MMA
レポート

【Bellator JAPAN】ヒョードルが日本のファンに惜別のKO勝利で「愛を贈ります」。鮮烈KOのMVPは「また日本に呼んで」。K太郎が判定負け、渡辺華奈が殊勲のTKO勝利、クルックシャンクは一本負けで対抗戦はRIZINの1勝2敗に

2019/12/29 11:12

▼第4試合 ユニファイドルール 173ポンド(78.47kg)契約 5分3R
○マイケル・“ヴェノム”・ペイジ(英国/ロンドン・シュートファイターズ)=78.01kg
[2R 0分23秒 KO]
×安西信昌(日本/TEAM CLIMB)=78.42kg



日本のアニメファンとしても知られるマイケル・“ヴェノム”・ペイジはBellatorを代表する選手の一人。Michael Venom Pageの頭文字から「MVP」と呼ばれ、その長い手足から繰り出される打撃と寝技で数々のKO・一本勝ちを記録してきた。セミコンタクトのWAKOルールで習得した独特の打撃は、絶妙な距離感とタイミングの良さを誇り、インパクトの残る勝利を挙げている。


MMAは16勝1敗。2019年5月のウェルター級ワールドGP準決勝でドウグラス・リマ(ブラジル)の右アッパー&鉄槌に2R KO負けを喫したが、9月「Bellator 227」アイルランド大会でリチャード・キエリーに1R 跳びヒザ蹴りでKO勝ち。


11月23日の地元・英国ロンドン大会では、デレック・アンダーソンの欠場によりイタリアのミリッロとの対戦。1R、ミリッロの右ローに右オーバーハンドを合わてKO勝利。2連続KOで完全復活を遂げている。


対する安西信昌はMMA11勝3敗。2008年全日本フリースタイルレスリングベスト8などの実績を誇る組み技を武器に、2009年5月のPANCRASEでプロデビュー。2014年6月にはミドル級王座を獲得した。2014年8月からUFCに参戦し、2018年6月にジェイク・マシューズに一本負けし、UFC2勝2敗の五分の戦績でリリース。2019年9月のDEEPで日本マットに復帰し、佐藤洋一郎に2R アクシデント判定勝ちを収めている。

ベンソン・ヘンダーソンの欠場を受けて、スコット・コーカーBellator代表から急遽送り込まれた“MVP”が初登場の日本マットで衝撃をもたらすか。それとも“アニマル”安西が返り討ちにするか。注目の一戦だ。


1R、NARUTOの衣装で入場するペイジ。ともにオーソドックス構え。「シンショー」コール。半身から両手を下げてペイジは長い左ジャブを刺す! 下がりながらも右の跳びヒザを突くペイジに安西はシングルレッグへ! 押し込むが足を抜き突き放すペイジ。


ガードを固めじりじりと詰める安西。フェイントを入れながら上下に突いてボディから上。さらに右前蹴りと変化自在の動き。跳びヒザを突き上げるペイジにしかし安西もシングルレッグでキャッチ。金網まで押し込む安西は左で差すが、突き放すペイジはワンツーヒザで飛び込む。安西の前進を右にかわし右を打ち込むペイジ。

それでも詰める安西は左を打ち込むが、サークリングするペイジはワンツーの右! 後方に吹っ飛びダウンする安西はすぐに立ちあがる。それを待つペイジ。ペイジは、左の蹴りのフェイントから、マットに手をつけ、右足を後方に蹴り上げる独特なキックを狙う。さらに、安西のシングルレッグに下がりながらも右の跳びヒザ! 長い右はペイジ! スタンドバックで安西にヒザを突きゴング。安西も強い気持ちで立ち向かう。


2R、右手を挙げるペイジは右の跳びヒザ、さらに突進する安西に下がりながらも右ストレート! 安西がダウンし、レフェリーが試合を止めた。足もとがふらつく安西。ペイジはダウンした安西を気遣うと、ナルトの衣装をはおり短刀を口にくわえた。


試合後、ペイジは、「ジャパーーーン! ありがとう。死闘を尽くすのにここほど相応しい場所はない。今日は夢がかなったよ。(レスリングのバックボーンの安西をモノともしなかったが?)テイクダウンしてくることは読んでいた。ベストチームのロンドシュートファイティングのみんなが組み技が得意だ。また日本にいつでも戻ってくるよ。これからも呼んでくれたら、いつでも来るよ!」と、満面の笑みでケージを後にした。

