ワンデートーナメントの優勝はタップロン
「JAPAN KICKBOXING INNOVATION 認定 第6回岡山ジム主催興行」
2019年11月17日(日)岡山市総合文化体育館メインアリーナ
写真・レポート提供=岡山ジム
▼第18試合 セントラルグループ presents 岡山ZAIMAX MUAYTHAI 65kg賞金トーナメント決勝戦 3分3R延長1
○タップロン・ハーデスワークアウト(タイ/ハーデスワークアウトジム/元WMC世界フェザー級王者)
判定3-0 ※29-27、29-27、28-27
×小川 翔(OISHI GYM/WBCムエタイ日本ライト級王者)
※タップロンがトーナメント優勝。
初戦からヒジ打ちありの過酷なワンデイトーナメント、3試合目のファイナルマッチ決勝戦。
“破壊獣”タップロンは、1回戦の水落洋祐戦を1ラウンドKOで切って落とし、2回戦、マサ佐藤に判定完勝するも相当なタフマッチでダメージも疲労も相当なはず。入場時も顔色は優れない。
“サイレントスナイパー”小川は「事実上の決勝戦」とまで言われた1回戦のジン・シジュン戦をスプリットデシジョン(判定2-1)でクリアーし、2回戦の山口裕人との大激闘を幻のダウンまで喫して勝ち上がった。しかし、その損傷具合は、あまりにもクールなポーカーフェイスで隠されて窺い知れない。
ゆっくりと探り合い。場内は緊張に満ちる静寂。まずはローキックの交換。軽い打ち出しでもそれを主武器にしているだけあって小川の蹴りは強く鋭い。タップロンは、文字通り距離なりタイミングをリサーチする触角として脚を振るっている感じ。共に徐行運転。
タップロンが左フックを当てると小川が右ハイキックを返す。すると、突然始まった猛烈な打ち合いダッシュ。タップロンらしい、もしくは小川らしからぬパンチ振り回し合戦。タップロンが右フックでダウン続けて奪うが、防御力も高いがタフネスも相当な小川は、またしても当たり前のように立つ。
2R、ここでタップロンがサウスポーからオーソドックススタイルにスイッチ。タップロンが先行し、右ミドルキックや右ヒジ打ち、左ミドルキックなど繰り出し、蹴り足をすくい転倒させる合気道的な技も披露。しかし、強引には攻め倒しにはいかないタップロン。
3R、小川が急発進。1R終盤に負けた乱打勝負を再び挑むが、当たり前にタップロンは乗ってくれない。ならば、巻き込むのみと強引に小川が仕掛け続け、タップロンは、前蹴りや首相撲で凌ぐ。その中で小川の左フックが効いた。
判定でダウンを奪ったタップロンが優勝。リング上でそのまま表彰式に入り、ZAIMAXトーナメント王者の栄誉と優勝賞金を手に入れた。
タップロンは「ハイ、みなさん、こんにちは。今日は勝って優勝しました。ありがとうございます。優勝したら……嬉しいですね~!(笑) また、よろしくお願いいたします」と勝利者インタビューに答えた。
▼第17試合 61.5kg契約 3分5R
×森井洋介(野良犬道場/元KNOCK OUTライト級王者)
TKO 3R 0分34秒 ※レフェリーストップ
〇原口健飛(FASCINATE FIGHT TEAM/Road to RIZINキックトーナメント優勝)
1R、オープニングヒットは原口の左ローキック。尋常でなく速い。さらに原口の上体をやや反らせてウェイトシフトを後方に預けたこの姿勢は、ディフェンス優先の形であり、深刻な被弾を受けにくい代わりに攻撃力を減少させるのが難点と思われる。それだけ“Mr.KNOCK OUT”森井の攻めに対し慎重に構えているということか。
その万全な警戒に隙はなく、森井ほどの強者が攻めあぐねて膠着してしまう。それでいながら原口は、サウスポーからの左三日月蹴りとジャブ並みの速さで楽に放つ左ハイキックなどをスムーズに繰り出すので試合の流れば自然と原口に傾いていく。
ヒジ打ちあり、首相撲無制限で原口にとって初ルールでありながら、森井が飛び込みの左フックを叩き込むところを首相撲に捕らえると回転してこけさせる。続いて右左の二弾蹴りの大技も披露。
2R、左ミドルキックというよりも左中段蹴りと称した方がいいムエタイとは異なる一発がサークリングする森井に直撃。喰らった森井はまったくの無表情。が、右脇腹は赤黒く内出血している。
森井はひたすら機を伺う。原口はディフェンス優先体制を保ちながらも先に挙げた左蹴りのような凶器を間断なく突き刺してくる。それでいながら本命は「後の先」か、カウンターを誘っている罠を臭わせてもいる。そこでまた叩きつけられる原口のしなやかな左上段蹴り。これを防ぎきれずにバランスを崩す森井に流れの乗せた右フックが直撃する。ダウン。
森井は当たり前のように立ち上がるが、そこに原口はギアを数段階も上げて独りだけ早回しになったかのような連打をボクシングスタイルで撃ちまくる。
3R、右上段蹴りからのフック連打で森井の身体は硬直しマットに沈む。今度は右上段からのパンチ連打。レフェリーが試合をストップした。
原口は「ありがとうございます、ハラグチ・ケントです! ヒジあり、ヒジなし、どちらでも強いことを証明しました。次は、トップの道、RISEのベルトを獲りに行きます」と宣言した。