2021年12月31日に、さいたまスーパーアリーナで開催される『Yogibo presents RIZIN.33』にて「RIZINバンタム級JAPANグランプリ準決勝&決勝」に臨む朝倉海(トライフォース赤坂)が、BRAVEジムでのレスリング出稽古を公開。
「勝てれば身体はどうなってもいい。年明けは病院で迎えるつもり」と必勝の覚悟を語った。また本誌の取材にシドニー五輪フリースタイル63kg級日本代表の宮田和幸BRAVE代表は「この練習は、朝倉海を年末RIZINで優勝させるのがテーマ。優勝してくれると思います」と太鼓判を押した。
朝倉海は立ち上がり能力も高い、カレッジレスリングを採り入れている(宮田)
トライフォース赤坂とBRAVEジムの合同練習がきっかけだった。
宮田代表率いるBRAVE勢が赤坂に出稽古し、プロ練習を開始、グラップリング部門の強化が図られた。2021年3月にスタートした両ジムの交流から、バンタム級GPファイナルに向け、朝倉海がレスリング強化のために、BRAVEジムへの出稽古も追加。
現在は赤坂での朝練習と千歳船橋のBRAVEと、週2回、宮田代表から指導を受けている。
「2カ月前くらいから、トラフォース赤坂での朝練習以外にも、打撃一辺倒のスタイルから、『カレッジレスリングやスクランブルも学びたい』という海くんの要望を受けて、BRAVEでも練習を行うことにしました」とその経緯を宮田代表は語る。
動画では、BRAVEの強豪レスラーで、現GRADIATORフェザー級王者でレスリング国体3位の実績を持つ原口央、さらに、2019年の全日本選手権フリースタイルレスリング70kg級王者の原口伸とのスパーリングを公開。
原口伸に右ストレートを入れ、伸のダブルレッグを差し上げて体を入れ替える場面は圧巻。原口伸は「次元が違いました。最初、右ストレートが分かっていてもらってしまった。さすがトップの人なんだなと」と感嘆した。
続く原口央とのスパーでは、朝倉のジャブから右ストレートの打ち終わりに、素早く前足にシングルレッグに入った央。その組み付きに、朝倉は片ヒザを着いて回転してすぐに足を抜いて見せる。
続くダブルレッグも後方に両足を飛ばしてスプロール。央に引き込みを余儀なくさせている。立ち上がった央がダブルレッグで壁に詰めて、尻下でクラッチしてテイクダウン。11月の「VTJ2021」で宇野薫をドミネートした得意の形──両足で相手の片足を挟んで伸ばしての崩しにも、すぐに朝倉は上体を壁で立てて足を抜き、バックを譲ることなく立ち上がることに成功している。
原口央は、「滅茶苦茶腰が強いです。倒されてからの対応がもの凄く上手くて、普段だったらあそこのコントロールが得意なんですけど、まったくその形にさせてくれなかった。力を滅茶苦茶使ってバテバテです」と朝倉のケージレスリングを賞賛した。
朝倉の組み技について、本誌の取材に宮田代表は2つの大きな進化を挙げる。ひとつは、さらに磨きがかかったテイクダウンディフェンス。もうひとつは、朝倉海から仕掛けるテイクダウン能力の高さだ。
ひとつめのテイクダウンディフェンスでは、いま朝倉海を相手に、フェイントや打撃の圧力、崩しがないタックルはほぼ切られると言ってもいい。さらに、もし倒されても、そのリカバリーに長けている。
「もともと身体の柔らかさと、強い体幹からくるバランスの良さで、ぎりぎりで倒されない強さがあった上に、オリンピックレスリングでいったらポイントになる倒された形でも、そこからの立ち上がり能力が高い。もともと身体の使い方が上手だったけど、感覚でやっていた。その良さも壊さず、カレッジレスリング的な専門的なテクニックも教えています」と宮田代表はいう。