▼第3試合 ユニファイドルール 78.7kg契約 5分3R(Bellator×RIZIN 対抗戦・中堅戦)
○ロレンズ・ラーキン(米国)=78.69kg ※体重超過でキャッチウェイト戦に変更
[判定3-0]
×中村K太郎(和術慧舟會K太郎道場)=77.20kg

ラーキンはStrikeforceで後のUFC世界ウェルター級王者ロビー・ローラー(米国)を破り、UFCでもホルヘ・マスヴィダル(同/現UFC同級3位)やニール・マグニー(同)といった実力者たちから勝利を挙げている強豪。2017年からBellatorに活躍の場を移し、移籍初戦でリマのBellator世界ウェルター級王座にも挑戦している(ラーキンが判定負け)。


その後、ポール・デイリーにKO負けも、2018年1月にフェルナンド・ゴンザレス(米国)、同10月にイオン・パスク(ルーマニア)、2019年10月にアンドレイ・コレシュコフ(ロシア※写真上)にいずれも判定で勝利するなど現在3連勝中と好調で、王者リマへの挑戦権を得るためにも、日本で絶対に負けられない試合に臨むことになる。


中村は元DEEPウェルター級王者で、SRCウェルター級GP2010王者。UFCに2度参戦経験があり、2006年から2007年の初参戦時は3連敗だったものの、2015年9月から2019年4月までの2回目の参戦では8試合を戦い、4勝4敗と五分の戦績を残している。RIZINには20192019年10月大会から参戦。ボンサイ柔術のマルコス・ヨシオ・ソウザを1R、左ストレートで78秒 TKOに下した。妻の杉山しずかもRIZINに参戦しており、RIZIN初の夫婦参戦となる。


会見で中村は、ラーキンについて「すごい選手を倒してきているめちゃくちゃ強い相手。負けた試合でもサブミッションで取られたことがない選手で、簡単に極めることができるとは思っていない」と、難敵であることを語ると、「だから打撃でもやり合い、テイクダウンも狙いつつ、そこも狙い過ぎず戦おうと思いいます。だいぶ練習してきたので、ただでは返さない」と、スタンドからしっかり崩していくことを語った。


また、「フィニッシュ率も高いけど、何でもやるというタイプではない。ギロチンとかも仕掛けますが、寝技で極めにいく選手でもないし……その意味ではいろいろなシーンを見たいファンよりも、打撃が見たいファンが楽しめるスタイルですね」と、つかみどころのないラーキンのファイトスタイルを語っている。


その打撃についても「倒すときは倒しにいくけど……解説があったら面白い打撃ですね」と苦笑すると、具体的に「フェイントを使ってのコンビネーションが得意で、前手を出しながら上手く戦っています。相手の手を触りながら前蹴りを出したり、頭を意識させておいてボディーに当てたりとか、そういうことが凄く上手い。その部分の解説があってファンに伝われば、テクニカルで面白い選手だと思います」と、攻防の見どころを説明している。

1R、サウスポー構えのK太郎にオーソドックス構えのラーキン。右で詰めるラーキンに右ハイを繰り出すK太郎は圧力をかけていく。

ラーキンの右をかわすK太郎。ラーキンは右のインローを前足にヒット。詰めるK太郎に右ミドルはラーキン。さらにクリンチから右アッパーを突く。K太郎も右から左で飛び込むがかわすラーキンは右ミドル。左ジャブで細かく牽制し押し返す。左インローはK太郎。ラーキンは右ミドルを当てる。


2R、喧嘩四つのジャブの突き合い。左の高いサイドキックをアゴに突くラーキン。左ハイをガードの上に返すK太郎。左右で金網まで詰めるがラーキンもサークリング。関節蹴りも繰り出す。さらにサイドキックも。K太郎も前蹴りを返す。跳び蹴りを狙ったが軸足を蹴られるラーキン。跳びヒザも。右から左のワンツーはK太郎。左のサイドキックを関節に蹴る。右の蹴りからそのまま右をスナップして当てるラーキン。K太郎はアゴを上げさせられる。


3R、詰めるK太郎にサークリングするラーキン。右ストレートにK太郎は左目尻から出血する。K太郎のニータップを潰してすぐに左右・ヒジを打ち込むラーキン。さらにK太郎の左の打ち終わりに右から左を入れるラーキンは続けて跳びヒザ。右ミドルをキャッチするK太郎だが、足を抜くラーキンはすぐにパンチを入れる。さらに左右と打撃を上下にたたみかけるのが巧みなラーキン。ジャブにK太郎は後退。ラーキンは跳びヒザからワンツー、ヒジを入れてゴング。判定は3-0でラーキンが勝利した。

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