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インタビュー

【RIZIN】1日2試合の是非が問われるGPの死闘、朝倉海は右拳骨折で全治3カ月、瀧澤は左顎骨折、優勝・扇久保「もう2度とワンデーは──」

2022/01/07 12:01

「次の時代を作らないと」圧勝を掲げた井上

「悔しいです」──試合後インタビューで最初に口にした言葉に、GPに賭けていた思いが滲み出た井上直樹。

 6月の1回戦で「最速フィニッシュ」となる118秒TKOで石渡伸太郎に勝利した井上だが、右の拳を負傷。9月の2回戦の金太郎戦では右を温存した上での判定勝利も、その勝ち方に納得していなかった。

 大晦日の準決勝と決勝で圧勝することを自らに課していた井上。試合前日の公開計量では、「次の時代を作っていかないといけないので、絶対に優勝する」と、珍しく強い気持ちを表に表していた。

 その言葉通り、ハイペースで前へ、前へと先に詰めたのはリーチで優位なはずの井上だった。右のカーフキックを効かせて圧力をかけていく。

 しかし、扇久保は前回の記事に記した通り、「一歩引いた距離、俺の『蹴りの距離』で戦うように設定していたので、井上選手のパンチは見えていて、当てられても良い打点では当たってなかった」と、空手出身の得意技であるオーソからの前足のジャブ代わりの左ミドルハイを含めた、蹴りの間合いで立ち会うことを決めていたため、井上は序盤から追い足を使うことになる。

 扇久保のシングルレッグを押し倒す形で上を取った井上。足関節狙いからディープハーフガードで腹に頭をつける扇久保に対し、井上はヒジを連打。しかし凌いだ扇久保の蹴り上げに立たれている。1R後半のシングルレッグも切ってバックテイク。しかし、井上が得意とするリアネイキドチョークは、扇久保にとっても得意技。その防御方法は熟知しており、残り時間を計算しながら無理に動かず防御に徹した。

 2Rも、序盤は井上のポジションだった。しかし、ここで扇久保は井上に消耗を感じていたという。

 ワンツーからの右ヒザを突いて近い距離になった井上は四つに組んでクラッチを取ると、サバ折り気味にテイクダウン。今度は脇差しから腰を切ってパスガードし、サイド、マウントまで奪っている。

 ここでパウンドを受けた扇久保だが、ハイマウント気味になったところで井上が扇久保の首下に固定した左腕を、扇久保は「右脇下にオープンフィンガーグローブごと挟んで」巻き込み亀に。井上が両足はフックしながらも下になった際で、扇久保は背中を見せる回り方で正対。そこでもバックについて行こうとする井上だが、扇久保は井上の左足の踵をアンクルピックで持ち上げ、井上のバックを阻止している。

「1R目より息遣いが荒く、(差し込んできた)足の力が弱くなっているなと感じ、ここでスクランブルだと思った」扇久保が上を取ることに成功。左で脇を差しながら、大きく右足を踏み出して片足をパス。ハーフから右で枕に巻き、右脇に頭を突っ込んで背中ごしにクラッチ。この扇久保の盤石の形が、井上のスタミナ削った。

 背中を着かされながら懸命に腰を切ってフルガードに戻してから這うようにして身体を伸ばしてスペースを作り、立ち上がろうとした井上。ここでがぶりから引き落とし、一気にバックを奪った扇久保は、中腰で前に落とそうとする井上に落とされることなく潰して、リアネイキドチョーク。ニアフィニッシュの場面を作っている。

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