごされがちだが、山口のテクニックはかなり多彩。これに右ミドルキックを強振するNOBUがムエタイ的アプローチ。速いジャブからコンビネーションを狙う時折、大胆にバックスピンキックを単発で繰り出すなど派手な山口が試合の趨勢を支配している印象ながら、NOBUが肘打ちなり何かを狙っていることは明らかで、山口先行逃げ切り体制のようでいながら目が離せない。
2R、初回と同様の展開ながら、山口がアームガードの高いNOBUに右ボディーブローを次々とヒット。レバーやストマックへの急所に直撃はしていないものの攻勢アピールは強め。試合中、距離が取れた際、NOBUが「ハーッ」と大きく嘆息したのは、腹筋の緊張をほぐす為か右強打が効いているのかわからないところ。時折、ミドルキックだけではなく左フックや右ストレートなどのパンチも鋭く繰り出すNOBUだが、ほぼ単発で派手な山口の攻撃を上回る印象は作れない。
インターバル中に発表された中間判定は、ジャッジ3名とも山口を支持。
最終3R、派手な攻撃の中、細かく繰り出していた山口の内腿への左ローキックでNOBUの左前脚は赤黒くなっている。リングジェネラルシップを取り続ける山口は余裕の笑みを浮かべながら勝利を確信して、あとはKOを狙うだけの雰囲気。これにカウンターパンチなり肘打ちで一発逆転を狙っているであろうNOBUに弱気は見えないが圧倒的不利も続く。そんな展開の中、試合終了間際、スリップで転倒した山口にNOBUが右サッカーボールキックを入れてしまう。悪意のある痛打ではなかったが、これに激高した山口は立ちあがるなり「オラーッ!」と叫び剣呑さを爆発させる。猛連打を開始しようと喧嘩腰の山口だったが、すぐに終了のゴング。この反則が故意ではないことは山口も分かっていた様子で、破顔一笑でNOBUにグローブタッチ。なんと魅力的な悪童であることか。
判定は問題なく山口のユナニマス(3-0)。フルラウンド、ノンストップで動き続けた山口の疲労はそれなりのはずだが、そう感じさせないクレイジーピエロは笑顔で準決勝戦進出。
▼第5試合 セントラルグループ presents 岡山ZAIMAX MUAYTHAI 65kg賞金トーナメント 1回戦(B1ブロック)3分3R延長1R
○小川 翔(OISHI GYM/WBCムエタイ日本ライト級王者)
判定3-0 ※29-28、28-29、30-29
×ジン・シジュン(韓国/Psycho pitbulls/大韓キックボクシングCKSミドル級王者)
※小川が準決勝戦進出
気合いの入った表情のジンと涼しげながら強い集中力を感じさせる小川の入場は好勝負を予感させる。
1R、左ミドルキックの打ち合いから始まった攻防は「プレッシャーをかけて前進しながら右フックの強打を狙うジン」と「ディフェンス優先を前面に左右ローキックを散りばめながら多彩な技で探りを入れる小川」の構図。大胆に踏み込んで強振するジンに最短距離で素早く当てる右ハイキックをあわせる小川。圧倒的なテクニックと多彩な技を披露する小川がやや優勢で初回が終了しようとする刹那、より大きく左にダッキングして放ったジンの右フックの大砲がヒットし、一発でポイントをイーブン以上にしたものの、これにケロリとした様子の小川のタフネスも確認できた。
2R、パワーのギアを全開にした様子のジンの圧力がグッと強まる。しかし、ここで炸裂したのが昨今の格闘技界で流行りのカーフキックだった。ただでも強烈な小川のローキックの中に突如として組み込まれた右のそれは強烈で、一発目から体重をかけたジンの左足に異変を起こさせる。しかも右足内腿への左ローキックやオーソドックスな右のローキックも混ぜるのでカーフキックの効果もより増大している模様。これに顔色を変えたジンは、気が付くと前進が常時ではなくなり、小川が逆に前に出てプレッシャーをかける展開に。
小川は試合直前のインタビュー取材で新必殺技の存在を明かしていたが、それが明らかにカーフキックであることが判明した。
インターバル中に発表された中間採点は、ジャッジ2名がイーブン、1名が小川支持。
最終3R、それでも一撃必倒の右フックがあるジンは、危険なそれをあらゆる方法で叩きつけ、小川は、多彩なローキックを中心に豊富な技のバリエーションも次々披露。合間に肘打ちを互いに繰り出しあうが、高い集中力の両者に大きな被弾はなく、休むことなく激しい攻防が続く。苦しさを隠せないジンは必死の形相。小川は恐ろしいまでに冷淡なポーカーフェイス。
試合終了のゴングが鳴り、激闘に小休止。小川がイニシアティブを取りながら、ジンのワイルドパワーも強烈で、試合の流れは完全に小川に傾きながら判定はドローからの延長もあるかもしれない雰囲気。
