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インタビュー

【UFC】王者メラブ・ドバリシビリ「アルジャメインを倒したオマリーの怖さを見誤っちゃいけない」「パッチーは素晴らしい。でも──」=6月8日(日)『UFC 316』

2025/06/07 11:06
 2025年6月7日(日本時間8日)、米国ニュージャージー州ニューアークのプルデンシャル・センターにて、『UFC 316: Dvalishvili vs. O'Malley 2』(U-NEXT配信)が開催される。  大会名にある通り、メインイベントは「UFC世界バンタム級タイトルマッチ」(5分5R)で、王者・メラブ・ドバリシビリ(ジョージア)と挑戦者・ショーン・オマリーが、2024年9月以来の立場を変えた再戦に臨む。 ▼UFC世界バンタム級選手権試合 5分5Rメラブ・ドバリシビリ(ジョージア)19勝4敗(UFC12勝2敗)※UFC12連勝中 134lbs/60.78kgショーン・オマリー(米国)18勝2敗(UFC10勝2敗)135lbs/61.24kg  ドバリシビリは、オマリーから王座奪取後、2025年1月にダゲスタンのウマル・ヌルマゴメドフに判定勝ちして王座防衛に成功。  対するオマリーはドバリシビリに敗れてから、年末RIZIN観戦で来日なども行い、今回のダイレクトリターンマッチに臨む。  ドバリシビリにテイクダウン&コントロールされながらも5Rに前蹴りをボディに効かせた前戦以降、オマリーは態度を改め、より謙虚に。SNSを減らし、トラッシュトークも封印。今回のフェイスオフでは「前回とは違う戦いになる。分かるだろ?」とドバリシビリの目を見て語り、王者も「分かってるよ。準備は出来ている」と応えている。  そのドバリシビリは、今回の会見で減量方法を変えたことを明かし、134ポンド(60.78kg)で計量をパスしている。オマリーは135ポンド(61.24kg)のジャストでパス。5Rの王座戦の再戦はどうなるか?(※ショーン・オマリー インタビュー)  なお、同大会では、ウェルター級のウロシュ・メディチが体調不良により、ケイオス・ウィリアムス戦を欠場。メディチに代わってアンドレアス・ガスタフソンがオクタゴンに上がる。  さらに、ライト級でマルケル・メデロスとUFCニューカマーのマーク・チョインスキーの試合が対戦カードに追加された。チョインスキーは無敗の8勝0敗、6勝をフィニッシュ勝利の実績と共にUFCデビューを果たす。  日本時間の6月8日(日) 朝7時から開演の同大会は、U-NEXTでは、オリジナル日本語解説として、元UFC、現RIZINフェザー級の金原正徳が解説を務める。 ドバリシビリ「今回、新しい減量スタイルをテスト」 ──今年1月の試合(※UFC 311)でウマル・ヌルマゴメドフ(バンタム級3位)に勝利して以降、たくさんのメディア対応をしてきましたが、あの試合以降の生活やキャンプはどうでしたか? 「いつも通り、すごく順調だよ。すべてに感謝してる。ウマル戦のあと、いろんなことが変わった。もともとリスペクトはもらってたけど、あの試合のあとからは、もっとポジティブでクールなリスペクトになった。みんなが俺の努力を認めてくれて、UFCにもMMAファンにも心から感謝してる。おかげで俺は“世界最高の仕事”をさせてもらってる。本当にこの仕事が好きなんだ」 ──ウマル戦が決まる前から、アブダビでのQ&Aやインタビューでウマルのことを聞かれ続けていましたよね。ウマルのことを実質的な王者なんて呼ぶ声もありましたが、実際に勝った今、ファンやメディアの反応はどう変わりましたか? 「うん、ウマルとの試合を見たかった人が多かったんだと思う。で、実際に俺が勝って、みんな“あっ、そうか”って感じで納得して、そこからはすごくポジティブな流れになった。俺は最初から“いいよ、やろう”って即答してた。契約も、全部俺はOKだった。でもウマル自身の態度があんまり好きじゃなかったんだよね。だけどUFCが組んでくれたし、俺は準備万端だった。変なドラマもなかったし、すべて順調だったよ」 ──そして今はショーンとの一戦が控えていますが、お互いリスペクトを持って接していて、これまでと違ってかなり穏やかなビルドアップになっていますね。ショーンも「バンタム級史上最強」とまであなたを称えていました。 「大事なのは試合で見せること。無理にドラマを作る必要なんてない。本物じゃないなら、やる意味ないしね。今のオマリーは“最も相応しい挑戦者”だと思ってる。