MMA
レポート

【UFC】マカチェフがヴォルカノフスキーに5R判定勝ちでライト級王座防衛、ヤイール・ロドリゲスがフェザー級暫定王者に、マダレナがUFC4連続1Rフィニッシュ、タファがハントばりKO! クリバオが元K-1バグダザリアンを極める、ルックブーンミーが一本勝ち!

2023/02/12 08:02
【UFC】マカチェフがヴォルカノフスキーに5R判定勝ちでライト級王座防衛、ヤイール・ロドリゲスがフェザー級暫定王者に、マダレナがUFC4連続1Rフィニッシュ、タファがハントばりKO! クリバオが元K-1バグダザリアンを極める、ルックブーンミーが一本勝ち!

(C)Zuffa LLC/UFC

 2023年2月12日(日)豪州パースのRACアリーナにて『UFC 284: Makhachev vs. Volkanovski』が開催された(※高阪剛解説)。観客数は14,124人で満員。総収益は5,911,598豪州ドル、4,083,141USドルを記録。これはオーストラリア開催イベントの最高興行収入となった。

▼UFC世界ライト級選手権試合 5分5R
〇イスラム・マカチェフ(ロシア)王者 24勝1敗(UFC13勝1敗)※UFC12連勝
[判定3-0] ※48-47×2, 49-46

×アレクサンダー・ヴォルカノフスキー(豪州)挑戦者 25勝2敗(UFC12勝1敗)※UFC12連勝でストップ
※マカチェフがライト級王座防衛

 3年3カ月ぶりの豪州大会のメインイベントは、現UFC世界ライト級王者イスラム・マカチェフ(ロシア)が、現UFC世界フェザー級王者のアレクサンダー・ヴォルカノフスキー(豪州)を迎えうつライト級王座初防衛戦。

 マカチェフ(31歳)は、ダゲスタン共和国マハチカラ出身で、ハビブ・ヌルマゴメドフと同じくアメリカン・キックボクシング・アカデミー(AKA)でもトレーニングする。

 サンボ、ダゲスタンレスリングをベースに、2010年にプロMMAデビュー。2016年にコンバットサンボ世界選手権(74kg未満級)でも金メダルを獲得している。

 驚異の11連勝でUFC入り。オクタゴンデビューイヤーの2015年10月にアドリアーノ・マルチンスに1R TKO負けで、キャリア13戦目にして初黒星を喫した以外は、MMA23勝1敗(4KO・TKO/11SUB)で、11連勝中。

 2022年10月の前戦では、シャーウス・オリヴェイラ(ブラジル)に左でダウンを奪っての肩固めで2R 一本勝ちし、ライト級新王者に輝いた。

 対する地元のヴォルカノフスキー(34歳)は、ラグビー出身。グループ7ラグビーリーグに所属するワリラレイク・サウス・ゴリラズのフロントローとして活躍後、MMAに転向。

 UFCデビューから12連勝中(MMA22連勝)。2022年7月の前戦では、2019年と2020年に対戦し、いずれも判定勝ちしているホロウェイと3度目の対戦で判定勝ち。フェザー級4度目の王座防衛に成功している。

 前日計量では、王者のイスラム・マカチェフは本計量でパンツを脱ぐなど減量に苦しみながらも、155ポンド(70.31kg)でパス。フェザー級から階級を上げるヴォルカノフスキーは154.5ポンド(70.08kg)で計量している。

 公開のフェイスオフでは、地元のヴォルカノフスキーが「すべてを賭けて危険な戦いをする。全てをブッ飛ばしてやるよ。レッツ・ゴー!」と煽ると大歓声。

 ブーイングを受けたマカチェフは、「ここに20日間もいたんだ、みんな愛している。でも明日はみながうろたえることになるだろう」と挑発した。

 クレイグ・ジョーンズと組み技の対策もしてきたヴォルカノフスキーは、前日会見でも「相手は俺をナメてるから、たいして対策もしてきてないんだろう。だから自分が最高だと証明し、自分こそがパウンド・フォー・パウンドに君臨する」と自信。

