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2025年6月7日(日本時間8日)、米国ニュージャージー州ニューアークのプルデンシャル・センターにて、『UFC 316: Dvalishvili vs. O'Malley 2』(U-NEXT配信)が開催される。
メインイベントは、UFC世界バンタム級王者のメラブ・ドバリシビリvs.挑戦者ショーン・オマリーのベルトをめぐる再戦。その同じバンタム級でメインカード2試合目で、元Bellator世界バンタム級王者のパッチー・ミックスがUFCデビューし、同級10位のマリオ・バティスタと対戦する。
▼バンタム級 5分3R
マリオ・バティスタ(米国)15勝2敗(UFC9勝2敗)3KO/TKO・6SUB 10位 ※UFC7連勝中 135lbs/61.24kg
パッチー・ミックス(米国)20勝1敗(UFC0勝0敗)2KO/TKO・13SUB ※元Bellator世界バンタム級王者 135lbs/61.24kg
計量はともに135ポンド(61.24kg)のジャストでパス。パッチー・ミックスの本誌U-NEXTインタビューに続き、会見での両者の言葉も紹介したい。
マリオ・バティスタ「彼がやってる強がりキャラが見え透いてる。総合的には俺の方が上」
──ずっと話題はジョゼ・アルド戦ばかりでしたが、(当初対戦予定だった)マルロン・ヴェラ(バンタム級7位)、そして現在はパッチー・ミックスと、より強力な相手と対戦することになりました。いよいよオクタゴン復帰も間近ですが、キャンプや近況はいかがでしたか?
「アルド戦の話を終えられるのはいいこと。今回のキャンプに入ることができてよかったよ。直前での対戦相手変更もこれまでに経験してるし、慣れてるからストレスはなかった。ちょっとした修正を加えただけだ。パッチーはすごくスキルのある相手だから、挑戦できるのが楽しみだよ」
──あなたは“注目度”にはあまりこだわらないタイプのように見えますが、UFCファンの間ではマルロン・ヴェラのほうが有名かもしれません。一方で、熱心なMMAファンはずっとパッチーのUFC参戦を待っていたようです。対戦相手の変更について、何か反応は感じましたか?それとも、単にパッチーという相手に集中しているだけですか?
「たしかに、コアなファンたちはパッチーのことを知ってるし、俺たちも彼の強さを知ってる。だからこそ、今回の試合にワクワクしてるんだ。UFCでは初めての試合だけど、ファンもついてるし、技術もあるファイターだよ」
──パッチーは「俺は世界最高のバンタム級ファイター」だと言っていて、「マリオの柔術コーチを並べても俺が極めてやる」とも発言しています。その発言をどう受け止めていますか? あなたを見下して、すでにベルトのことしか見ていないようにも感じますか?
「正直、あいつの発言を聞いててちょっと笑えてきたよ。なんか怒ってるみたいな話し方するし、“俺を極めて、その後に60歳のコーチも極める”なんて言ってる。でも、うちのジムの連中を全部相手にしたら、彼が紫帯に見えるようなやつもいるから、それはちょっと言い過ぎだな。でもまぁ、自分を売り込むために言うことは分かる」
──タイトルマッチ以外では、パッチー戦は最大級の注目を集める相手だと思いますか? ジョゼ・アルドのときもそうでしたが、視聴者の目を引く相手との試合が続いています。
「彼がUFCデビューするってことで注目が集まってるのは間違いないし、みんな“この選手はどんな実力なのか”を見たいと思ってる。でも俺は、その期待を全部打ち砕いてやるつもりだよ。彼の本当の実力は、俺との試合で分かるだろう」
──メインイベントでは、ショーン・オマリー(バンタム級1位)も今回タイトルマッチを戦いますが、彼と同じイベントに出ることは、あなたにとってどれくらい重要ですか? パッチーにとっては“王座の近くにいる”意味があると思いますが、長くUFCで戦ってきたあなたにとっては?
「結構大きな意味があるよ。ショーンと同じイベントで戦うのは好きなんだ。彼はいいエネルギーを持ってるし、バンタム級全体にも注目が集まる。今回、“次に誰が挑戦者になるか”っていうのも見えてくるかもしれない」
──アルド戦以降のインタビューも拝見しましたが、批判にうまく対処している印象です。でも今回の試合では、“仕切り直し”というか、UFCで2勝目をあげた跳びヒザKOを決めた頃の自分を見せてやろうという気持ちはありますか?
