瀧澤は左顎を骨折、そのとき朝倉も右拳を骨折していた
6月の1回戦で今成正和に判定勝ち。2回戦で元谷友貴を1R TKOに下してベスト4に進出した瀧澤謙太は、朝倉海との準決勝で顎を骨折しながら、フルラウンドを戦い抜いた。
顎が折れたのは、ダウンを奪われた朝倉の左フックではなく、その後の右ストレートだという。
「折れたのは、僕の左下の顎。だから右のパンチだと思います。左フックをもらいフラッシュダウンして、すぐに体勢を戻して“これはKOしなくてはならない”と思って、焦って前に出てパンチをぶん回したところに、右ストレートを被弾しました」
もしかしたら、それは朝倉海が骨折した右の強振かもしれない。右の拳と左顎、両者は文字通り、骨を断つ打ち合いで勝利をもぎ取ろうとしていた。
その後も前に出続けて、右のバックフィストを狙った瀧澤だが、左ジャブ、左ハイとアウトボクシングに切り替えた朝倉が距離を取ったところで、ゴングが鳴った。
判定は3-0で朝倉が勝利。瀧澤のバンタム級GPは幕を閉じた。
陣営によれば、1月半ばに骨折した左下顎を手術予定で、全治は2カ月だという。
「飛び出ていた八重歯にピンポイントでパンチをもらい、歯が折れずに耐えて顎に“亀裂”が入った形。骨と骨との間は開いてなくて、そこまで重症な折れ方ではないので、2週間ほどでトレーニングを再開でき、激しいスパーリングなどができるようになるまでは、2カ月かかるそうです」
試合直後に「俺はまだまだ強くなれる、必ず這い上がる。対戦してくださった朝倉海選手、応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。また試行錯誤して、より強い自分になります。押忍」とツイートしていた瀧澤。その後も、「こいつはバカなのか? と思われるくらいがちょうどいい。信じられないことは自分を信じるところから始まる。俺は諦めない」「怪我しましたけど、全治2カ月ということなのですぐに復活して強くなって帰ってきます。伸び代しかないぜ」と、折れない心を見せていた瀧澤。
本誌への新年の挨拶に、あらためて、「大晦日負けてしまいましたが、自分の足りないところや練習したいことも増え、良い経験になりました! 次戦、強くなって帰ってきます」と記している。“GPでもっとも成長した男”は、トップどころとの戦いを経て、さらなる飛躍を約束した。