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2024年11月2日(日本時間3日)カナダ・アルバータ州エドモントンのロジャーズ・プレイスにて『UFC Fight Night: Moreno vs. Albazi』(U-NEXT配信)が開催された。
▼フライ級 5分5R
〇ブランドン・モレノ(メキシコ)22勝8敗(UFC10勝5敗)2位
[判定3-0] ※49-46, 50-45×2
×アミル・アルバジ(イラク)17勝2敗(UFC5勝1敗)3位
フライ級トップコンテンダー対決として、ランキング2位のブランドン・モレノ(メキシコ)と同3位のアミル・アルバジ(イラク)が対戦する。
この大会をU-NEXT配信で解説する朝倉海は、12月7日(日本時間8日)の『UFC 310』(米国ラスベガス・Tモバイルアリーナ)でオクタゴンデビュー。いきなりUFC世界フライ級王者・アレッシャンドリ・パントージャ(ブラジル・ATT)に挑戦することが決定しており、同階級の2位と3位の両者の戦いをどう見るか。モレノvs.アルバジを通して、パントージャの実力をどうとらえているかにも注目だ。
2023年7月にパントージャにスプリット判定で敗れて王座陥落を喫したモレノは、2024年2月のブランドン・ロイバルとの対戦でもスプリット判定で勝利を逃して連敗中。MMA21勝8敗2分。
一方のアルバジは、2023年6月の前戦でカイ・カラ=フランスにスプリット判定勝ち。UFCに参戦してから5連勝中とオクタゴンでは負けなしを誇る。MMA17勝1敗で唯一の敗戦は2019年4月のBrave CFでホセ・トーレスに判定負け。そのトーレスは2018年8月にアレックス・ペレスに1R KO負けでUFCをリリースされている。
同級では、そのペレスにTKO勝ちし、2024年10月に1位のブランドン・ロイバルにスプリット判定で敗れた平良達郎。そして2024年6月にカルロス・ヘルナンデスに判定勝ちでUFCデビューを果たし、MMA戦績を10勝無敗とした鶴屋怜も参戦中で、5位の平良にとってはモレノvs.アルバジのどちらも次期対戦相手候補となる。
タイトル奪還を目指す元王者モレノと次期タイトル挑戦者候補に名乗りを上げたいアルバジの対決は、今後のフライ級王座戦線を占う上でも必見だ。
1R、ともにオーソドックス構え。モレノは左ジャブ。アルバジは左インロー。モレノは左ジャブで前に出る。左をかわして組んだアルバジに離れるモレノ。アルバジはワンツーを伸ばす。左ジャブ、左ミドルから右ストレートのモレノ。
押し戻すアルバジは前蹴り、右カーフでバランスを崩す。左ボディストレートのアルバジにジャブを返すモレノ。アルバジの続く右カーフはかわす。右フックを突くアルバジ。ブロッキングのモレノは右を突くとアルバジは足を滑らせる。ワンツーから左ローを見せるアルバジ。ホーン。
2R、右カーフのアルバジ。チェックするモレノはインロー。ワンツーから左ハイを振り抜いたモレノ! 下がるアルバジに右を振ると組むアルバジを突き放す。
右カーフは空振りのモレノだが右を当てる。さらに左ジャブから右ボディ。ダブルレッグテイクダウンも尻を着いてマット中央ですぐに立つモレノ。
頭を振って左の蹴り、大きな右を振るモレノをかわしたアルバジも左を振る。ジャブで制空圏をつかむモレノ。アルバジのジャブに右をかぶせる。左ジャブの刺し合いはモレノ! さらに右に動きが止まるアルバジだが右の前蹴り。モレノは左ジャブと左フックを散らせてコントロールする。モレノのラウンド。
3R、左ジャブのモレノに、アルバジはテイクダウンのフェイントから右アッパーでモレノを崩す! 戻したモレノはジャブ、左ハイ、左ボディ。アルバジは左ミドル。モレノの左ジャブに右ストレートを打ち込むが、モレノは横を向いてノーダメージとアピール。
右ハイのアルバジだが滑る。モレノは左ハイ。ブロッキングのアルバジ。ともに前足を若干滑らせる。左ジャブのダブルのモレノ。アルバジは右目下を腫らせる。アルバジは右目に指が入ったか。そこに左ハイはモレノ。アルバジは右を返すが単発。シングルレッグのアルバジに、片足立ちでヒジを突くモレノは足を抜き、圧力をかける。ここもモレノのラウンドに。
Closing this fight out in style 🤸♂️ #UFCEdmonton pic.twitter.com/Ta7OkLPsj7
— UFC (@ufc) November 3, 2024
4R、ワンツーで前に出るモレノ。アルバジもブロック上に左右を叩く。左の蹴りを突くモレノ。ワンツーから左を伸ばす。左ジャブを起点に攻めるモレノ。ワンツーで前に。回るアルバジ。右前蹴り、カーフも単発。左ジャブを突くが、ブロッキングのモレノは左ハイ。左ジャブ。右を出し右ヒザで前に押し戻すアルバジだが、バックステップのモレノは、頭を細かく動かして避けて、左ジャブ。打ち返しは避ける。
