2025年3月30日(日)あなぶきアリーナ香川にて『RIZIN.50』が開催された。
▼ライト級(71.0kg)5分3R〇野村駿太(日本/BRAVE)[3R 2分27秒 テクニカル判定3-0]×ルイス・グスタボ(ブラジル/EVOLUCAO THAI)
※偶発的なバッティングにより、試合続行不可のため、3R 2分27秒までのテクニカル判定
野村は現DEEPライト級王者。兄の影響で3歳から伝統派空手を習い始める。一時は空手を離れるも、高校時代には全日本空手道選手権大会5位の成績を残す。空手部に所属していた大学時代に伝統派空手出身の堀口恭司がRIZINで活躍する姿を見て衝撃を受ける。大学卒業後、空手を続けるため自衛隊に半年間所属したのち23歳よりMMAを開始。
21年9月、GRACHANでプロデビュー。22年7月より主戦場をDEEPへ移すと、泉武志、小金翔、元修斗王者の川名TENCHO雄生らを相手に勝ち星を重ねる。通算4連勝で迎えた23年7月、江藤公洋に判定負けを喫した。その後、再び2連勝を挙げ、24年9月に江藤が持つ王座の初防衛戦に挑戦。レスリングベースの江藤の組みを切り、逆に自身が得意とする打撃を効かせてフルマークの判定勝利を挙げてDEEP王座戴冠とともにリベンジを果たした。
地元の四国・愛媛今治出身で、四国初開催のRIZINでデビュー戦となる今回、ライト級王座挑戦経験者でストライカーのグスタボを相手に、伝統派空手出身ならではのスピード感とBRAVEで培ってきたレスリング力を武器に、DEEP王者として日本人ライト級屈指の実力を見せつけ、一気にRIZINライト級トップコンテンダーの座を奪い去る。
グスタボは、往年のシュートボクセスタイルを彷彿とさせるアグレッシブな突進力だけでなくグラウンドでも繊細な技術を兼ね備える。過酷な環境で幼少期を過ごし、ストリートの抗争に巻き込まれ父親を亡くしたのち地元が開放していた格闘技ジムに通い始める。
数々のアマチュア大会を経て14年に18歳でプロデビュー。16年、ヴァンダレイ・シウバにポテンシャルを評価され、アンドレ・ジダ率いるEVOLUCAO THAIに移籍、着実に勝ち星を重ねる。18年8月、初参戦のRIZINで矢地祐介をKO。19年にはライト級GPに参戦。大晦日にパトリッキー・ピットブルにTKO負けを喫し、準決勝敗退の結果に。
コロナ禍を経て22年4月、矢地と再戦。約2年のブランクを感じさせない動きで圧倒し2R TKO勝利を収めると続く9月には大原樹理を1R TKOし2連勝。怪我からの復帰戦となった23年4月に武田光司に判定勝利、24年2月には堀江圭功に判定勝利を挙げて「4連勝」。
悲願のタイトル挑戦となった9月、王者サトシの鉄槌を浴び1R TKO負けを喫した。再起戦の今回、DEEP王者野村の空手出身の打撃を自身の荒々しい打撃で呑み込み、再び頂点を目指す構えだった。
試合は、先に間合いを制した野村に、距離を詰めたグスタボ。野村は伝統派空手独特の2ステップの踏み込んでの右でグスタボを崩すと、シングルレッグからダブルでリフト。そこにグスタボはギロチンチョークも野村は冷静に首を守る。
2Rには野村は得意の組み力を発揮し、テイクダウンで圧倒。3Rに偶発的なバッティングにより、グスタボが試合続行不可能となり、ここまでの判定で勝敗を決することとなり、判定は0-3で野村。ライト級の海外強豪グスタボを降すRIZINデビューとなった。
野村駿太「(試合前の募金活動は)注目されているときに、地元・今治のためにできることをしたかった」
──試合後の率直な感想をお聞かせいただけますか。
「そうっすね……まあ素直に勝てて良かったっていうのもあるのですけど、途中でいい勝ち方ができそうなのを、それだけに集中しちゃって危ないシーンとかがあったので、もう少し自分の動きをしながら、いい勝ち方したかったなという反省はあります。でも素直に地元の四国で勝ててよかったです」
──グスタボ選手と実際に対戦した印象は試合前と違うところがありましたか。
「まあ想像通りだったのを、僕がちょっと付き合い過ぎたという感じだったですね。
──もともとの作戦とはちょっと違った方向になってしまったということでしょうか。
「そうですね。1回最初にクロスカウンターみたいなのが当たっちゃって、いい勝ち方をしたくて、そればっかりになっちゃったので。途中で、2R目にタックルに行ったり、そこで冷静さを取り戻せたのは良かったかなと思います」
──今回初参戦のRIZINで、地元四国での開催となりましたが、リングから見た印象は?