 マカチェフは、「この試合は柔術じゃない。クレイグ・ジョーンズが何をしようと関係ない。俺はアレックスが対戦してきたどの相手とも違う。自分は違うレベルにいる。パウンドフォーパウンドの座を奪うためにこの試合をする」と応戦している。

 果たして真のパウンドフォーパウンド1位は、マカチェフか、ヴォルカノフスキーか。地元の満員の大観衆による豪州のメンアットワーク『Down Under』の大合唱で迎えられたヴォルカノフスキー。続けて、ブーイングのなか、マカチェフがDJ nariman『Dreams』でケージイン。

 1R、オーソドックス構えのヴォルカノフスキーに、サウスポー構えのマカチェフ。向かい合うと身長差が際立つ両者。喧嘩四つから前手争い。

 マカチェフの左ローがかすめるが、ヴォルカノフスキーの右ローは空振り。左前手のフックから胸への右ストレートでマカチェフは後退! しかし続くヴォルカノフスキーの前進をいなすマカチェフ。

「オージーオージー」の大歓声のなか、近距離で左を当てたマカチェフ! 一瞬崩れたヴォルカノフスキーに左ハイも。ブロックするヴォルカノフスキーは打ち返しにスタンドバックに。後方に崩して左足をかけると、右足もかけて右腕でアゴ上から絞めに! しかし時間を見ているか。ここは凌ぐヴォルカノフスキーとマカチェフも笑顔。

 2R、中央を取るヴォルカノフスキー。マカチェフの左フックをダッキングでかわす。左の蹴りはマカチェフ。ヴォルカノフスキーは右から左! テンプルに受けて腰を落としたマカチェフに殴りかかるが、シングルレッグで足を手繰るマカチェフ。スイッチを狙うヴォルカノフスキーはスタンドバックのマカチェフの投げを切り返して上に。離れる。

 首相撲からボディロックに移行するマカチェフに体を入れ変えたヴォルカノフスキーは離れる。圧力をかけるマカチェフ。ヴォルカノフスキーは左から右の飛び込みも軸がぶれる。左からカーフのヴォルカノフスキー。マカチェフも左を当てるとヴォルカノフスキーが後退。しかし、左ローを当てて押し戻すヴォルカノフスキーが金網背に。飛び込んで首相撲のマカチェフに体を入れ替えて押し込むヴォルカノフスキーが右を差してホーン。

 3R、ヴォルカノフスキーの前手を警戒し、右手を下げないマカチェフ。ヴォルカノフスキーは一瞬スイッチするもオーソに戻す。圧力をかけるマカチェフ。ヴォルカノフスキーの入りに首相撲。それを嫌って突き放すヴォルカノフスキーに、左ミドルを当てるマカチェフ。

 左ストレートを打つマカチェフ。ヴォルカノフスキーは右インロー! バランスを崩したマカチェフに左の飛び込み、そこに右を合わせようとするマカチェフは、首相撲から巧みに押し込みダブルレッグテイクダウン! 金網背に立ち上がり正対するヴォルカノフスキー!

 右で差して離れ際に左右をまとめる。スイッチしながら動くヴォルカノフスキーの左に右を狙う。右インローを突くヴォルカノフスキー。マカチェフも右ジャブも圧力をかけるヴォルカノフスキーにマカチェフは尻餅。立ち上がりにがぶりも首抜くマカチェフ。

 セコンドに「1、2R取られてるか」と聞くヴォルカノフスキー。セコンドは「分からない、次は取れ」と指示。

 4R、サウスポー構えからオーソに戻すヴォルカノフスキー・マカチェフはワンツーの左。左から右を伸ばすヴォルカノフスキーは強弱をつけて左右。しかしマカチェフはタイミングよくカウンターのダブルレッグテイクダウン! ケージまで這うヴォルカノフスキーのバックを奪い、4の字ロックへ。背後のマカチェフにパンチし、マウントを譲っても動こうとするヴォルカノフスキー。グローブを掴むなというレフェリーの指示。マカチェフはバックコントロールも絞めにはいかず。「カモン」と攻めをうながすヴォルカノフスキー(※試合後ヴォルカノフスキーは背後のマカチェフに「思ってたほど強くない。しがみついてるだけなのか?『15秒で俺を沈める』じゃなかったのか?」と語りかけ、苛立たせようとしていた、とコメント)。笑顔のマカチェフは動かず。背後から細かくパウンド。

