2025年4月5日(土)タイ・ルンピニースタジアムにて『ONE Fight Night 30』(U-NEXT配信)が開催される。
今大会では2つのタイトルマッチが行われる。メインイベントは、ヘビー級ムエタイ世界タイトルマッチ3分5Rで、王者ローマン・クリークリャ(ウクライナ/Champ Belts)がリンドン・ノウルズ(英国/Knowlesy Academy)を挑戦者に迎えて2度目の防衛戦。
クリークリャは2012年10月にプロデビュー。『Kunlun Fight』や『SUPER KOMBAT』で活躍し、2016年にはK-1 GLOBAL WORLD GPヨーロッパ -95kgトーナメントで優勝。ONEには2019年11月から参戦し、現GLORY世界ライトヘビー級王者タリク・カバベにTKO勝ちして初代ONEライトヘビー級キックボクシング王座を獲得。アンドレイ・ストイカ、ムラット・アイグンを破り2度の防衛に成功。
2022年のONEヘビー級キックボクシングワールドグランプリで優勝すると、2023年12月にはアレックス・ロバーツをKOして初代ONEヘビー級ムエタイ世界王座も獲得し、キックボクシングルールとムエタイルールの統一王者となった。今回の試合はそれ以来となる、1年4カ月ぶりの試合となる。戦績は50勝(29KO)7敗1無効試合。
ノウルズはジョナサン・ハガティー、マリー・マクマナモンらが所属するジムの代表で、20年間にわたって英国のムエタイ界で活躍。2024年6月にTKO勝ちでWBCムエタイ世界ヘビー級王座にも就いた。38歳。
14連勝4連続KO勝ち中と世界最強ヘビー級王者への道を突き進むクリークリャを相手に、英国の強打者は番狂わせを起こすことが出来るか。
コー・メインはライト級キックボクシング世界タイトルマッチ3分5Rで、王者レギン・アーセル(スリナム/Sityodtong Amsterdam)がアレクシ・ニコラ(フランス/Mahmoudi Gym)を挑戦者に迎えての初防衛戦。
アーセルは15歳でムエタイを始め、プロに転向するとすぐにオランダ国内には敵がいなくなり海外へ相手を求めた。2016年11月に『Lion Fight』にて世界スーパーミドル級王座をTKOで奪取すると3度の防衛に成功。2017年5月には『Mix Fight Gala』の78.5kgトーナメントでも優勝している。ONEには2018年4月から参戦し、2019年5月にニキー・ホルツケンに判定勝ちでONEキックボクシング世界ライト級王座を獲得。その後、4度の防衛に成功すると2022年10月にはONEムエタイ世界同級王座決定戦で勝利、キックボクシングルールとムエタイルールの統一王者となった。
3月にシンサムットをKOしてムエタイ王座を初防衛、6月にはドミトリー・メンシコフをKOして2度目の防衛に成功。2016年3月から8年間無敗・23連勝を飾っていたが、2024年5月のアレクシ・ニコラ戦で判定負け。キックボクシング世界王座を奪われたが、10月のダイレクトリマッチでニコラに判定勝ち、王座を奪回した。戦績は62勝(27KO)5敗。
二コラはサバット出身で2019年にジュニア、2021年にシニアでそれぞれ世界王者となった。ISKA K-1ルール世界スーパーミドル級王座を持ち、2024年1月の『ONE Friday Fights 47』で初参戦。マゴメド・マゴメドフに判定勝ちして2024年4月、ONEライト級(※77.1kg)キックボクシング世界タイトルマッチの挑戦者に抜擢されると、王者アーセルを判定に破る番狂わせを起こして16戦無敗のまま王座に就いた。しかし、前述の通り10月のダイレクトリマッチで判定負け、アーセルに王座を奪われた。戦績は16勝(5KO)1敗。
共に3試合連続で同じ相手とのタイトルマッチ。手の内を知り尽くし、1勝1敗で迎える決着戦を制するのはどっちだ。
フェザー級ムエタイの注目カードは、シッティチャイ・シッソンピーノン(タイ)vs.ニコ・カリロ(スコットランド/Deachkalek Muay Thai Academy)の一戦だ。
シッティチャイはプロ160戦以上と鉄人的な戦歴を持つ現役のムエタイレジェンド。キックボクシングとムエタイを合わせ、世界王者に11回輝く。過去10年間に渡り、キックボクシングとムエタイで、最も圧倒的な強さを誇る選手の1人として評価を築き上げてきた。
ONEには2020年7月から参戦。2022年の「ONEフェザー級キックボクシングワールドグランプリ」では決勝へ進出するもチンギス・アラゾフに判定負け。2023年9月にモハマド・シアサラニに判定で敗れ、2024年1月の日本大会ではマラット・グレゴリアンにKO負けを喫して連敗したが、5月の野杁正明戦で完勝を収めて実力者健在ぶりを示した。しかし、12月のシャドウ・シンハ・マウイン戦では判定負けと近年は黒星が増えてきている。戦績は129勝(39KO)36敗5分。
