MMA
インタビュー

【UFC】ついにUFCデビューするBellator王者パッチー・ミックス「メラブが王者で、俺がそこまで行ったら間違いなく戦う」「俺とタチアナの2人でUFCチャンピオンになるんだ」=『UFC 316』

2025/06/05 14:06
 2025年6月5日(土・現地時間)、米国ニュージャージー州ニューアークのプルデンシャル・センターにて、『UFC 316: Dvalishvili vs. O'Malley 2』(U-NEXT配信)が開催される。  メインイベントは、UFC世界バンタム級王座戦のメラブ・ドバリシビリvs.ショーン・オマリーの再戦。その同じバンタム級でメインカード2試合目に、元Bellator世界バンタム級王者のパッチー・ミックスのUFCデビュー戦が組まれた。 ▼バンタム級 5分3Rマリオ・バティスタ(米国)15勝2敗(UFC9勝2敗)3KO/TKO・6SUB 10位 ※UFC7連勝中パッチー・ミックス(米国)20勝1敗(UFC0勝0敗)2KO/TKO・13SUB ※元Bellator世界バンタム級王者※マルロン・ヴェラが欠場。ミックスが参戦。 (C)Bellator  堀口恭司、元谷友貴に勝利し、マゴメド・マゴメドフに2度勝利している、20勝1敗のBellator王者は、バンタム級10位のマリオ・バティスタといかに戦うか。U-NEXTインタビューで本誌が聞いた。 試合後にマゴメドフが『お前実は、俺を失神させたよ』って ──この1年1カ月、試合が決まらないなど苦しい時間がありました。どのように過ごされていましたか? 「そう、ちょうど1年間試合がなかったんだ。この1年はずっとトレーニングとチームメイトのサポートに集中してた。10月12日にシカゴのBellatorで試合が決まってたんだけどキャンセルになって、でもそのためにキャンプはやった。その後、同じ相手で11月16日にパリで試合が決まって、またキャンプをやったけどそれもキャンセル。さらに1月25日にも契約してたけど、それも中止。だからこの3つの試合のためにずっとキャンプしてたけど、全部キャンセルだったんだ。  でもその間に、10月にドバイで元ONE Championshipのカイラット・アフメドフとグラップリングマッチをやった(『ADXC 6』で判定勝ち)。しっかり減量して試合も勝ったし、新しいツールを見つけて色々と引き出しを増やせた。この1年はとにかくずっとトレーニングして、自分のスキルに新しいものを加えて、仲間をサポートするっていう1年だった」 ──UFCファイターとも多くともに練習していると思いますが、グラップラーのマイキー・ムスメシとも一緒に練習していましたね。彼との練習でどんな学びがありましたか? 「マイキーと練習するのは、本当に気づきがたくさんあった。彼は世界最高の柔術家だし、彼の考え方を聞けるのもすごく貴重だ。アドバイスもたくさんもらってるしね。そんなレベルの高い相手とスパーできるのは、自分がそれだけ高い柔術のレベルにいる証だと思う。俺は柔術の黒帯の中でも、MMAの世界の多くの選手よりもずっと高いレベルにいると思ってる。それに、マイキーと単に一緒に練習するだけじゃなく、彼が俺とスパーしたいと思ってくれてることが光栄だよ。かなり競争的な練習で、彼はすごく上手いから本当にいい練習だよ」 (C)patchymix ──あなたのヘッドコーチは始めた当初はデニス・ブラウンでしたよね。現在はエクストリーム・クートゥアーで練習していると思いますが、今のヘッドコーチは誰になるのでしょうか。タチアナ・スアレスも練習を手伝っている? 「ああ、タチアナは今回の試合でもセコンドに入ってくれるよ。今は隣でベッドの上でのんびりしてるけど(笑)、彼女は俺の心であり魂なんだ。何よりも彼女が必要なんだよ。それとは別に、俺のヘッドコーチはハリーSt.レジャー(Harry St. Leger)。彼はヘンゾ・グレイシーの黒帯であり、柔道の黒帯でもあって、ジョン・ダナハーに柔道の黒帯を与えた人でもある。すごく実績のあるコーチで、俺のキャリアの最初からずっとコーチをしてくれてる。あまり名前を出してないけど、実は俺が黒帯をもらったのも彼からなんだ。だから、彼が俺のヘッドコーチ。そしてレスリングコーチとしてドン・リリーもセコンドに入る」 ──あなたもプロになってからも長く自身が育ったセクション6でキッズレスリングのコーチをしていますが、ドン・リリーさんもその頃からの付き合いでしたね。今回のニューアーク大会は、その出身地のニューヨーク州に近い場所でのUFCデビューとなります。 