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2020年8月15日(日本時間16日・日曜日)、米国ネバダ州ラスベガスのUFC APEXにて『UFC252』が無観客試合として開催された。
UFC 252: Miocic vs. Cormier 3
2020年8月16日 UFC APEX
米国ネバダ州ラスベガス
【メインカード】
▼UFC世界ヘビー級選手権試合 5分5R
○スタイプ・ミオシッチ(米国)王者 233lbs/105.69kg
[判定3-0] ※49-46×2, 48-47
×ダニエル・コーミエー(米国)挑戦者 236lbs/107.05kg
※ミオシッチが王座防衛
メインイベントは、スティーペ・ミオシッチ(米国)vs.ダニエル・コーミエー(米国)のヘビー級タイトルマッチ。前日計量では王者のミオシッチは233ポンド(105.69kg)で、挑戦者の コーミエーは236ポンド(107.05kg)で、それぞれ計量をパスしている。
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両者はこれまで2018年7月と2019年8月に、2度タイトルを賭けて戦い1勝1敗、今回が1年ぶりの再戦で決着戦となる。その間、コーミエーは2018年11月にデリック・ルイスにリアネイキドチョークでの一本勝ちを挟んでおり、ミオシッチにとっては、3試合連続でコーミエー戦となる。
これまで、マーク・ハント、ファブリシオ・ヴェウドゥム、アリスター・オーフレイム、ジュニオール・ドス・サントスといったヘビー級の猛者をKOしているミオシッチに対し、1試合目のコーミエーはクリンチに突破口を見い出し、至近距離の右フックで1R KO勝利。再戦となる2試合目は、ミオシッチがボディ攻撃を効かせて打撃で畳み掛け、4Rに逆転のTKO勝ちで王座を奪回している。3試合目となる今回は、互いに手の内を知った上で、いかに戦うか。
1R、ともにオーソドックス構え。さきに軽い左ローを前足に突くミオシッチ。さらに前戦で効果を発揮した左ボディブロー! コーミエーは前足にシングルレッグでテイクダウン。すぐに立つミオシッチをがぶりで首を押さえるがミオシッチも首を抜く。
ミオシッチのワンツーはブロックするコーミエー。左ボディから右を振るミオシッチだが、そこに右を被せるコーミエー! しかしコーミエーの伸ばした手がアイポークとなり中断。再開。ミオシッチは左・右ローをヒット。コーミエーは左ボディを振りながら前に。ミオシッチは左フックを当てる。詰めるコーミエーは左右で金網に詰めて右フックを当てたところでブザー。互いに一進一退の攻防。
2R、ミオシッチの左ローはローブロー。再開から左右を上下に散らして連打するミオシッチだが、コーミエーはさばく。左インローを互いに当て、頭を下げたテイクダウンのフォームから右を振るコーミエー。右から左フックはコーミエーもそれはブロックするミオシッチ。
左のダブルを上下に散らすコーミエー。ミオシッチの打ち返しにコーミエーは左ジャブで迎撃する。右から左ボディを突くミオシッチ。コーミエーは跳びあがるようにワンツーを打ち、右オーバーハンドを当てる。左のトリプルのジャブから右ストレートを振るコーミエー。さらに右ボディも。
ミオシッチもラウンド終盤にボディ打ちのフェイントから右フックをヒットさせ4連打! バランスを崩したコーミエーからマウントを奪い、上半身は金網に立てるコーミエーが腹に抱き着いてスペースを閉じて凌ぐ。
3R、前に出るミオシッチ。右の打ち下ろしを当てると頭が下がるコーミエーにヒザも! 軸が乱れるコーミエーに詰めるミオシッチは肩パンチ。右で差すミオシッチは離れ際にバックフィストも距離が足りない。
右ローを突くコーミエー。息づかいが洗い。詰めるミオシッチは左右両脇を差すと、コーミエーは金網背にスタミナを取り戻す。
互いに離れ際に当ててスタンドへ。左の蹴りを出すコーミエーが前に。ミオシッチも左のスーパーマンパンチを当て、打ち下ろしの右も! コーミエーは前手のアイポークを主張する。ブザー。コーミエーの左目は赤く充血する。ミオシッチノラウンドに。
4R、左インローを打つコーミエー。しかし左目を腫らすコーミエーはミオシッチの右は見えているのか、被弾。左ボディストレートはコーミエー。右ローを蹴るが、そこにコーミエーはカウンターの右を打つ。
左腕を首に巻いてクリンチをするコーミエーを突き放すミオシッチ。しかしコーミエーは右フックを返す。前に押し返すミオシッチになおも右! ミオシッチは金網あで押し込むもコーミエーが突き放す。
詰めるのはミオシッチ。左腕でクリンチも抱え込む形になるのはコーミエー。金網背に凌ぐ。押し戻すとワンツーから右を当てるコーミエー。
5R、互いにグローブタッチし、胸を合わせ最終Rへ。左ジャブで圧力をかけるミオシッチ。ジャブを突き返すコーミエー。右で差して押し込んだコーミエーだが、体を入れ替えるミオシッチ。金網背にするコーミエーは右手で首を抱えると、体を入れ替え。右のニータップ狙いで組みに行くミオシッチは右で差して金網に押し込む。細かいさ左右を突いて離れる。
右ストレートをダブルで突き、テイクダウンを狙うミオシッチ。ここは倒れないコーミエー。左で差して押し込むミオシッチに首を左手でギロチンにとらえるコーミエー。頭を抜いたミオシッチが押し込み、コーミエーが突き放したところでブザー。
熱戦の結果は、精度と手数で上回りケージレスリングでも譲らなかったミオシッチが、判定3-0(49-46×2, 48-47)で、最大3ポイントをつけて勝利。王座防衛に成功した。
王者は「疲れたよ。家に帰りたい。驚き? 簡単な試合じゃないことは分かっていた。3戦したけど、彼(コーミエー)には幸せな人生を送ってほしい。もっと蹴ってくると思っていた。最初のテイクダウンを取られて焦ってしまった。彼は本当にカウンターが上手くて、こっちはやりたいように出来ないし、2R目はほぼ捕まったね」と試合を振り返ると、今後については「明日も起きて普通に過ごして子供たちと遊び、水曜日にまた歳を取る(38歳)のでゆっくり過ごしたい」と、5Rの死闘に疲弊した表情で語った。
一方、敗者のコーミエーは「彼は強かった。クリンチでダブルアンダーフックを取られたし、上手かった。前の2試合で見せなかった技術を見せた」と王者を称えた。
また、3Rのアイポークについて聞かれると、「左目は焦点が全然合わなかった。いまも見えていない。アイポークがあったことはレフェリーに伝えたけど、聞いてもらえなかった。まあ、しょうがない」とため息。
さらに放送席で同僚となる解説のジョー・ローガンから今後について問われ、「3部作の最後に酷い結果になった。これを受け止めるよ。……もうタイトル戦は無いのかな。タイトル戦以外に興味は無いし、これがヘビー級で最後の試合になるかな」と、ヘビー級からの撤退を示唆した。
"That'll be it for me."
— UFC (@ufc) August 16, 2020
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