「最高だったっスね」
──試合を終えたばかりですが、今後の展望・目標を教えてください。
「“こんなもんじゃない”というか。グスタボ選手に勝てたことは素直に嬉しいんですけど、僕ができることや、やれることはまだまだこんなもんじゃいないので、もっとできるところをまたみんなの前で、すぐ見せたいなと思っています」
──カットによる途中判定でしたが、フルラウンドやりたかったですか? やっていたらもっと結果を出せていたと思いますか。
「そうですね。出血したあたりでグスタボ選手が来るのをもう捌くだけになっていたので、自分のなかで一回気持ちがストップして、“出てる! 出てる!”みたいになっちゃったので。まあ、そこを最後まで仕留めにいくような感じにしたかったなと思っています」
──序盤に打撃で先手を取る場面もありました。冷静に対処して、攻め気になることはなかったですか。
「まあそうっスね。もうちょっと自分軸で戦いたかったんですけど、途中いいカウンターが当たったあたりで自分軸じゃなく、“相手に対して僕はどうするか”みたいな感じになっちゃったので。もっと自由に自分勝手に動けたら良かったかなとは思っていますね」
──1Rにギロチンのシーンもありました。そこは冷静に?
「全然大丈夫だったですね」
──あのまま凌いでブレイクを待っていた状況ですか?
「まあ、そうですね。逆に向こうがあれで疲れるだけだと思ったので。僕が無理に抜きに行く方がリスクかなと思ったんで。待って相手が諦めてくれたら上取れるし、リスタートしたら、さっきまで僕が打撃で勝っていたから、そっちのほうが嫌だからしがみついているんだろうと思ったんですよね」
──これまでの試合ではケージでした。今回、2Rで早々にタックルに行きコーナー際でコントロールしていましたが、ロープから身体が出たりということもあり難しかったですか。
「そうですね。ロープで頭だけ出て足はここにあるので、今まで感じたことのないやりづらさは正直ありました」
──同じジムの木村柊也選手が豪快KOをした後のリング上のマイクで、野村選手が「この後、いい試合をする」と。パワーになりましたか? プレッシャーになりましたか?
「シンプルにプレッシャーになりましたね! ハハハ。いや、“やっぱ、いい勝ち方するな”と思いましたし、自分もそういうシーンが訪れたときに、自分自身のなかで“やってやりたい”みたいな感じになっちゃったんで、もう少しうまく戦うつもりだったんですけど、“いい勝ち方したい”みたいなのはありましたね」
──次、また二人で出たいですか。
「一緒に出たいというわけではないですけど、同じ四国だったので、木村が頑張っていると僕も負けじと頑張れましたし、BRAVEでストライカーは珍しいんですけど、これから、まだまだいっぱいいるので、一緒に切磋琢磨してやっていきたいなと思っています」
──大事なグスタボ戦の前の会場で、地元・今治の募金活動に立っていました。
「そうですね。正直、僕ができることってこういう注目されているときに、まだ全然名前もないので、注目されているときに、地元のためにできることなら、ちょっと疲れてもそんなに変わらないので、ちょっとでもできたらな、という思いで、参加させてもらいました」
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ルイス・グスタボ「コントロールされたとは思っていなくて、膠着させられただけ」
──試合後の率直な感想をお聞かせいただけますか。
「負けるのはいつもとても悲しいことなのですけど、このような負け方をして、とても悔しく思います。偶発的なバッティングによる出血で審判が止めて残念ながら終わってしまいましたが、自分としては明日まででも続けられるつもりでしたが、レフェリーが止めて、試合が終わってしまいました……」
──実際に戦った野村駿太相手の印象は?
「膠着させられたような感じがしました。彼は強いストライカーでしたが、自分のパンチが効いているなとわかったら、自分をグラウンドにひきずり込んで試合を膠着させたように思います」
──打ち合いをしたかったということですか。
「自分はスタンドで戦いたい、打ち合いたいと思っていましたし、自分のパンチはよく当たっていたと思います。自分がカットしたのも相手の頭が当たったのであって相手のパンチが当たったわけではありません」
──試合を終えたばかりですが、今後の展望・目標を教えてください。
「自分の目標は変わりません。常にこの階級でチャンピオンになることが目標。日本が大好きで、日本のエネルギーもファンの方も大好きで、もっと日本で試合をしたいと思っています。先ほど、榊原さんにも柏木さんにも頼みましたが、できるだけ早く日本ん戻ってもう一度試合をしたいと思います」
──2R、上からコントロールされたのはフラストレーションの溜まる時間が続いたのではありませんか?
「“コントロールされた”とは自分では思っていなくて、膠着させていただけだと思います。ロープの近くで試合を運ぶのはとても難しいことなのでそういう状況を相手がわざと作っていたと思います。彼が自分に唯一当てた打撃は、頭によるものです」
──反則行為を受けたと感じているのですか?
「わざとだとは言っていませんし、そうも思っていません。偶発的に起こったことだと思います。ただ、彼が自分に与えたダメージはそれが唯一だった。自分の打撃が3、4回相手をふらつかせたことを感じていました」
──ギロチンチョークは極まったと思っていましたか。
「ギロチンでフィニッシュできるとは思っていなかったです。ちゃんと極まっていなかったから。そこは早めにレフェリーが止めて、立たせてくれるのを待っていた状態、という感じです」