カリロはスコットランド出身の25歳で、WMOウェルター&スーパーウェルター級王座、ISKAムエタイ世界65㎏級王座などを獲得。2023年4月にONEに初参戦すると、フルカン・カラバフを3R TKO。6月にムアンタイ・PK・センチャイを2R TKO。12月には元王者のノンオー・ハマをヒジ打ちで2R 失神KOに下し、2024年7月にはセーマペッチと対戦。2Rに3度のダウンを奪ってKO勝ち。ONEで4連勝、ONE参戦前から合わせると15連勝を飾っていたが、2025年1月の暫定ONEバンタム級ムエタイ世界王者決定戦でナビル・アナンに初回TKO負けを喫した。戦績は27勝(5KO)4敗1分。
再起戦のカリロがベテランのシッティチャイに引導を渡すか、それともシッティチャイがトップクラスの座を譲らないのか。
キャッチウェイト (-64.4kg) ムエタイ3分3Rでは、“ムエタイの鉄人”セクサン・オー・クワンムアン(タイ)とエイサー・テン・パウ(米国/Florida Kickboxing Academy)が対戦。
セクサンは、キャリア283戦203勝を誇るレジェンド。元ラジャダムナンスタジアム認定ライト級王者、元WBCムエタイ世界スーパーライト級王者で、2023年1月にONE Friday Fightsに参戦。怒涛の6連勝でONE本戦契約を獲得したが、2024年4月に麻火佑太郎に判定負け。その後はリアム・ハリソン、ソー・リン・ウーを破り連勝中。203勝74敗8分。
“The American Ninja”の異名を持つパウは、ONEデビュー戦こそメディ・ザトゥーに初回TKO負けも、ONEムエタイで2連勝。ハン・ズーハオ、ランボーレック・チョー・アッジャラブーンをいずれも3R KO・TKOに下している。2021年9月にはMMAも戦い『Titan FC 72』で初回TKO勝ち。2024年9月、ジョン・リネカーにKOで敗れた。
▼ライト級ムエタイ 3分3Rジョージ・ジャービス(英国/Lumpini Crawley)ムーシネ・チャフィ(スペイン/モロッコ/Internacional Gym)
ジャービスは2023年9月のONE Friday Fights初参戦ではタイのチャンナッジョンに判定負け、2024年2月はムスタファ・タクレティにスプリット判定で勝利し、8月にはリカルド・ブラボの連勝をストップした。11月には強敵ルンラーウィーをKOしている。これまでWBCムエタイ英国王座、WBCムエタイ世界スーパーミドル級王座、同ヨーロッパ王座、ISKA世界スーパーミドル級世界王座、WBCムエタイ・インターナショナルライトヘビー級王座を獲得。戦績は24勝(7KO)4敗。
チャフィは2023年7月、バルセロナでWBCムエタイ世界ライトヘビー級王座に就き、WBCインターナショナル・ムエタイ・スーパーミドル級王座、WBCムエタイ欧州ミドル級王座も獲得している。近年はリトアニアのKOKなどに出場し、2023年11月にONE初参戦。シンサムット・クリンミーに判定負け、12月の連続出場でもドミトリー・メンシコフにKOで敗れて連敗中。
▼ストロー級ムエタイ 3分3Rトンプーン・PK・センチャイ(タイ)ElmehdiEl Jamari(モロッコ/Ostora Fighters World)
トンプーンは2023年3月の『ONE Friday Fights 10』から参戦し、トゥモロー、ペットモンコル、ヤンダムに3連勝して12月の『ONE Fight Night 17』に出場。エリス・バドル・バルボーザのボディブローにKO負けを喫したが、バルボーザに禁止薬物の陽性反応が出たため無効試合に変更されている。2024年2月はティムール・チュイコフにTKO勝ち。しかし、5月にザカリア・ジャマリに判定負けでONE初黒星を喫すると10月もルイ・ボテーリョに判定負け。12月にダニエル・ウィリアムスにTKO勝ちで再起。ニックネームは“タイのサイタマ”とワンパンマンの主人公の名前を持つ。
ジャマリは今回がONE初参戦となる。 MMAはフライ級でサンジャル・ザキロフ(ウズベキスタン)vs.ボカン・マスンヤネ(南アフリカ)、アトム級でジヒン・ラズワン(マレーシア)vs.マカレナ・アラゴン(アルゼンチン)、バンタム級でカルロ・ブーミナアン(フィリピン)vs.Mauro Mastromarini(アルゼンチン)、ヘビー級でポール・エリオット(英国)vs.竹内龍吾(KING GYM KOBE)の4試合。フェザー級サブミッション・グラップリングのファブリシオ・アンドレイ(ブラジル)vs.Ash Williams(英国)も行われる。