#UFCEdmonton Official Result: Brandon Moreno (49-46, 50-45, 50-45) defeats Amir Albazi by Unanimous Decision#UFCEdmonton Results, Interviews & More ➡️: https://t.co/flCCHZsf7M
— UFC News (@UFCNews) November 3, 2024
5R、中央に飛び出したアルバジ。モレノも軽いステップで左ジャブのダブルにフックを混ぜて左右で前に。アルバジのシングルレッグをがぶって切って前進も、アラバジの前手がアイポークに。
再開。左ジャブで前に出るアルバジの組み際に左を効かせたモレノは前に! 全ラウンドを取っていると思われながらもなおも仕留めに行く。右目下からの出血がひどくなるアルバジ。モレノは左ハイ。
ガードを固めて、左ジャブ、左ハイ。左ヒジの跳び込み、さらに右にアルバジは足をもつらせる。アルバジの打ち返しをかわして右から左のモレノ。左、右フック、最後に胴廻し回転蹴りから前転して左ミドルまで見せたモレノがホーンに両手を挙げた。
判定は3-0、フルマークが2者のモレノが完勝(49-46, 50-45×2)。試合後、「最高の気分だ。新しい人間になったように感じる。ここまでの家族との休暇はほんとうに必要だったと実感している。こんな練習通りのパフォーマンスを前回の試合では見せることができなくて、チームも僕もフラストレーションを感じていた。そして今日、最高だった。カナダのみんな、エンジョイできたかな? メキシカンとしてパンチが好きなんだ。次はタイトルを奪還したい。みんなをリスペクトしているが、全員を倒したいんだ。僕はこの惑星で最高のバッドアスだから」と笑顔で語った。
"Man I wanna eat!"
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Never change Brandon Moreno 😂 #UFCEdmonton pic.twitter.com/CPLFJuvchD
3位のアルバジを大差で下したモレノについて、U-NEXTの解説席の朝倉海は、「こんな差があったのか。アルバジ勝つかな、くらいに思っていました。さすがでしたね、モレノ。しかもあまり疲れていない。この戦い方ができればあまり疲れないです。強い。モレノと戦いたいな。モレノとはUFC PIで軽くスパーリングしたことあります。(当時は)あまり知らなくて。(休暇明けでも)キレキレで素晴らしいパフォーマンスでした」と称賛し、王者として対戦したいとした。
一方、試合後に現地解説席に招かれたモレノは、12月のパントージャvs.朝倉海のどちらの勝者と戦いたいか? と問われ、「正直なところベルトを奪還できればどちらでもいいい。でも選べるならパントージャかな。負けているし、接戦だった。いくつか調整をしてミスをしなければ勝てると信じている」と語っている。
MOST FLYWEIGHT WINS - UFC History
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13 - Demetrious Johnson
13 - Joseph Benavidez
12 - Alexandre Pantoja
10 - Brandon Moreno
10 - Deiveson Figueiredo#UFCEdmonton
モレノ「朝倉海の挑戦は、ポジティブにとらえている」(試合前)
──またオクタゴンに戻ってきましたね、ブランドン・モレノ。2月のロイバル戦後、「今年いっぱいは休む」と言っていたと思いますが、どのような経緯で気持ちが変わりましたか。
「答えは簡単だよ。俺はやっぱり競技者だから。少し休もうと思ってた時、当時はそれで問題ないって思っていたけれど、3週間くらい経ってから『戦いたい』って思うようになった。ただ、妻や、家族やコーチ達には真剣に『休んだ方がいい』って言われていた。家族と娘たちと過ごす時間を作らないといけないと。だからこの話がきたときも自分に問いかけたんだ。“真剣に休んだ方がいいぞ”って。それでもやっぱり戦いたいという気持ちがあった」
──こうして、あなたはここでファイトウィークを迎えていますが、今日の試合までにしっかりとあなたが休暇中にやりたいと思った事はできたのですか。
「今、エネルギーは最高な感じで。絶好調だよ。何がクレイジーかって、直近の2回のファイトキャンプでは違った。ストレスが常にかかっていて、責任を各所に感じながら過ごしていて今日のような活動も楽しめていなかった。今は、UFCに入った頃のような気持ちでメディアと話したり、すべて初心に帰ったような気持ちだ。休暇では身体をリカバリーすること、心をリカバリーする事、怪我にも困らせらせられていたから、今は本当に完璧になっている」
──2018年に一度リリース後に復帰した時が“ブランドンモレノ2”だとしたら、今回は“ブランドンモレノ3”でしょうか?