「俺にとってそれは世界一の意味があるよ。生まれ育った場所から5、6時間ほどの距離の会場だ。家族みんなが観戦に来る予定だし、ショーを繰り広げ、観客を沸かせたいと思っている」 (C)Bellator ──その今回の試合は、MMAとしては、2024年5月のマゴメド・マゴメドフとのBellator世界バンタム級王座戦以来の試合となります。あの試合は、あなたにとって最も厳しい試合だったのではないでしょうか。2Rの跳びついてのギロチン、そして3R目にはマゴメドフのシングルレッグにギロチンでボディトライアングルに相手を入れて絞めました。万全のようでしたが極め切れなかった。あの前戦から得たことは? 「ああ、そうだな。試合後にマゴメドフが『パッチー、お前実は、俺を失神させたよ』って言ってたんだ。だから学んだのは、サブミッションを絶対に離しちゃいけないってことかな。最初に彼を落とせたと思ったけど、彼はタップしなかったから本当に極められてるのか分からなくてさ。だからチョークを離しちゃって、そこから相手を試合に戻しちゃったと思う。実際は、完全に意識を失わせるくらい落とし切るべきだったんだ。そうすれば文句も出なかっただろう。  でももしそうしてたら、俺がUFCに今いるかどうか分からないけどね。だからその試合は記録にちょっとアスタリスク(*注釈)がついてる感じで、自分の可能性を制限してるんだ。初戦では彼らに俺の真の力を見せた(2R ギロチンチョークで一本勝ち)のに、二戦目はちょっとケガもあって、それはチーム内だけの話にしていた。今は100%コンディションも最高だし、あの経験も積んだし、ベルトへの熱意もあるから、もっと戦える自信があるよ」 [nextpage] 朝倉海にトレーニングを呼び掛けたのは── ──そしていよいよUFCバンタム級10位のマリオ・バティスタとの試合に向かいます。ところでラスベガスでは、リッキー・シモンとトレーニングしたことはありますか? 「いや、それが一度ジムに行ってリッキー・シモンとスパーリングする予定だったんだ。みんなでラウンドを決めて順番に、俺は4か5ラウンド目にやろうって言ってた。でも彼はその時、従兄弟のヴィンス・モラレスが試合を控えてて、スパーリングを断られたんだ。リスペクトしてるよ。でも君にそう聞かれて思い出したけど、もう少しで一緒にトレーニングしてたかもしれないって考えるとちょっとクールだよね。彼は2試合前にマリオと戦ってるからね」 ──はい。そこで伺いたかったのは、バティスタのテイクダウンディフェンスと、ガードワークをミックス選手がどのように評価しているのか、ということでした。シモンはバティスタをテイクダウンしている。一方、一本勝ちしたグイド・カネッティ戦では下からバティスタがレッスルアップしてバックを奪いリアネイキドチョークを極めている。でも、その際はミックス選手にとって、ギロチンチョークのチャンスです。  ミックス選手がバティスタをテイクダウンできるか。バティスタがもしスクランブルしないときに、どのくらいバティスタはガードワークが可能だと思いますか。 「そうだな……言えることは、もし彼が俺に同じことをやってきたら、うまくいかないと思うよ。俺は非常に高いレベルだし、サブミッションで勝てると思う。彼にも6つの一本勝ちがあるし、グラウンドで柔術のロールの動きはあるけど、俺と戦ったら持たないと思う。たとえ前回の対戦相手マゴメドフが戦ってもサブミッションが強いし、マゴメドフも彼らに勝てると思うよ。マリオのグラップリングはある意味弱点があると思うし、過去にはもっと手強い相手と戦ってきたからね」 ──試合は立ち技から始まります。ジョゼ・アルドとも立ち合ったバティスタ(バティスタがスプリット判定勝ち)の打撃技術はどう評価していますか? 「俺はマイロン・サントスとよく練習してるんだ。彼は最近UFCで155ポンドで戦ったばかりだ」 ──MMA16勝1敗でUFC3連勝中、5月に強豪ソディック・ユサフに的確に打撃をヒットさせて勝利してましたね。ミックス選手は、UFCデビューとはいえ、日常的にUFCトップファイターと肌を合わせて、タチアナのセコンドにもついているので、UFCジッターも無さそうです。 「そうだね。それだけじゃなく、ジェレミー・ケネディ(PFL)、マテウス・カミロ(ZFNからUFC入り)ともスパーしてる。145ポンドや155ポンドの選手と多くスパーリングしてるんだ。フェザー級のダン・イゲやカイ・カマカともね。バンタム級とはあまりスパーしないんだ。俺は背も高いし合わないからね。バティスタは打撃技術は良いけど、俺はブラジリアン柔術黒帯だから、相手をグラウンドに持っていくよ。