チャンピオンに戻るための最後のチャンスかもしれない
2011年にプロデビューして14年。33試合を戦い、公式試合にカウントされないTUFでも試合を行ってきた。一時は引退まで頭をよぎったが、2連勝後の平良戦に向け、「かけている」という。
「以前“これはチャンピオンに戻るための最後のチャンスかもしれない”と言ったけど、もちろん推測するだけだ。でも、そう思うよ。それは僕にもある種のプレッシャーを与えてくれるんだ。良い意味でね。つまり、この機会を僕のチャンスにしたいんだ。“人生で一度きりのチャンスなんだから、最大限に活用しなきゃいけないし、最善の決断を下さなきゃいけない”。そう思うと、最終目標に集中できる。つまり、結局のところチャンピオンシップを取り戻すことなんだ。
もちろん、僕は12月6日に勝利を収めるつもりさ。その後、誰が試合に勝つかによって変わってくる。なぜなら、パントージャは(試合間隔を)少し時間を取る傾向があるから。でも、例えばヴァンが勝った場合、彼はできるだけ早く試合をしたいと思うだろうね。ヴァンはとても若い、いや、若すぎる男で飢えていて、毎週末戦いたいと思っている。それは、僕にも利用できることだ。すべてがまあまあ整ってきている」と、自身の2試合あとのフライ級王座戦でどちらが勝っても挑戦したいといい、もし、当日のタイトルマッチの計量で何かがあれば、平良同様に、そこに進む用意(125ポンドに揃える。※王座戦以外は+1ポンドまで許容)はできているとした。
「(もしパントージャかヴァンのどちらかが計量ミスしたら)チャンピオンシップのためなら、何でも。それはショートノーティスの変更で最善の選択肢ではないだろう。僕の理想的な状況じゃないけど、もしそういうことを言われたら、もちろん、準備はできてる。でも正直に言うと、パントージャみたいな、彼らは体重を落とすタイプのファイターで、計量で最後に問題があったのがいつだったか覚えていないくらいだ。だから、正直に言うと、僕は達郎戦に集中している」
パントージャと対戦するヴァンは夢を生きている
そのコメインの予想は、現王者としながらも勢いのあるヴァンが予想を覆す可能性にも言及した。
「うーん! いや、パントージャの勝利に反対するのは難しいな。彼が勝つ可能性は高いと思うよ、これまでの実績や、築き上げてきたレガシーを考えるとね。でも、実はさっきも話してたんだけど、いまジョシュア・ヴァンが持っている能力ってのは、若くて、何も考えず、何も気にせず、全力で突っ走る自信に満ちて、ただ楽しんでオクタゴンに上がるだけだ。そして、自分の生活状況を改善すること──ついさっき、ヴァンが母親に家か何かを買ってあげたのを見たよ。だから、彼は夢を生きているんだと思う。それは“スーパーパワー”だよ。だから僕は、ロイヴァル戦もロイヴァルがヴァンに勝つと思ってたんだ。でもそうはならなかった。だから、僕は今回の結果にも興味があるんだ」
パントージャとヴァンのどちらと戦っても準備はできている、という。
「僕はただチャンピオンシップを待ちたいだけなんだ。もちろん、パントージャと戦って、ついに勝利を収めることができるのは、確かに特別な味わいがあるだろう。しかし、結局のところ、僕にとっての目標は明確だ。それはベルトだ。相手が誰であろうと、パントージャとなら、もう準備はできている。ヴァンなら、それも準備はできている。スタイルに関していえば、ヴァンとのストライキングの試合がとても楽しみだ。彼はとても見応えのある試合をしてくれるファイターだから」
そして、新たに王座を目指す元UFC王座挑戦者のオクタゴン復帰についても語る。
「堀口恭司だよね。実は試合はまだ見てないんだ。ハイライトと写真を見て、すごく良かったって聞いたよ。それに、相手はタギル(ウランベコフ)で、彼もUFCですごく活躍してたし、すごいよね。10年(8年間)、日本へ戦いに行ったこと、そして僕にとって興味深かったのは、それが彼にどう影響したか、それから年齢、時間……彼はとてもテクニカルに見えた。今後は“まあ、見てみよう”。UFCが最終的にどう決めるか。パントージャとすごく仲がいい(ATTの)仲間たちだからね。コーナーにパルンパ(マルコス・パルンピーニャ ※パントージャのコーチでもある)がいた。僕にはそれが残念に思えるんだ。まあ、結局のところビジネスなんだと思うし、彼らもそう見ているだろうから、様子を見よう。堀口がランキングに入っても驚かないね(※8位にランク入り)。彼はデメトリアス(ジョンソン)と同じビッグネームではないが、このスポーツで多くの偉業を成し遂げ、日本でもチャンピオンになった。たしかRIZINだったと思う。彼は長い間、UFCでも挑戦者だったんだ。だから、将来的に記録に残る、興味深い名前になるだろうね」と、注目した。
平良戦で勝利し、2016年に非公式試合で唯一の一本負けを喫したパントージャと『The Ultimate Fighter』を経たコーチ対決をしたいという。
「『TUF』のコーチ? ぜひやってみたいね。100%、イエスだよ。さっきも言ったけど、自分の履歴書に何かを加えていきたいって気持ちがあるんだ。『TUF』のコーチをやるっていうのは、一つのサークルを閉じることになると思う。俺は以前、『The Ultimate Fighter』に生徒として出ていたからね。今度はコーチとして参加できたら、それは本当に素晴らしい締めくくりになる。だから、いつかそうなったら最高だよ。例えばこの試合に勝って、タイトルマッチのオファーが来て、そのタイミングで次のシーズンの企画が進むかもしれない。本当にどうなるか分からないけど、そういう夢を持っていたいんだ。フライ級は絶対に支え続けていきたい。自分が出たシーズン24は全員フライ級だったんだ。あのときはジョセフ・ベナビデスとヘンリー・セフードがコーチだった。ベナビデスは、あの時期に僕が成長するのをすごく手助けしてくれたんだ。だから今でも彼のことが本当に大好きだよ。今でも会うたびに『ヘイ、コーチ、元気?』って声をかける。彼は本当にいろんなことを教えてくれたし、シーズン中に追加でたくさん時間を割いてくれた。だから、またフライ級シーズンをやることになったら最高だと思う。『なんでダメなんだ?』って感じだね」
そのとき、モレと同部屋だった扇久保博正は、年末にRIZINでフライ級王座を目指し、1年をかけたGPの決勝戦に臨む。大一番に向け、千葉で肌を合わせたのは、同門の平良達郎だ。モレノのTUFコーチ対決を実現させるためには、当時、準優勝ながらUFCと契約を結べなかった扇久保の後輩を退ける必要がある。
「まだ俺のキャリアは終わっていない。まだチャンスはある。俺は30……いや、31歳だ。“うわ、まだこんなにできることがあるんだ”って自分でも思ってる。この階級でも、UFCの歴史の中でも、自分自身のUFCの歴史の中でも、まだ特別なことをたくさん成し遂げられると思ってる。だから、これから何が起きるのかが楽しみで仕方ないよ」──MMAではこれからがピークというモレノは、試合の数時間後に、32歳の誕生日を迎える。