コーリー・サンドヘイゲン(バンタム級4位)は最近試合したばかりだし、ピョートル・ヤン(バンタム級2位)は他の相手とやってるし、そうなると今このタイミングでの対戦相手はオマリーってのが自然だった。UFCもそれを望んでたし、俺は誰とでも戦う準備ができてた。だから今回はただ、互いにリスペクトを持ってやるだけ。彼のことはファイターとして尊敬してるし、向こうも俺のことをそう言ってくれるのは嬉しい。正直いえば、トラッシュトークしてくれたほうが、ショーンらしくて良いんだけどね。まぁ、今のやり方も悪くない。俺は今、とにかく集中してる。この試合には言い訳なんてない。今回は万全の状態だし、しっかりフィニッシュを狙うよ」 ──「今回は言い訳なし」とおっしゃっていましたが、試合後にショーンのコーチ陣が「股関節の調子が悪かった」「照明のせいだ」などいろいろ言っていました。こういった言い訳を聞いて、気になるところはありましたか?「もう一度やって、自分の強さを証明したい」と思ったタイミングはいつでしたか? 「いや、試合の直後、オマリー自身が“ただ負けただけ”って言ってたんだよ。けど、数日経ってから言い訳が出てきた。でも、俺としてはただもう一度、チャンスをやるだけだ。UFCもそれを望んでたしな。それに、オマリーは危険なファイターなんだよ。最初に戦ったときは、あまりに簡単に感じたから、“こんな奴がアルジャメイン・スターリング(※練習仲間。元UFC世界バンタム級王者、現フェザー級9位)を倒せるわけないだろ”って思った。でも俺はアルジャメインと練習してるし、毎回ボコられてるからさ。だからこそ、オマリーの怖さを見誤っちゃいけない。何回戦っても、毎回こいつは危険な相手だと考えて挑まなきゃいけないんだ」 ──シンジケートでジョン・ウッドと練習している映像を見ました。「楽しみすぎず、フィニッシュを狙え」というのが彼のキーフレーズでしたが、それをどう実現していきますか? 「今回はフィニッシュをより強く意識して、ダメージを与えることに集中するつもりだよ。前回は簡単すぎてリラックスしすぎてた。全部見えてたし、全部コントロールできてたから、最後にはキスまでした(笑)。バカにしたわけじゃないけどね。でも今回はもっと“倒しにいく”。それをずっと練習してきたし、それを見せるつもりだよ」 ──挑戦者として1年に4試合やるのと、王者として5ラウンド制の試合を年間4~5試合やるのでは全く違います。消耗や燃え尽きにどう向き合っていますか? 「俺は練習も試合も大好きなんだ。みんな知ってると思うけど、休暇中ですら走ったりトレーニングしたりしてるし、常にベストを尽くしてる。そして、UFCで試合があるたびに“ありがたい”って思う。これが俺の夢だからな。それに、世界で一番最高な仕事をさせてもらってると思ってる。ずっと忙しくしていられるのが嬉しいし、幸せなんだ。あと、今回の試合の1カ月後には、新しい減量スタイルを試すつもりなんだ。UFC PI(UFCパフォーマンス・インスティチュート)に協力してもらって、今までの“俺流”のやり方から、もっと効率的なやり方に変えたい。もし今どきのファイターたちがやってるみたいな“楽な減量法”が本当にあるなら、そっちに切り替えて、もっとハッピーに試合できるようになるかもしれないからな」 ──今やっている「古いやり方の減量」とは具体的にどんなものですか? 「最初は水をめちゃくちゃ飲む。1日5リットルとかを何日か続けて、そこから一気に止める。昨日の夜から水も食事も完全にストップ。今日はもちろん飲まないし食べない。で、夜にハードなセッションをやって、そこで約4ポンド(1.81キロ)落とす予定。明日もまた5ポンド(2.27キロ)くらい落とさなきゃいけない。普通のファイターは木曜日に一気に10ポンド(4.54キロ)落とすけど、俺はそれを2日に分けてる。でも、その2日間は何も食べないし飲まない。それが俺の“昔ながらの”減量法。あとは、みんながよくやるようなホットバスやサウナ、毛布で汗を出すんじゃなくて、俺は走ったりトレーニングしたりして体重を落とす。でも今回、新しいスタイルをテストするつもり。もしそれがうまくいくなら、そのやり方に変える。そしたら今よりもっと楽に、もっとハッピーに試合ができると思う」 [nextpage] 今回はもっと倒しにいく。リスキー? ファイトはそもそも全部リスクだ。人生がそうであるように ──現在12連勝中ですが、UFCの歴史で13連勝以上しているのは、アンデウソン・シウバ、イスラム・マカチェフ(ライト級王者)、カマル・ウスマン(ウェルター級5位)、ジョルジュ・サン・ピエール、ジョン・ジョーンズ、デメトリアス・ジョンソン、ハビブ・ヌルマゴメドフ、マックス・ホロウェイ(ライト級4位)だけです。