結果は、スプリットデシジョン(2-1)で小川。接戦を制した小川は、即座に準決勝戦の準備に頭を切り替えている様子。意気消沈のジンは、1名のジャッジの支持を得ながら完敗を認めるかのように静かにリングを降りた。複数の識者と関係者が「事実上の決勝戦」とキーポイントに挙げた一戦は、やはり見応え十分のハイレベルな好試合となった。
▼第4試合 セントラルグループ presents 岡山ZAIMAX MUAYTHAI 65kg賞金トーナメント 1回戦(A2ブロック)3分3R延長1R
〇マサ佐藤(名護ムエタイスクール/英雄伝説64kg級アジア王者)
KO 2ラウンド 1分48秒
×翔貴(岡山ジム/JAPAN KICKBOXING INNOVATION/元ルンピニー日本フェザー級王者)
※佐藤が準決勝戦進出
翔貴は、昨年急逝した母親を偲ぶリリックのをイントロにミックスした曲で入場。このトーナメント唯一の地元選手だけに歓声や花束贈呈など賑やか。対する沖縄からやってきた佐藤は、国内外のビッグマッチの経験が豊富だからか風格が漂う。
1R、軽快にハイキックや左ボディーブローなど多彩な技を繰り出す翔貴はスピードもあり次々と攻撃をヒット。これに効いたそぶりもない佐藤は、武骨に重そうな右ローキックを振るうが、翔貴はほぼ避けてみせる。調子に乗り回転バックヒジ打ちを繰り出す翔貴だが、佐藤は冷静に空転させそこに右フックを軽く合わせ余裕が見える。
2R、初回は受け手にまわっていた佐藤が、3回戦故ポイントゲームの必要かグッと前に出て手数を増やし始める。翔貴も肘打ちを織り交ぜ攻勢を強めようとするが、そこに大砲のような佐藤の右ストレートが直撃され吹き飛んだ翔貴はダウン。何とか立ち上がり続行するも、火が付いたようにラッシュする佐藤の左右連打でダウンを追加され、カウントを数え始めるレフェリーはその甚大なダメージを見て早めに試合をストップした。
青コーナーを降りる翔貴は「マジか?」と現実がすぐに把握できない状況を口にした。
それなりの攻撃は被弾しながらタフネスで売る佐藤にとってはほぼノーダメージといっていい範疇で準決勝戦進出に成功した。
▼第3試合 セントラルグループ presents 岡山ZAIMAX MUAYTHAI 65kg賞金トーナメント 1回戦(A1ブロック) 3分3R延長1R
×水落洋祐(エイワスポーツジム/元WPMF世界ライト級暫定王者)
KO 1R 2分16秒
〇タップロン・ハーデスワークアウト(タイ/ハーデスワークアウトジム/元WMC世界フェザー級王者)
※タップロンが準決勝戦進出
同じトランクスを履いたちびっ子と入場する微笑みのタップロンには百戦錬磨の余裕が漂う。方や大ベテランながら静かに熱い気魄と緊張感で空気をピリピリさせる水落。
1R、右ローキックと右ストレートを強振する水落と同じく右ローとカウンター気味の右ストレートを柔らかくを放つタップロンが好対照。強いプレッシャーをかけて前に出る水落だが、タップロンはこれを受け流し右ストレートや右フックをカウンターでヒットさせる。軽く返されたようでいながら眼をシバシバさせる水落。タップロンのパンチが硬いのか、前試合(9月29日)の強烈なKO負けから短期間の試合だけにダメージが抜け切らないのか不安がよぎる。
その刹那、水落の出足に合わせた右ストレートでタップロンが見事なダウンを奪う。かなり効いた様子の水落は、身体を揺らせてしまっている。ここで一気呵成に左右の連打を叩き込み左フックで腰を落としながら右ストレートもフォローされた水落が2度目のダウン。カウントを数えるレフェリーは、早めにそれを切り上げ、タップロンが1ラウンドKOの快勝。過酷な肘打ちありのワンデイトーナメント初戦をほぼノーダメージでクリアーし準決勝戦に駒を進めた。
▼第2試合 84kg契約 2分3R ヒジ打ちなし、首相撲無制限
×肉弾子(米子ジム)
判定0-3 ※27-30、28-30、28-30
○馬木樹里(岡山ジム/JAPAN KICKBOXING INNOVATION)
▼第1試合 フライ級(50.8kg) 2分3R ヒジ打ちなし、首相撲無制限
○琉聖(井上道場/JAPAN KICKBOXING INNOVATION)
判定2-0 ※29-29、30-29、30-29
×風太(岡山ジム/JAPAN KICKBOXING INNOVATION)
「第6回岡山ジム主催興行」テレビ放映予定
初回放映日:2019年12月21日(土) 午前7:00より
再放送日:2019年12月21日(土) 午後2:00より、午後9:00より
2019年12月22日(日)午前7:00より、午後2:00より、午後9:00より
放送局:倉敷ケーブルテレビ
視聴方法:倉敷ケーブルテレビ加入(倉敷市及び近隣のみ可能)
公式サイト:https://www.kct.co.jp
問い合わせ:0120-021-337(KCT倉敷ケーブルテレビ)
その他、インターネット動画配信などは現在検討中。