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2025年5月4日(日)東京ドーム『THE MATCH 2』で、朝倉未来(ジャパントップチーム)との再戦に臨む予定だった平本蓮(剛毅會)が全治6カ月の「外傷性肩関節不安定症」で欠場。3日の会見後、インスタライブを行い、自身のYouTubeも更新。怪我の経緯、大晦日復帰戦の相手、自身の代わりに朝倉未来と対戦する選手の予想などを語った。
「外傷性肩関節不安定症」とは、スポーツや事故などで肩関節が脱臼や亜脱臼を起こしたことで、肩関節が不安定な状態となり、脱臼(亜脱臼)が繰り返し起きやすくなる状態。インスタライブで平本は、まず会見でも語った治療の経緯の詳細を明かした。
「RIZIN専属ドクターのいる病院に、もう去年の9月ぐらいから通っていて、2月末に手術しっかりして。本当に選手生命に関わることで、UFCレジェンドのドミニク・クルーズという素晴らしい選手が、8カ月の間に2回脱臼して、その怪我を理由に引退してしまったんですけど、僕、1カ月に3、4回してますからね。もう計何回も亜脱臼みたいな感じで、週に何回も針(治療)に行ったり」と、慢性的な脱臼のなかで、「『これは手術するしか試合なんか出来ないよ』とドクターから言われて」手術に踏み切ったという。
現在は「下半身トレーニングもしばらくしちゃいけない。肩に反動が来ちゃうから。連動する、力んでしまうから」と、手術箇所以外のフィジカルトレーニングも禁止されている。
当初、負傷を抱えながらも騙し騙し練習し、東京ドーム大会は強行するつもりだったという平本だが、「さすがに東京ドーム飛ばせねえだろうなと思って、榊原さんに相談したところ、まずは怪我をしっかり治してくれって、興行があるにもかかわらず、すごい僕のことを思ってくれて、僕も何か感謝で答えたいなっていうのはあります。大晦日に本当、強敵や外国人選手を相手に、立ち向かっていく姿でファンを魅了する。その姿で恩返しできたらいいなと、心から思います」と、年内の復帰で、今回の試合キャンセルを補いたいとした。
その対戦を希望する相手は、朝倉未来ではなく、フェザー級の王座戦線にからむ強豪たちだ。
入院中に「朝倉未来は朝倉未来で頑張って、俺は俺で頑張っていこうかなって感じ。やっぱ外国勢と試合していきたい」と感じていたという平本は、「俺は誰とやりたいかと思って。大晦日は(ラジャブアリ)シェイドゥラエフか鈴木千裕、その辺のガチ勢(とやりたい)」と、1年5カ月ぶりの復帰戦はフェザー級の上位陣との対戦を望んだ。
一方で、5月大会の対戦相手が不在となった朝倉については、会見で「欠場する僕が言うのもアレですけれど、東京ドームを救えるっていうか、東京ドームに客を呼べてこの興行自体を救える人間というのは朝倉未来しかいないんじゃないかなと敵ながらに思うので」と語ったとおり、予定通りの出場を希望。
朝倉未来の相手をファンから問われ、「順当に行けば、YA-MANか、それか、逆に鈴木千裕もやりたいって言ってたからさ。鈴木千裕も、この試合でお金稼げるわけじゃん。美味しいっちゃ、美味しいよね。その戦績だけを加味したら、元も子もないけど、やっぱ朝倉未来という人間相手にイージーマネーってわけじゃないけど、マネーファイト出来る」と、キックルールで朝倉が敗れているYA-MANとのリベンジ戦か、平本・ケラモフに勝利している前王者・鈴木千裕が相手になるのでは、と予想した。
YA-MANは、2023年11月に自身がプロデュースするオープンフィンガーグローブキックボクシング大会『FIGHT CLUB』に朝倉未来を招聘、RIZINより小さなリングで1R 77秒、朝倉を右ストレートでKOに下している。2024年大晦日にMMAでカルシャガ・ダウトベックに判定負け。2025年3月29日の『RISE ELDORADO 2025』ではオープンフィンガーグローブマッチ(3分3R)でGLORY世界フェザー級1位ミゲール・トリンダーデ(ポルトガル)との対戦が決定済みで、5月、東京ドーム出場を決めるためには、原口健飛に初のKO負けをつけた強豪トリンダーデをクリアするという難関が待ち受けている。
一方の鈴木は、大晦日にクレベル・コイケに判定負けで王座陥落。3月30日の『RIZIN.50』でカルシャガ・ダウトベックを相手に再起戦が待っている。朝倉と対戦するためには、難敵ダウトベックを下し、5月の連戦に挑む必要がある。
平本は、鈴木vs.ダウトベック戦の行方について、「鈴木じゃないの? いや、分からないけど。意外に内側のボクシングをダウトベックが取る可能性が多いだろうから、結構、難しいです。でも、鈴木千裕が打撃でブアーッて行って、ダウトベックと打ち合うけど、鈴木千裕がいい感じのノーモーション的な右を当てて、左を当てて、ウワッてなったところで、ダウトベックが距離取ってテイクダウンに行く。それを鈴木千裕が切る。そこでいつもの流れのように(鈴木が)KOみたいなのが、一番高そうな予想かな。鈴木千裕がKO勝ち。ダウトベックがこの間のYA-MAN戦のようにテイクダウンに行き始めたら、鈴木千裕、やりやすいんじゃないかな」と、鈴木が打撃戦でもチャンスを作り、進化が著しいテイクダウンディフェンスでダウトベックを削って、最後はKOする、と予想した。
果たして、朝倉未来の対戦相手は誰になるのか。朝倉は会見後にXで「5/4 対戦相手が怪我で欠場とのことです。まあ、怪我は仕方ない。俺出なくて東京ドームは埋まるのか」と、現時点では出場を表明してはいない。
5/4 対戦相手が怪我で欠場とのことです
— 朝倉未来 (@Mikuruasakura_) March 3, 2025
まあ、怪我は仕方ない
俺出なくて東京ドームは埋まるのか
しかし、榊原CEOから、平本欠場の報を事前に聞いていた3月2日の『BreakingDown 15』では、瓜田純士の「未来もBDに出ろよ。大将が出なくてどうするんだよ」の呼びかけに、「俺も試合したいですね。全然したいですね。でも5月に試合なのでそれ以降ですね」と、平本の仕切り直しの会見前のため欠場は隠しながらも、東京ドームで試合を行う心積りであることを語っていた。当初、復帰を決めた動機である平本との対戦から相手が変更となり、どんなモチベーションでリングに復帰するか。
そして、手術から全治半年、そこから試合に臨むコンディションを作り直す必要がある平本は、大晦日にどんな試合が待っているか。
配信で平本は視聴者から「打撃は才能か?」と問われ、「いや、努力です。才能もあるけど、そのたくさんの努力を死ぬほどして、それは怠ることはないです。毎日努力して強くなっても努力・努力して、コツをある日掴む。そのコツを掴むのも才能なのかもしれないけど、でもそれは努力がついてる」と、日々の積み重ねが欠かせないと語っている。