2025年3月23日(日)さいたまスーパーアリーナにて開催された『ONE 172: TAKERU vs. RODTANG』のセミファイナルで、タワンチャイ・PK・センチャイ(タイ)に3R1分55秒、TKO勝ちしてONEフェザー級(70.3kg)キックボクシング暫定世界王者となった野杁正明(日本/team VASILEUS)が25日(火)都内所属ジムにて囲み会見を行った。
「今でも信じられない。本当に獲ったんだなって」と、横に置いたONEの9kgはあるという大きなベルトを見つめる野杁。
下馬評では10-1、9-1で圧倒的不利と見られていた今回のタワンチャイ戦だが「ワクワクしかなかったです。恐怖は1ミリもなかった。嫁は隣で緊張と怖さでため息ばかりついていましたが(笑)、僕は怖さも全然なくて早く戦いたいしかなかったですね。あのKOしたあとの盛り上がり方を求めていたので、やったぞって感じでした」と、本当にワクワク感しかなかったという。
戦略通りに行ったのかと聞かれると「何パターンか用意していてそれがその1パターンかと言えばそうでもなかった。とっさの閃きが左フック。ヒザに対しての左フックは練習でやってきたことの一つでしたが、それでKOやダウンを奪えるバターンではなかった」と、練習でやっていた対策が出たがそれがKOにつながるとは思っていなかったとする。
タワンチャイの左ミドルキックはどうだったか、との質問には「僕的にはローとインローの方が衝撃でした。本当に痛くて。今までロー喰らって痛いと思ったことがなかったし、試合中も今も痛い。躊躇なく蹴るので、一発目をもらった時にこれはヤバいと思いました。初めて相手の攻撃でこれはヤバいとセコンドにも言いました」と、今まで味わったことがない威力だったと振り返る。
「相手のミドルのタイミング、ずっとミドルに対して返す練習はしていました。警戒していましたが全部が練習通りに返せなかった。合格点ではないけれど、さらに成長できるいい結果でした」と、タワンチャイのミドルキック対策に加えて「一番は距離感。タワンチャイの距離と僕の距離が違うので、そこが一番警戒する部分だった。前蹴りが強くタイミングのいい前蹴りを持っているので、もちろんパンチも警戒していました」と距離感を最も大事に戦ったと話す。
タワンチャイの強烈な攻撃をもらっても前に出て圧力をかけられ続けたのは「勝ちたい気持ちが一番強かったんですかね。セコンドの雅和さんとインターバルでも話したんですが、我慢比べなら僕の方が絶対に強い。どっちかがギブアップするならタワンチャイの方が早い。足が痛いけれど、僕はお腹と足なら絶対に倒れないので。僕は足が動かなくなっても倒れないので、その気持ちで戦いました」と、我慢比べなら絶対に負けないとの強い気持ちで戦っていたとする。
序盤は手数で負けていたように見えたが、と問われると「ラウンドマストなので1Rも取られないようにするのが作戦だったんですが、5Rあるので1Rを取られても他全部取れば勝てます。1Rと2Rは削って後半勝負と思っていました。前の試合のように一発で足を折ったりすることもありますが、カーフキックはなかなか一発で倒れる攻撃じゃない。1Rと2Rでとことん削って3~5Rは足の様子がおかしいと思わせて仕留める作戦でした。1Rは見すぎましたね。警戒しすぎた。慌てることはなかったですけれど」と、焦りはなかった。
カーフキック以外に有効だった攻撃は「ボディは効きましたね。苦しそうな声を聴いたのでボディは効いたと思う。カーフも1Rから嫌がっていたのは分かった。クリーンヒットはしてないけれど、サウスポーにして左前足カーフを蹴った時に嫌な顔をしていました」と、相手の反応がよく見えていたようだ。
次に関しては「今は考えたくないです(笑)。試合はしないといけないので、それはONEと相談して。僕は来るもの拒まずなので決められた相手と誰とでも戦う。話が来たら受けるだけです。でも5月、6月はちゃんと休んだうえで相手は断らないって感じですね」と、12月から連戦だったのでしばらく休みたいと笑う。
「ONEにはいろいろな選手がまだいるけれど、僕の上にいるのは1人だけなので。目標はそこだけですね」と、正規王者スーパーボン(タイ)との王座統一戦を見据えていた。