このエリートたちと並ぶことの意味は? 「うわ、すごいな。これは俺にとってめちゃくちゃモチベーションになるよ。でも、今はとにかく次の試合に集中するだけ。神が望むなら、勝てると思ってる。記録や歴史は嬉しいけど、まずは次だ。俺の名前がその伝説たちと並ぶなんて、感謝しかないよ」 ──前回の試合があまりに簡単だったからこそ、今回はもっとリスクを取るとおっしゃっていました。でも、ここまで苦労してたどり着いた王座を守る立場として、わざわざリスクを取る必要はあるのでしょうか? ショーン・オマリー(バンタム級1位)みたいにすぐ再戦できる保証もないのに。 「わかってる。でも、気にしない。彼にもう一度チャンスをやるのも構わないし、リスクを取るのも構わない。俺はファイターだ。ファイトってのは、そもそも全部リスクなんだよ。人生そのものがリスクだろ? だから、それでいいんだ。もし負けたって、再戦できなくても、そんなの気にしねぇ。とにかく戦いたいだけなんだ。試合をして、忙しくしていたい。それが俺の生き方だよ。それに、俺たちが積み重ねてきた努力があるし、俺はショーンをまた倒せるって信じてる。むしろ、今度はもっと完璧にね。あいつが危険であること、それが逆に俺の闘志をかき立ててくれるんだ」 ──親友のアルジャメイン・スターリングがここにいますが、自分の試合とスターリングの試合、どちらの方が緊張しますか? 「友達の試合の方が、正直ちょっと緊張するよ。でも同時に、アルジャメインがどれだけ強いか分かってるから、安心して見ていられる部分もある。俺自身の試合のときは、緊張はまったくない。唯一気にするのは減量だけ。体重がクリアできれば、それだけでハッピーだし、あとは自分の仕事をするだけ。試合が近づくほど、自然と楽しみになるんだ」 ──スターリングのスタイルから、学んだことも多いですか? 今日は緑のスーツも着ていて、彼の影響を感じます。スポンサーの名前もぜひ挙げてください。 「ああ、アルジャメインからは本当にいろんなことを学んでる。とくにレスリングの技術やファイトIQは大きい。オシャレのセンスもね(笑)。今日はグリーンのスーツ、これも“オールドスクール・スターリングスタイル”って感じだろ? スポンサーについても感謝してる。この時計はジョージアの『Tsikolia(シコリア)』っていうブランドで、すごくいいよ。支援してくれるすべてのスポンサーに感謝してるし、アスリートを応援してくれる企業には本当にありがとうと言いたい」 ──ショーン・オマリーとの再戦、彼は今度もテイクダウンを避けようとしてくると思いますが、今回も判定までもつれる展開になるでしょうか? それともフィニッシュを狙いますか? 「どんな試合になるか分からないけど、タフな戦いを覚悟してる。今までで一番いい状態のショーン・オマリーが来ると思ってるし、俺自身も最高の仕上がりだ。フィニッシュできればもちろん狙う。でも、5ラウンドしっかり削って勝つ必要があれば、それもやる。準備は万端だよ」 ──あなたは以前、次の対戦相手としてコーリー・サンドヘイゲン(バンタム級4位)にも言及していましたが、今はどう考えていますか? 「今の時点で、明確なチャレンジャー候補はコーリー・サンドヘイゲンだと思う。彼とはまだ戦ったことがないし、ファイトスタイルも良くて、良い勝利を重ねてきたファイターだ。ファンもこの試合を観たいはず。けど、一番大事なのはUFCがどう決めるかだ。俺は王者だから、UFCが“次はこいつだ”って言ってくる相手と戦うだけ。この階級で一番強いやつを迎え撃つよ」 ──最後に、SNSでは「あなたにとって一番リスクが少ないのは“試合”で、むしろプライベートの方が危ないことをしてる」なんて言われてますが、それについてどう思いますか? 「それ、マジでその通り(笑)。試合中はほとんどケガしない。唯一やらかしたのはリッキー・シモンと戦ったとき、自分でテイクダウンにいって、自分の頭から落ちて意識が飛んだ(笑)。でもそれ以外の試合は、いつもほぼ無傷で終わってる。でも普段の生活、特に自然の中にいるときはヤバいことやってる。動物に襲われそうになったりもするし(笑)。実際のところ、一番ケガしてるのはトレーニング中だね」 [nextpage] 練習仲間のパッチー・ミックスは素晴らしい。でも俺とアルジャメインとの関係とは違う ──バンタム級にパッチー・ミックスが加わりました。あなたもラスベガスのマットなどで彼とよく練習していましたが、UFC入りした彼のことをどう見ていますか? この階級でどこまでやれると思いますか? 