このジムは「キラールーム」なんだ(パントージャ)
堀口については、2024年12月にラスベガスで朝倉海に一本勝ちしたパントージャが本誌の取材に、試合前に堀口のサポートが大きかったこと、そしてATT同門対決が実現するなら快く受けることを語っている。
「恭司と話したときにこう伝えたんだ。『もし君がUFCに来てタイトルをかけて試合がしたいなら、僕は君の友達だけど喜んで受けるよ。ベルトをかけて君と対戦できるのであれば光栄だ』と。彼のことが大好きさ」と、オクタゴン復帰の際には、王者として挑戦者・堀口を迎え撃つ用意があるとした。
ATTでは同門のタイトルマッチは織り込み済み。これまでもそうしてきた通り、もし同門対決となったら、コーチとチームを分けて、タイトルマッチに臨むことになる。それまでは、互いに切磋琢磨する練習仲間だ。
「このジムは“キラールーム”なんだ。試合に向けて、アドリアーノ・モラエスと練習する機会があった。アドリアーノは僕を1Rで2回フィニッシュさせることができる。彼はONE日本大会で再びベルトを手に入れるつもりだ(※3月23日・若松佑弥との王座決定戦)。僕はジム内でアドリアーノに勝って、ホリグチを“殺す”必要がある。それが今の僕の目標で、もっと良くなる必要がある。ジムには優秀な選手がたくさんいて、僕のコーチであるマルコス・パルンピーニャは世界最高のコーチだ」と、堀口につくマイク・ブラウン同様に、チームをまとめるパルンピーニャとともに、ATT内での同階級のライバルたちとも試合を行う覚悟を示している。
その前に、堀口はUFCで難関を潜り抜ける必要があるか。
今回、対戦相手候補として名前が挙がったダゲスタン出身33歳のウランベコフは、ハビブ・ヌルマゴメドフのイーグルスMMA/AKAで練習。2020年10月にUFCに初参戦するとブルーノ・シウバに判定勝ち。22年11月にネイト・マネスをギロチンチョークで下すと、23年12月にコーディ・ダーデンにもリアネイキッドチョークで一本勝ち。2025年1月にキャリア8戦全勝だったクレイトン・カーペンターに判定勝ちで現在、UFC3連勝中(UFC5勝1敗)の強豪だ。
実は、昨年末の本誌の取材でUFCランカーを語っていた堀口は、ウランベコフを高く評価していた。
身長170cmでリーチ178cm、幼少時からレスリングを学び、2014年の世界コンバットサンボ選手権で57kg優勝。オーソから懐の深い打撃と四つ組みからの強いテイクダウンを武器に、ギロチンチョークなど9つの一本勝ちを誇る。フライ級ランカー内で対戦を嫌がられる選手の一人で、近年MMAグラップリングの比率を増やしている堀口にとって厄介な相手となるが、ATTのジョスエ・フォルミーガが2024年10月にウランベコフとのグラップリングマッチで勝利しており、堀口のウランベコフ対策の力となるだろう。
本誌『ゴング格闘技』3月号(NO.336)でのロングインタビューで堀口は、UFCの返答について「すごくいい方向に進んでいると思っているので、海くんが行ったことによって日本の中でもすごくペイパービューが売れて、UFC内でも日本がマーケットとして視野に入ったという、開きかけた扉を開けて、自分がチャンスを掴みたいなとは思っています」と、展望を語り、戦いたい相手を問われ、「チャンピオンになりたいんで、今はパントージャしかいないですよね」と、きっぱりと語っている。
また、報道を受けた21日のYouTubeでは、「UFCと今交渉していて、榊原(信行CEO)さんもそのことを知っていて応援してくれて
現在、UFCフライ級には、平良達郎(5位)、朝倉海、鶴屋怜の3人の日本人選手が参戦中で、元RIZINとしては、マネル・ケイプ(6位)、ラマザン・ テミロフ(13位)がランキング入りしている。UFC日本大会の機運も高まるなか、果たして、堀口恭司の悲願はかなうか。