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【RIZIN】朝倉未来が矢地祐介に完勝、堀口戦に向け石渡と扇久保が勝利、サトシが廣田をTKO、川尻勝利、北岡敗れる=『RIZIN.17』全試合詳報

2019/07/28 14:07
【RIZIN】朝倉未来が矢地祐介に完勝、堀口戦に向け石渡と扇久保が勝利、サトシが廣田をTKO、川尻勝利、北岡敗れる=『RIZIN.17』全試合詳報

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2019年7月28日(日)さいたまスーパーアリーナに16,930人(主催者発表・満員)の観衆を集め『RIZIN.17』が開催された。

メインの第12試合では70.0kg契約で矢地祐介と朝倉未来が対戦。朝倉が3R終了間際にダウンを奪い判定勝利し、年末のBellatorとの対抗戦で矢地に共闘を呼び掛けた。また、バンタム級相当の61.0kg契約試合では、RIZIN&Bellator2冠王の堀口恭司がリングサイドで見守るなか、石渡伸太郎が佐々木憂流迦にノースサウスチョークで一本勝ち、扇久保博正が元谷友貴に判定勝利し、石渡と扇久保が互いに対戦を承諾した。

第5~7試合では同じくライト級相当で、元UFCのジョニー・ケースが北岡悟にTKO勝ち、川尻達也がアリ・アブドゥルカリコフに判定勝ち、さらにホベルト・サトシ・ソウザが廣田瑞人にTKO勝ちし、10月12日に大阪で開幕する「RIZIN.19」ライト級GPに向け存在をアピール。榊原信行CEOは大会後総括でライト級GP出場選手について「ケースとホベルト・サトシ・ソウザは当確でいいんじゃないですかね」と語った。

▼第12試合 70.0kg契約 RIZIN MMAルール 5分3R ※ヒジあり
×矢地祐介(69.90kg/KRAZY BEE)
[判定0-3]

○朝倉未来(69.85kg/トライフォース赤坂)

メインとなる第12試合では、70kg契約で朝倉未来(トライフォース赤坂)と矢地祐介(KRAZY BEE)が対戦する。

互いに右利きサウスポー。その精度とスピードは蹴りも含め朝倉に分があり、力強さでは前手の右フックも含め矢地が上回る。下がりながらダロン・クルックシャンクをマットに沈めたパンチも利き手の右だった。

互いに組み技を強化し、矢地は首相撲からのヒザ蹴り、さらに相手の蹴り足を取っての小外刈を合わせたテイクダウンも得意とするが、朝倉は「テイクダウンデフェンスに少し重きを置いているので蹴りは試合でもあまり使わないかもしれない」と研究済みだ。

グラウンドでは、2007年のアマチュア修斗からキャリアを積む矢地に一日の長があり、下になってもオーバーフックからの三角絞めで五味隆典を極める「寝技らしい寝技」も見せるが、トライフォース赤坂所属で和術慧舟會HEARTSや高阪剛率いるALLIANCEに出稽古もしている朝倉はレスリングを強化し、グラウンドでも立ち上がる術がある。

注視すべきはこの試合が70kg契約で行われること。本来バンタムからフェザー級(65kg)の朝倉が、増量して臨む矢地戦でいかにライト級にフィットできるか。矢地はスピードを損なわず、当日どこまで戻してパワフルに戦うか。矢地にとっては10月12日に大阪府立体育館大会で開幕するRIZINライト級GPに向け、2連敗のいまこれ以上負けられない一戦であり、「常に自由でいたい」という朝倉にとっては、主催者が望む試合に勝利し、発言権を得るためにも6連勝を飾りたいところだろう。

対戦相手の矢地について朝倉未来は、「余裕がないスかね。打撃で待てないのと、フェイントに対しても大きなリアクションしか返せない」とスタンドでの優位性を語ると、矢地の「空気を読まない」発言に対しても、「その『勝ちに徹する』試合が、寝技に持っていってやるみたいな感じかもしれないけど、俺から簡単にそうテイクダウン取れないから。向こうがどうしようが、どっちにしろ面白い試合になる」と一蹴。矢地の隠れた武器とするグラウンドについても「テイクダウンデフェンスに少し重きを置いている」と対応済みであることを語った。

「自分の強さの再確認になると思う」──気負いなく語る未来は70kgでも、背水の陣の矢地をのみこむか。

対する矢地は「うちのジムに中指立てたわけじゃないですか。『KRAZY BEE、勝ってないから』とかの発言(「RIZIN CONFESSIONS」にて)。あれは絶対許せないし、なんだアイツ? とジムの関係者もみんな思っている。その思いを晴らすのは俺しかいない。みんなの思いを拳に乗せて叩き潰したいって、毎日思っている」と憤る。

朝倉戦に向け、「今まで全くしてこなかった」出稽古も敢行。帝拳ボクシングジム、ロータス世田谷ではかつてRIZINで対戦した北岡悟、さらに青木真也ら「スペシャリストのいるところへ行って、一から足りない部分を教えてもらった」という。また、KRAZY BEEに出稽古に来る田中路教、ISAO、リオン武らトップファイターとも練習を行うことで自身の強みの再確認ができている。

「70kgの階級で世界の強いヤツとやってもそうそう組み負けたことないし、力が強いと思ったことはない。(朝倉は)70kgでやらなければよかったとみんなも本人も思うでしょうね」と、自分の階級で戦うことに絶対の自信を見せている。

70kg契約、5分3Rで対戦する矢地と朝倉、“令和の大喧嘩”で最後にマットに立っているのはどちらか?