「パッチー・ミックスは素晴らしいファイターだよ。たくさん一緒に練習してきたし、トップクラスの選手だってリスペクトしてる。UFCに来たことを嬉しく思ってるし、成功を願ってる。UFCにとっても、バンタム級にとっても良いことだ。タフな選手がまた一人加わったってことだからな。彼がUFCに来るって話も、前から聞いてたし話もしてた。俺たちはクールな関係だし、仲間でもある。同じチームで練習してきた。  でも、俺とアルジャメイン・スターリングとの関係とは違う。もし将来、戦うことになっても、それは何の問題もない。パッチーは家族のために戦ってるし、俺は俺の家族とチームのために戦ってる。ただそれだけのことだよ。まずはショーン・オマリー(バンタム級1位)戦に勝つこと。それからどうなるか、見てみよう」 ──今月はジョージアのMMAにとっても大きな月になります。あなたが今週末にベルトを防衛し、その後にはイリア・トプリア(フェザー級3位)が空位のUFCライト級王座をかけて戦います。ジョージアにとって重要な瞬間の火付け役になることについて、どう感じますか? 「UFCでまた勝って、ジョージアの国旗を掲げられることがどれだけ誇らしいか。毎回、俺がUFCで戦うときはジョージア全体が盛り上がる。今回は特にそうだ。俺が勝てば、イリアや他の若い選手たちにもきっとモチベーションになる。だからこそ、今回は絶対に勝たなきゃいけないって思ってる」──ショーン・オマリーは前回あなたと戦って以来、試合をしていません。しかも、今回は“あなただけ”に向けて準備してきました。何か前回と違った部分を見せてくると思いますか? 「その通りだ。今回は、相当準備してるはずだ。SNSをやめたり、大麻をやめたり、集中してトレーニングしてるって聞いた。レスリングもパワーも磨いてきてると思う。だから、俺は“今までで一番強いショーン・オマリー”に備えてる。全部まとめて受けて立つよ」 ──アレクサンドル・パントーハ(フライ級王者)は支配的な王者ですが、もし彼が階級を上げてダブル王者を目指すとしたら、その対戦には前向きですか? 「ああ、王者としてリスペクトしてるし、もしUFCが“フライ級の王者を挑戦させる”って決めたら、俺は受けて立つよ。俺はバンタム級の王者だし、誰とでも戦う。UFCが決めたやつが相手だ」 ──ショーン・オマリーは最近大麻をやめるなど生活習慣も変えたと。こうした変化は、オクタゴンでの戦い方に影響を与えると思いますか? 「アルジャメインのポッドキャストでその話を全部聞いたよ。こういう努力はもちろんプラスにはなる。でも、最高のコンディションでも負けることはあるし、逆に調子がイマイチでも勝てることもある。結局、大事なのはキャンプで全力を尽くすこと。そして何より大事なのは、“謙虚さ”だ。今のショーンはすごく謙虚に見える。前回戦ったときは、フェイスオフでもずっと俺を見下すような態度だった。“自分の方が上だ”って顔をしてた。でも今回は違う。生活も変えて、態度も変わった。それは確実に彼にとってプラスになるはずだ」 ──あなたがショーン・オマリーを謙虚にさせたと思いますか? 「そうだな、俺との試合の前よりは明らかに謙虚になってるよ」 ──あなたはメディアデーで足の骨折についても話しましたが、あなたは常に何かしらの怪我を抱えながら試合に臨んでいる印象です。今回はウマル・ヌルマゴメドフ(バンタム級3位)戦のときと比べて、体の状態はどうですか? 「今回のキャンプは、ウマル戦の時の10倍は楽だったよ。あのときは本当に体がボロボロだった。特に背中なんか、どうなってたのか分からないくらいだったし、脚も悪かった。炎症もあったし、練習中も本当にキツかった。でも今回は問題なし。毎日2回ずつ練習できたし、ベストを尽くせた。今は減量期間に入ってるけど、それはいつもの“メンタルとの戦い”だ。とにかく、前回より遥かにいい状態だよ」 ──骨折よりも、減量の方が気がかりですか? 「ああ、もちろんだよ。減量のほうがよっぽど厄介だ」 ──ショーン・オマリーは、あなたがこれまで戦ってきた相手の中でどのくらいのレベルにいると思いますか? あなたはこれまでに世界王者とも何人も戦ってきました。 「今の俺にとって、ショーンが“次の相手”だ。だから、常にその時の相手を“最も大きな挑戦”と見なしてる。ショーンは今、一番調子がいいし、俺をノックアウトしようとしてる。だから今の俺にとっては、彼がナンバーワンの相手だよ」
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