もちろん自分の打撃も悪くないと思っているし、打撃でも勝てると思う。彼はどちらかというとストライカーというか、グラップラーレスラーのタイプだと思うしね」 ──練習でいえば、先日あなたはSNSで朝倉海選手に練習を呼びかけていましたね。あなたが過去にグラップリング大会のハイローラーズ(2021年)でティム・エリオットと戦ったことがあるからですか? 「ティム・エリオットとは数年前に戦って片腕で絞め落としたんだ。彼の事あんまり好きじゃないんだけどね、ディスってる訳じゃないけど。リスペクトはしてる。朝倉海の事はシンプルに好きなんだよね。海がベガスに来た時に少しラスベガスで一緒にトレーニングもしたし、彼のYouTube企画でクッキングする予定もあったけど結局それはできなかった。海はいいストライカーだし、俺はグラップラーで、彼はグラップリングのサポートが必要そうだったから、『ラスベガスに来たらグラウンドの技術を教えるよ』って言ったんだ。彼の対戦相手のティム・エリオットは確実にグランド戦に持っていこうとするだろうしね。海が打撃が上手くて過去ノックアウトの戦績をたくさん持ってるから。  基本的に俺は日本のファイターや文化が好きだし、過去試合をした(堀口)恭司や元谷友貴も、海とトレーニングして知り合ったヒロヤもだし、扇久保博正や、そういう選手たちと知り合えたことを誇りに思っているんだ。みんなに敬意を払ってる。そういった事もあって海とトレーニングをしたいと思っているんだ」 (C)patchymix ──いま名前を挙げた堀口恭司選手が、同時期にフライ級でUFC入りしたことは奇遇ですね。 「彼はあの階級で“問題児”になるだろうね。125ポンドだろう? 強いし、ヤツのパンチやキックも強烈だ。それに柔術も上手い。戦績も34勝5敗と素晴らしい。彼がUFCの125ポンドで活躍するのを見たいね。将来的にマネル・ケイプとのUFCタイトルマッチが見たいよね。マネルは俺のトレーニングパートナーで、俺も恭司と戦ったから、彼ら二人の強さを知ってる。その試合はきっと花火のようになる。その試合が日本のさいたまスーパーアリーナで開催されたら最高じゃない?」 (C)patchymix ──たしかにそうですね。そして、メラブ・ドバリシビリもあなたのトレーニングパートナーの一人ですよね。堀口選手がUFCに戻って、同門のアレクサンドル・パントーハと戦う可能性があるように、あなたとメラブもいつかタイトル戦で戦う可能性があります。その場合、お互い戦うことは織り込み済みということでしょうか。 「いや、絶対戦わないよ……なんてね、冗談(笑)。もちろん100%戦うよ。だって、俺も彼と同じものを求めてるからね。彼は素晴らしい家族のために戦ってるし、俺も自分の家族のために戦ってる。彼とはUFCと契約する前に話したんだ。『PFLで試合が組まれないから、UFCに行くかもしれない。そのときはベルトを狙って行くからな』って。だから、彼も分かっているよ。彼がチャンピオンで、俺がそこまで行ったら、間違いなく戦う。それには何の問題もないよ」 ──では、同じ今週末の大会のメインイベントのバンタム級王座戦メラブ・ドバリシビリvs.ショーン・オマリー戦をどう予想しますか。 「メラブが判定勝ちか、後半にフィニッシュすると思う。オマリーが早くノックアウトできなければ、疲れて負けると思うよ。過去に同じような経験があって、その時も負けたから、今回は諦めるかもしれない」 (C)Bellator ──前戦があるがゆえに、オマリーが諦める可能性があると。さて、KOTCからBellatorで王者になったあなたが、これまでセコンドとしてついていたオクタゴンに、22戦目でUFCで戦う意味をどう感じていますか。 「UFCで戦う意味は、ずっと追いかけてきた夢を叶えること。そしてそのベルトを獲るのは、自分が到達したかったところにたどり着くという意味だ。自分自身や家族、チームにリスペクトと謙虚さを持って。自分の為だけじゃなくて、最初から支えてくれた人たちと一緒に輝きたいんだ。俺もタチアナ(フィアンセ)も、二人でUFCチャンピオンになるという目標があって、達成するまで止まらないよ」 ──フィアンセとともにUFCチャンピオンに。すごい目標ですね。最後に日本のファンにメッセージをお願いします。 「日本のファンのみんな、俺の試合をぜひU-NEXTで見てほしい。いちばん、ナンバーワン、パッチー・ミックス! レッツゴー!」
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