▼DEEP女子ミクロ級王者決定戦 5分3R
×にっせー(フリー)43.6kg
[1R 2分10秒 TKO] ※ハンマーロック
〇大島沙緒里(AACC)43.9kg
※大島が新王者に
2019年12月、プロ3戦目のにっせーがしなしさとことノンタイトルで対戦。しなしが1R TKO負けで11年ぶりに日本人選手相手に黒星を喫した。その後、2020年5月6日の後楽園ホール大会で、しなしがにっせーを相手に「女子ミクロ級王座初防衛戦」として再戦が決まっていたが、新型コロナウイルスの影響で大会が中止に。しなしが王座返上し、「2021年は新たに挑戦者として戦う」としている。
今回「DEEP女子ミクロ級王者決定戦」に臨むにっせーは沖縄在住。高校時に半年レスリングを学んだ後にMMAジムに入門。2018年9月のDEEP JEWELSアマチュア大会での活躍が佐伯繁DEEP代表の目に留まり、2019年3月の後楽園ホール大会でプロデビュー。KOTORIに敗れはしたものの好試合を展開した。9月大会では山崎桃子を腕十字で破りプロ初勝利を飾ると、プロ3戦目にして女王しなしと対戦。顔面への右前蹴りを当てると、しなしの組みをヒザ蹴りで剥がして右ストレートをヒット。ダウンしたしなしをパウンドアウトしている。
対するAACCの大島は、3歳から始めた柔道歴21年を数え、2019年の全日本アマチュア修斗で圧倒的な強さで優勝。2020年1月には修斗女子初代スーパーアトム級王座決定トーナメントに抜擢され、一回戦で小生由紀をKOし、5月の準決勝では元DEEP JEWELSアトム級王者の黒部三奈相手に敗れはしたものの、新人離れした才能を発揮した。
AACCで浜崎朱加や杉本恵、本野美樹ら、柔道・レスリング出身MMAファイターたちと鎬を削る大島は戦績以上の力を急速に身につけており、2020年7月23日の『DEEP JEWELS 29』では、柔術出身のさくらとの寝技合戦を制し、キムラロックによるテクニカルサブミッションでの一本勝ちで再起を果たしている。
シャープな打撃を武器とするにっせーに対し、大島もさくら戦では重い打撃を見せており、何より柔道ベースの強力な組み力を誇る。このコロナ禍のなか、1月、5月、7月、9月とほぼ2カ月おきにコンスタントに試合を行ってきたこともアドバンテージとなりそうだ。ミクロ級の新鋭同士の戦いは熱戦必至の王座戦になるだろう。
また、当初はDEEP JEWELSで開催中もコロナ禍で延期となっているミクロ級トーナメント決勝アム・ザ・ロケット(Tarnthong Gym)vs. 古瀬美月(Y&K MMA ACADEMY)の勝者が、しなしvs.にっせーの勝者と統一戦のプランもあったため、RIZINで浅倉カンナに1R TKO負けし、休養を宣言している古瀬、来日許可待ちのタイのアム、そして「新たに挑戦者として戦わせて頂きます」というしなしも含めたコンテンダー争いにも注目だ。
タイトルマッチ宣言後、記念撮影、試合へ。
1R、ともにオーソドックス構え。すぐにニータップで組む大島、にっせーの右手を脇に挟んで小内刈でテイクダウン! ハーフガードのにっせーから足を抜くとサイドへ。
袈裟固めからにっせーの右腕を両足で挟み、クルスフィックスにとらえると、右のパウンド連打! パウンドを受け続けるもレフェリーは見ている。にっせーは時折ブリッジするが、抜けられない。大島は袈裟固めから両足でアメリカーナ(ハンマーロック)で極めると、レフェリーがストップ。最初のテイクダウンから極めまで圧倒した大島が新王者に輝いた。
マット上で大島は、「娘たちが(泣いてリングに)上がれないですけど、育児をしながら格闘技は大変なんですけど充実しています。50kg、52.4kg、今日はじめて44kgで戦わせていただきました」と今後の適正階級についても語った。退場の花道で大島は、夫(2018年の「講道館杯全日本体重別選手権」男子60kg級優勝の大島優磨)とともに双子の娘と再会を果たした。