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2025年9月28日(日)愛知・IGアリーナにて『RIZIN.51』が開催され、「フライ級GP」準決勝2試合が行われた。
第11試合で、元谷友貴(アメリカントップチーム)が、神龍誠(神龍ワールドジム)に判定勝ちし、先に決勝進出を決めるなか、第12試合では、扇久保博正(THE BLACKBELT JAPAN)とアリベク・ガジャマトフ(ダゲスタン)による本命同士の準決勝が行われた。
1回戦の抽選会で元UFCのホセ・トーレスを指名し判定勝ちした扇久保は、2回戦に向けた総選挙でも6戦無敗のガジャマトフを指名し、ファンの支持を受け、14歳年下・24歳のダゲスタン戦士と相対した。
「今の自分が一番強いと思っているので、強い自分が挑戦できる最後のチャレンジ」と決意を示していた扇久保。
試合は、初回にシングルレッグから右で脇差し、ボディロックした扇久保がファーストテイクダウンを成功。立ち上がり、投げを残すガジャマトフに、扇久保は立ち合いでもオーソから左の攻撃でガジャマトフに圧力をかけさせず。
2Rには7度目の組みでボディロックテイクダウン。左で脇差しパスガードでマウントを奪い、ガジャマトフを疲弊させると、最終回も扇久保はダブルレッグテイクダウンからハーフで削りマウント、肩固めを極めに行くなど、全ラウンドでガジャマトフを完封。判定3-0で勝利した。
試合後、「必ず優勝します。これが僕の生きざまです」とリング上で語った扇久保。バックステージでの会見では決勝に向け、「大晦日は、元谷選手とお互いの格闘技人生の総決算になるような試合をしたい」と語った。ガジャマトフに「とても落胆しています。今回、時差ボケも無く、減量も問題なかったのに“どうしてこんな風になってしまったのか”。扇久保は本当に強い」と絶望させた“おぎちゃん”との一問一答全文は以下の通りだ
扇久保「ガジャマトフにかなり警戒されて全然バックを見せてこなかった」
──フライ級GP準決勝、ガジャマトフ選手と対戦した、試合後の率直な感想をお聞かせいただけますか。
「勝てて良かったです、はい」
──ガジャマトフ選手と実際に手を合わせた感想を教えてください。
「いや、予想してたより打撃の散らしがすごい多くて、1R目はちょっと打撃がすごい見づらかったです」
──そこからご自身のペースに持っていけたのには何かタイミングがあったんでしょうか。
「そうですね。2R目から僕の打撃もちょっと当たってタイミングが合い始めてきたので、それで2R目以降テイクダウンのタイミングが合ってきた感じでした」
──扇久保選手の試合前に元谷選手が神龍選手に勝利して、これで大晦日、元谷選手との決勝戦となります。先にご自身が勝って感じたことは?
「そうですね……お互いにずっと同じ世代で戦ってきて、ベテランと言われる選手になって、まあここで決勝戦で、僕と元谷選手が戦うってことは、なんか、運命的なものを感じますね」
──決勝戦に向けてぜひ意気込みをお願いします。
「あと一個なんでもう本当に大晦日、格闘技人生全て懸けて、RIZINフライ級のベルトを絶対に巻こうと思っています」
──途中までなかなかテイクダウンを奪えない展開もあったんですけど、あの時に焦りがあったとか、必要以上に体力をロスしたりはしなかったですか。
「組みながら組みながら、まあ僕のスタイルなので、あれが。1R目、相手が腰すごい強いというのはもう予想してたので。徐々に、徐々にでもガジャマトフ選手の息が弱々しくなってくると感じたんで“来た!来た!”と思いながらやってました」
──ほぼ作戦通りという感じでしょうか。
「そうですね。はい。作戦通りでした」
──何度か食らいついて、7度ぐらい組んで、1回振り回されて、引きはがされた時もあったと思います。
「はい」
──右で差してテイクダウンして、ハーフになったところをマウントに行きました。ハーフから抑え込んで削る手もあったと思いますが、ガジャマトフに対してマウントということは、もう極めにいく、あるいは相手がそれに対応できないだろうと考えたのでしょうか。
「練習ではハーフ、マウントで相手がバック見せてきたところにチョークっていうのはもう僕の得意技なので、それを狙っていたんですけど、おそらくガジャマトフ選手は僕のバックをかなり警戒したと思うので、全然バック見せてこなかったので、ああいう展開になりました」
──それは3Rも変わらずということですね。
「そうですね、肩固めも入ってたんですけど、やった感じ、“もう完全にこれ極められるな”っていうほどには入ってなかったので、(ガジャマトフの)手が(側頭部に)入っていて。なので、最後マウントに戻って殴って終わったって感じでした」
──ラスト残り30秒ほどはフィニッシュしたいという気持ちで?