「いや、特に何かを変えようとは思ってないよ。ファンの機嫌を取るために試合をしてるわけじゃないし、結局、何をしたって全員を満足させることなんてできない。今、俺は7連勝中だ。もしその7試合すべてが同じ展開だったなら、批判も分かるけど、全部内容は違う。今回の試合は、また全く違うものになるって断言できるよ」
──パッチーはBellatorのトップだった選手ですが、ジョゼ・アルドも「彼は世界最高のバンタム級かもしれない」と言ってました。あなたの目には彼はどれくらい強い選手に見えますか?
「かなり強いと思うよ。彼がトップファイターたちに勝ってるって話も聞いてる。でも今は、若手がどんどん伸びてきていて、俺たちトップ10にいる選手より強い奴もいる。だから、“俺のジム全員に勝てる”って言ってるのは、ちょっと恥をかくことになると思うね」
──UFCデビューとなるパッチーを、どのように歓迎しようと思っていますか?
「試合をして、叩きのめす」
──あなたは7連勝しているにも関わらず、試合前の予想ではあなたが不利と見られています。軽視されていると感じますか?
「そんなことはない。彼も7連勝だし、素晴らしい戦績を残している。UFC以外の団体で王者だったし……、そもそも試合前の予想なんて気にしちゃいないよ」
──ダモン・ブラックシア戦(2023年8月19日)のあと、パッチーと顔を合わせたときはお互いリスペクトのあるやり取りを交わしたと話していましたが、試合前になって彼が挑発的な発言をするようになったことで、その印象は変わりましたか?
「いや、変わらないね。彼がやってるその“強がりキャラ”ってのが見え透いてるんだよ。たしか俺がブラックシアと戦った後だったと思うけど、エレベーターで会って、あいつが“ファンだよ、おめでとう”って言ってきたんだ。だから今になって急に態度を変えているのが、正直ちょっと笑える。まあ、彼は彼でやらなきゃいけないことをやってるだけなんだろうけどね」
──パッチーのグラップリングはキャリア全体を通して評価されていますが、あなたも素晴らしいグラップラーで、強豪たちと日々練習している。その部分は過小評価されていると思いますか? フィニッシュの可能性もありますか?
「彼の得意分野がグラウンドなのは分かってる。バックを取ってからのチョークに長けている。でも、俺の方が総合的には上だと思ってるし、スピードが速く、打撃も上だ。グラップリングでもしっかり対応できる自信はある」
──当初、マルロン・ヴェラとの試合も予定されていましたが、将来的にその試合はやりたいですか? また、今回のマッチアップと比較してどうですか?
「この試合に勝てばランキングトップ5に入れると思うから、マルロン・ヴェラとの試合はタイミング的に合わないかもね。でも、パッチーとの試合もヴェラとの試合も、勝てばどっちもトップ5入りを意味する試合だった」
──メインイベント(ショーン・オマリーvsメラブ・ドバリシビリ)についてはどう見ていますか?
「楽しみだよ。最近のインタビュー見てたけど、ショーンがSNSをやめたり、大麻や他のことも全部やめて、トレーニングに集中してるみたいで。新しいメンタルでどこまでやれるか、注目してる」
──チームメイトでUFC4連勝中のマーカス・マギー(バンタム級13位)がピョートル・ヤン(バンタム級2位)と対戦するという話があります。どう見ていますか?
「すごく面白い試合になると思う。ランキング上位との対戦に怒ってる人もいるみたいだけど、マーカスは本当に強い。俺は勝てると思ってるよ」
──ショーン・オマリーとの記憶で、試合以外の面白い思い出はありますか?
「昔、合宿中の家で誰かが大麻を吸ってて、ショーンに“お前吸うの?”って聞いたら“いや、俺は絶対そんなの吸わない”って言ってたんだ。でも数年後には色んなもの宣伝してるからね(笑)」
──マルロン・ヴェラが対戦相手から外れたあと、キャンプはどのように変えましたか?
「ほとんど変えてないよ。ヴェラは少し長身だから、スパー相手も同じで問題なかった。ただ、作戦を少し調整しただけ。かなりスムーズだった」
──今後、ヴェラとの対戦はあり得ますか?
「うーん、彼が今後どれだけ勝ってくるか次第だね。ランキングで近くなれば、またやることになるかも」