日本人史上初のEBI=メジャーリーグのタイトル奪取──人生に納得するために
「ニューEBIチャンピオン」とコールされた高橋は、マット上のインタビューで英語で「何て言ったらいいか、今日は僕のグラップリング人生で最高の日です。エディ、自分を招待してくれてありがとう。自分のグリップスキルを証明できたと思います。世界のベストステージに向かいます。UFC Fight Passで配信されていますよね。どうかUFC BJJのステージに」とマイク。
インタビュアーから「あなたはここで本当に特別なものを創り上げました。これはEBIやコンバット柔術で見た中で最も熱狂的な観客です。このタイトルを防衛するために戻ってきてもらえますか?」と問われ、高橋は「はい、もちろん戻ってきます。ビバ、メヒコ!」と語り、大声援を受けた。
「ずっと見てきた」というサブオンリーのPolarisと契約し、EBIのチャンピオンにも輝いた高橋は、今後、何を目指すか。
帰国後、本誌の取材に高橋は、「『ざっとこんなもんだ』と涼しげに言いたかったですが、かなり消耗戦の末の勝利になってしまいました。二回戦のマニー・ヴァスケス戦が本当にシンドくて、準決勝、決勝はバックを取らせ続けてこちらの運動量を抑えながら相手にも腕を消耗してもらおうという選択に出て……見栄えもクソもない内容でした。でも、今回トーナメント中で一番キツいところから勝ち上がったのは俺だったと思います。準決勝、決勝とほぼ秒殺で上がって来て体力を残してる相手にOTやった後に消耗戦を挑んで競り勝ったのは……自分でも自分にお疲れ様と言いたいです。これを人生で2度やれと言われたら2度とごめんですが、集中力・フィジカル・メンタルを限界まで使って勝ち切った経験は確実に今後の大きな糧になると思います」と、タフファイトを振り返った。
グラップリングで、日本人史上初のEBI=メジャーリーグのタイトル奪取の快挙に、高橋は「死力を尽くして挑んだもののやってのけてしまえば“こんなもんかな”という感じで。少し休んで、次はPolarisのタイトルを獲りに行きます」と、止まることはない。そこには、グラップリングと向きあう高橋の死生観が、そうさせているのだという。
「死ぬ時になって、例えば閻魔さまみたいな人が出て来て、『もう一回人生トライする?』って言われても『これ以上のパフォーマンスはもう出せないから、大丈夫です!』と言えるくらいの心持ちで他界出来るような人生を送りたい、という思いが、価値観の割と重めのところにずっとあって。競技生活の大きな目的はEBIとPolarisで王者になる事で、それがあれば、仮に将来死に際になっても人生に納得出来るかなと思っていたのですが、良い意味で、“死ねる理由”が一つ作れました。次はPolaris獲りに行きます。
そして、PolarisもEBIも世界最高のタイトルの一つではあると思うのですが、それは必ずしも『=世界最強』ではないです。PolarisとEBIのタイトルを通行手形に、マイキー(ムスメシ)なのか、その時の世界最強との試合をアピールします」と、その先も見据えた。
また、競技者のみならず、Level-Gプロデューサーとして、グラップリングの裾野を広げるためにアマチュア大会も企画中とのこと。
「サブミッションオンリーのグラップリングを、日本全国で楽しんでもらえるアマチュアトーナメントの開催準備を粛々と進めています。題して『Level-G オープン』。EBI王者の手掛けるグラップリングアマチュアトーナメント、近くリリースするのでどうぞお楽しみに!!(笑)」──ファイトネームに“SUBMISSION”を冠する高橋は、グラップリングを極める道を進む。