「そうですね。極めたかったです、はい」
──テイクダウンの時に、基本ダブルレッグは切られた、ボディロックは倒せた。2Rから切り替えるか、餌に使うようになった。ダブルかシングルかで組んでボディロックに行くようになった、その切り替えはいつ頃、判断しましたか。基本的にボディロックに狙いを定めたのですか、どこかで。
「本当は練習やプラン的にはボディロックから反対の手を取ってバックを取って崩すっていうプランをちょっと考えてたんですけど、(相手の)小手がすごく強くて、そこで行けなかったので。ちょっと切り替えて、差しで倒すっていうのは途中から切り替えました(※扇久保は右手で相手の左脇を差し、ガジャマトフに右脇を差させなかった)」
──元谷選手があれだけ神龍選手のテイクダウンを切り返しまくったのを見て、それでもあの元谷選手をテイクダウンして背中を着けさせて抑えこむ自信はありますか。
「あります、はい」
──元谷選手との前回の試合は記憶にありますか?
「しっかりあります」
──当時はスプリット判定勝ちですが、どんな試合だと感じましたか。
「いやもう、めちゃくちゃ疲れた試合だった記憶がありますね」
──扇久保選手でも疲れる、かなりの消耗戦でしたか。
「そうですね。もう最後、控え室戻るとき、本当に酸欠でトイレで戻したぐらいだったんで。本当にすごい疲れた試合でした」
──次の試合ではそれよりももっとキツい試合になる想定ですか。
「キツい試合したくないですけど(笑)、なると思います」
──ガジャマトフ相手に「おぎの塩」の戦い方を完全にやってのけたっていう手応えはありますか。
「手応えは、はい、プラン通りでした。でも最後は極めきりたかったっていうのは正直なところですね」
──元谷選手との決勝戦は6年ぶりとなりますが、何をぶつけたいと思いますか。
「前回、判定2-1でどっちが勝ってもおかしくない試合だったので。前回以上のお互いの全てをぶつけた試合にしたいですね」
──ベテランの2人が戦う決勝に物語性はあるんですけども、先ほどここに来たアーセン選手は、若い選手がなかなかベテランの壁を破れないことに歯がゆさを感じているようでした。扇久保選手としては、若手にもっと奮起を期待したいのか、ベテランと言われるファイターになってどう感じますか?
「まあ、どうなんですかね……。次の試合が僕と元谷選手、年齢的にも本当に2人ともお互いの総決算のような試合になると思うんで、“若手もっと頑張れよ”とか、そういう気持ちは正直ないですけど。でも、どうでしょう……まあ、大晦日は、元谷選手とお互いの格闘技人生の総決算になるような試合をしたいと思ってます」
──また3カ月後と近いですが、現在の体調的には怪我等、心配なことはありませんか。
「大丈夫だと思います。はい、わかんないですけど、やってみなきゃ。はい。このまましっかり仕上げていきたいと思っています」
妻と子には『あと一個勝ったら2000万円だよ』と
──今回、奥様とお子さんも名古屋に一緒にいらっしゃっているのですよね
「そうですね。今日見てました。まだ会ってないです」
──会ったら何と言いたいですか?
「『あと一個勝ったら(優勝賞金)2000万円だよ』と言いたいです」
──「パパ頑張ったよ」とかではないのですね。
「まあでも2000万円取んないと、多分奥さんも『頑張ったね』って言ってくれないかもしれない」
──厳しいですね。
「全力で頑張ります」
──賞金の使い道を決めてますか。
「そうですね、まあでも本当に奥さんにいっぱいわがままを聞いてもらってるんで、奥さんのやりたいことを、好きなだけやらせてあげるために使いたいなと思っています」












