▼DEEPライト級 5分3R
〇中村大介(夕月堂本舗)70.45kg
[2R 0分16秒 KO] ※右フック
×長倉立尚(フリー)70.6kg
MMA(総合格闘技)で50戦近いキャリアを持つ中村は40歳。この2年ほどは「QUINTET」でグラップリングマッチに出場し、2019年11月の秋田大会では現修斗世界王者の齋藤裕にヒザ十字で一本勝ちするなど、変わらぬ極めの強さを見せていた。
MMAでは、2016年9月の「MGL-1 vs DEEP」で現ONEファイターのアマルサナ・ツォゴーフ(モンゴル)に3R KO負けして以来の試合となる。
約4年振りの復帰を決めた中村大介は、プレスリリースで「前回デビュー以来初めての失神KO負けをしまして、MMAの試合から遠ざかりました。20年近くやっていて初めて、打撃への恐怖心が生まれました。そこで改めて自分のルーツ、憧れたプロレスリングのスタイルを見直して、『三年先の稽古』を始めました。
そんな中、QUINTETというグラップリングの大会に誘っていただき、世界のグラップラーと組む経験をさせていただきました。更に、あのキャリアでいまだに楽しそうに格闘技に取り組まれている桜庭和志さんにとても影響を受けました。そして、QUINTETでの修業の成果を、MMAで見せたいと思うようになり、今回の復帰となりました」と経緯を説明。
さらに、「このままMMAをやらないで終わるのもアリだとも思いましたが、自分の恐怖心と闘い、そして現代MMAの選手にも挑戦していきたいと思います。復帰はやはり、DEEPです。世界中が大変な状況で、試合したい選手もたくさんいる中、出場させていただき本当にありがとうございます。大変長くなりましたが、一言で言うと『時は来た!』です。作戦名は『楽しくいこーぜ』です。MMAファンの皆様、長倉選手、どうぞよろしくお願い致します」と、今回の復帰の目標を「現代MMAの選手への挑戦」と語った。
中村の対戦相手は、DEEP屈指のストライカーである長倉立尚に決定。長倉は2017年以降は、Rebel FCでホドルフォ・マルケスにサッカーボールキックで反則負け、DEEPでジョイ・ボーイにジャンピング左ジャブでKO勝ち。ロバート・ワスティグにサッカーキックでKO勝ちと対海外勢相手には2勝1敗と勝ち越したものの、2018年12月の大原樹里戦ではヒジ打ちを浴び、カットによりTKO負け。前戦は2019年10月の「DEEP92」で、元DEEPフェザー級王者の芦田崇宏に判定負けで2連敗となっている。
トップキープにこだわらずサブミッションを仕掛け続ける中村は、低いガードからの右ストレートなども武器に、国内ライト級の強豪たちと鎬を削ってきたベテラン。対する長倉は、1年前の芦田戦でも変わらぬ強いテイクダウンを見せており、元祖カーフキックの使い手としても知られる36歳の強豪だ。スクランブル全盛の現代MMAのケージのなかで、ベテランの両者はどんな試合を見せるか。
1R、ともにオーソドックス構え。左ハイは中村! 崩れた長倉は飛び込んで来た中村をがぶり。中村の潜り足関節狙いから立つ。首相撲からヒザを突く中村。得意の右カーフキックは長倉! 中村の組み付きも剥がし、前に出る長倉は右ロー! 崩れる中村に長倉はさらに左ジャブ! 右サッカーキック! 右を内・外と打ち分ける。
しかし、ノーガードの中村は長倉の左に右を被せてテンプルに当てると、長倉がグラつく! そこを詰める長倉もクリンチ。
2R、右ローを当てる中村が圧力をかけると、ケージ背にたまらず左を打ちに行った長倉。そこに中村は右フックを振り抜き、長倉がダウン。すぐにレフェリーが試合を止めた。2R 0分16秒 KOで中村が鮮烈勝利! 長倉は担架に乗せられてケージを後にした。
試合後、中村は「MMAの試合4年ぶりですごく怖くて。乗り越えて練習して、長倉選手すごく強くて勝てて良かったです。正直グラップリングで勝とうと思っていたんですけど、最近グラップリングをやっていて、来月、後楽園で桜庭さんとやっているQUINTETをやりますので、よろしかったら見に来てください」と、アピールした。