 5R、右手を挙げるヴォルカノフスキー。グローブタッチ後、ハグをかわし最終Rへ。ヴォルカノフスキーの右インローに左を合わせるマカチェフ。ワンツースリーから左ローに繋ぐヴォルカノフスキー。しかしマカチェフもヒザを突く。近くなると首相撲ヒザはマカチェフ。

 剥がすヴォルカノフスキーにダブルレッグはマカチェフ。右で小手に巻き立ち上がるヴォルカノフスキー。スタンドに。左目尻から出血のヴォルカノフスキーに左足にシングルレッグのマカチェフ。しかしヴォルカノフスキーはスイッチから立ち上がり!

 詰めるヴォルカノフスキーは投げもマカチェフは残す。マカチェフは左小手巻きから投げも残すヴォルカノフスキーが前に。残り1分。ついに右を当てたヴォルカノフスキーに、崩れたマカチェフ。5Rのスタミナが厳しいか。右をオーバーフックしてだきつくマカチェフはクローズドガード。上のヴォルカノフスキーは体を離し鉄槌、パウンドも決定打にはならず。

 やはり5R戦で強さを増したヴォルカノフスキーだが、試合は判定となり3-0(48-47×2, 49-46)でマカチェフが勝利し、ライト級王座を防衛。

 試合後、疲労と安堵を感じさせる表情のマカチェフは、「とてもハードな試合だった。試合前に色々あった。彼はタフな相手だったし、こういった試合は自分にとってより良いファイターになるために必要なことだ。(驚きは?)彼の準備によるものだと思う。(判定は割れず3-0だったが?)いつでも接戦で大変な相手だ。なぜ自分がナンバーワンなのか、その理由を示すことができた。彼は良い打撃とレスリング、グラップリングのスキルを持っている。彼のホームでの試合で(ヴォルカノフスキーが勝つには)もっと強くなる必要がある。好きでも嫌でも、今自分が世界最高のファイターだ。ありがとう!(今後は自分の階級の)本物の挑戦者と戦いたい。シリアとトルコで起こっていることも忘れないで」とコメント。

 マカチェフのコメント時に観客に静かに聞くように両手でジェスチャーしたヴォルカノフスキーにもマイクが向けられ、「サポートをありがとう。まずはマカチェフに拍手を。チャンスをくれてありがとう。俺に勝ち目無いと思ってた人はこれで満足しているかもしれないけど、俺は勝つチャンスを自分に与えたし、勝つつもりでいた。彼が強いのは分かっていたけど準備はできていた。 良い試合だった。もう少しできたかもしれないが仕方ない。イスラム、おめでとう。

(これまでで最もタフな試合か?)もちろん一番タフな試合位だった。自分を誇りに思うよ。彼は俺のレスリングとグラップリングを十分リスペクトしてなかったし、俺も彼の打撃を十分リスペクトしていなかったかもしれない。いくつか良いのをもらったから。 でも2人ともよく戦ったと思う。

(暫定王座に就いたヤイール・ロドリゲスとの統一戦も?)やらなきゃいけないね。まだまだ現役として戦うつもりだ。自分の階級に戻ってフェザー級でもビッグファイトをやろう。みんなも勝ってからメッセージを送りたかったけど、もっと強くなって、フェザー級では負けない。イスラムが強かったから自分をプッシュできた」と語ると、最後に「オーストラリア! オージーオージーオージー」の大合唱で地元のメインを締めた。

MAGAZINE

ゴング格闘技 NO.331
2024年3月22日発売
UFC参戦に向け、ラスベガス合宿の朝倉海。「プロフェッショナル・ファイターの育て方」でチームを特集。『RIZIN.46』鈴木千裕×金原正徳インタビュー、復活K-1 WGP、PFL特集も
ブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリアブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリア

関連するイベント