1R、ともにサウスポー構え。左ローから入る矢地。朝倉の左ミドルに矢地は尻餅をつくが朝倉は深追いせず。立つ矢地はさらに左ロー。カーフキック狙いか。2発目はかわす朝倉。3発目を打つ矢地。距離を取る朝倉。矢地は左ロー。朝倉は右ボディフック!

しかし矢地も左ローをカーフキックで当てる。そこに朝倉は左ストレートを合わせにいく。圧力をかけていく矢地は右ハイで牽制。オーソ構えからスイッチして左ハイは朝倉。矢地の入りには左フックをボディに当てる。さらに右の二段蹴りは朝倉!

朝倉の前足に左ローは矢地。圧力かける朝倉は右フックで飛び込むと大きな左アッパーは空振りも残像を残す。さらに左ハイ。回ってかわす矢地の跳びヒザの打ち終わりに左右をまとめ、さらに左ローを当てる。

2R、グローブタッチする両者。前足を上げてからダブルレッグは矢地。しかし切って回る朝倉は笑顔。左ローを狙う矢地。さらに左ハイは朝倉がブロック。朝倉の左のカーフキックに矢地の右足が赤く腫れる! そしてボディブロー! さらに左ローに矢地の右足が流れる! 矢地は左右を振ってダブルレッグへ。テイクダウンもすぐに立つ朝倉。矢地は今度はボディロックでコーナーに押し込む。倒されない朝倉。背後からフックを狙う矢地。スタンドでサイドにつく矢地に正対した朝倉は突き放す。

圧力をかける朝倉は左ロー。朝倉の左から右の二段蹴りを掴んでシングルレッグは矢地。朝倉はトップロープを掴んでテイクダウンを防いで左右で追いかけると矢地はレフェリーに注意をうながす。ゴング。朝倉に「注意」が与えられる。

3R、左ローを当て遠間から右で飛び込む朝倉。さらに右ハイキック。下がる矢地は圧力をかけなおす。朝倉のカウンターを警戒する矢地。さらに右左にダブルレッグは矢地も朝倉は脇を差し上げ投げ返す。矢地のダブルレッグを切る朝倉が圧力をかけ右アッパー狙い。外した矢地に右ジャブ!アゴが上がる矢地。

朝倉は右の蹴りを打つと蹴り足をつかみにいく矢地。足を抜く朝倉。矢地のダブルレッグからの得意の小外刈りを切り返して上を取るのは朝倉! インサイドからパウンドを入れてから立ち上がる。左を振る朝倉。さらに矢地の右をかわすと脇を潜り振り回すパワフルな面も見せる。矢地は左ハイもかわす朝倉はワンツーからさらに左ロー!

左右を振り矢地を誘う朝倉。矢地も大きなワンツーから右を振ると朝倉は両手を広げて来いとアピール。矢地もカモンとポーズすると、大きなワンツー。矢地の右を浴びながらもスウェイで逃がした朝倉は、カウンターの左ストレート! 矢地がダウン! 残り時間を知ってか、そのまま追い打ちはせずに、朝倉は後ろを向いて手を挙げて勝利を確信したところでゴング。

判定は3-0で朝倉が勝利。リング上でマイクを渡された朝倉は、「まあ、なんかいろいろありましたけど、矢地くんと俺とリスク持ってやったからここまで盛り上がったと思います。煽り(映像)ではKRAZY BEEのことを馬鹿にするような感じになっちゃいましたけど、全然、リスペクトしてるんで、また出稽古で教えてください」と因縁の煽り映像からの和解を語ると、リング上での矢地との会話については「喋るより拳を交えたら伝わる」とし、「年末、Bellatorと対抗戦やるんだっけ? 一緒に戦って日本の格闘技を盛り上げましょう」と矢地に共闘を呼び掛けた。

また、70kgでの試合については、「タックル来られたときに重いなって思いました。でも1回もテイクダウンされなかったし、俺の腰の強さ分かりました?」と感触を語ると、今後については「そうですね。ちょっと考えときます」と答え、会場のファンに「格闘技盛り上がっているのもみんなのおかげです。ぜひ、会場に来てください。あと……YouTube登録してください」とアピールした。

さらに、試合後の会見では「ライト級GPにはぶっちゃけそこまで興味はないですね。フェザー級ならUFCでも通用すると思うけど、ライト級だとトップどころに勝てるとは思わない。そういう気持ちを持って(ライト級GPに)出たくない。フェザー級GPなら……」とあらためてライト級GP出場は拒否。しかし、榊原CEOは「フェザー級GPはない。ライト級GPに出てもらいたい。朝倉未来をくどきたい」と話しており、朝倉はどんな選択をするか。またあらためてBellatorとの対抗戦については「ファイトマネー次第です」と語った。

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