「そうだね。それがゴールだ。世界にそれを見せたいと思う。最近コーチ達とも話していたが、ずっとフラストレーションを感じていた。直近の敗戦2回(パントージャ戦とロイバル戦)とも、自分の選手としてのプライム期間だと思って、自分の強さを感じて戦ったんだ。技術も、試合についての知識も増やして、ただ結果が伴わなかった。だから今回のゴールは世界に自分の言葉を取り返しに行く姿を見せる事。自分のハードトレーニングの日々を取り返しに行く事。それだけだ」
──今回、アミール・アルバジとの対戦は正しいタイミングだと思いますか。以前一度対戦予定ではあったと思いますが。
「新たな選手と戦いたいと思っていた。これまで(ブランドン)ロイバルとは2試合、カイカラ(フランス)と2試合、(アレッシャンドリ)パントージャとは2、3試合している(※1つはTUF24での非公式試合)。デイブソン(フィゲイレード)とは4試合だ。既にイメージがある選手達だ。だから新たな選手を相手に新しい戦略で試合をしたかった。1年前かな? 前回試合を予定をしていた環境より容易になったと思っている。メキシコシティで試合をする予定だったと思う。その時すでにゲームプランは用意してあったので、今回はトレーニングに集中できたよ」
──メンタル的にはどのようにアプローチしましたか? 何度も同じ相手と試合をした事で、どこかで何が効果的で何が効果が薄いかというのは理解されていたと思います。そのような環境から全く新しい相手と戦う事はメンタル的にアジャスメントは必要だったのでしょうか。
「どうなんだろうね。分からないよ。今週末良いパフォーマンスを見せるだけだ。ひとつだけ言えるのは、とても絶好調という事だけ。フレッシュな気分で、モチベーションも高く、準備が整っている。何がクレイジーって、俺は今までモチベーションとかは気にしていなかった、常に規律とかを重視して将来のゴールを考えていたけども。とにかく気分はとてもいいんだ」
──今回からルールが改定されます。12-6エルボーと、グラウンドの定義が変わります。今回の試合でそれらが影響する事はありますか。
「ディフェンス面で考えると自分はあまりグランドにタッチするとかしないとかはジムでのトレーニングでも試合でも関係ないタイプの選手だと思っている。だからあまり影響はない。オフェンス面で考えるとアミールはいいグラップラーなのでその状態で顔面に入れる機会が自分に来るならもちろん俺はするし、その機会がなければただそれだけ。エルボーも機会があれば出すしグラウンドのヒザも同じだ」
──ほかにも改定したいルールはありますか。
「次? 分からないね。どうなるか見てみよう」
──アミールは先ほど「過去1年半、心臓の具合が悪く腕の緊急手術が必要と判断されたり長い間健康の問題があった」などと話していました。そのような事をアミールが乗り越えた事がメンタルが強い事に関連すると思いますか?
「彼はファイターだから。トップ選手だ。そして選手は皆それぞれ様々な事を乗り越えてきている。自分の過去の苦悩した事も話すことはできる。アミールに関しては、そのような事があったからこそモチベーションは高いと思うし、今回は健康な状態で挑んでくると思う。準備もできているだろうから自分は気を付けなければいけないね」
──アミールはもちろんタイトル戦を狙っていますが、あなたは今回勝利したら、パント―ジャvs.朝倉海の勝者との対戦の候補に上がると思いますか。
「(アミールは)もう一度カイカラフランスとやるのもいいよね。前回、かなり接戦だったと思うし個人的にはカイカラが勝ったと思っている。どうなるかな。ただ今回元チャンプに負けたら、タイトルマッチへ名前が上がるのは相当ハードになると思っている」
──朝倉海のUFC参戦と即タイトルマッチについてはどう考えていますか。
「これまでUFCがPRIDEやストライクフォースを買収した時以外にはあまりなかった事だと思う。自分的にはポジティブに考えているよ。この階級にとってもとてもポジティブで。どの階級も若い選手や、戦績の良い新しい世代が出てきて、パフォーマンスも素晴らしかったりする。ただ同時にどの階級もTOP5を見てみるとに詰まってしまっているように見えるよね。
例えばブランドン・モレノが何度も同じ選手と再戦しているように。だからフライ級にとって朝倉海のようなフレッシュな選手が入ってくることはいいと思う。強いストライカーで新しい見方をフライ級のTOP5に持ち込んでくれるんじゃないかな。パント―ジャと彼の試合は興味深いものになると思う」
──パント―ジャvs.朝倉ではどちらが勝つと思われますか
「『パント―ジャが負ける』とは自分は言えない。過去3度、俺は彼に敗れているから。それが現実だ。パント―ジャはとても強いし、なんていうのか彼は変な能力みたいなものがあって。サバイバル技術みたいな。前の試合でもよく覚えているのだけれど、4R目の終わりに彼の顔を見たら、“終わりだ”って顔をして、俺のバックを取ってずっとステイしていた。5R目は正直つまらない展開だったけれど最終的に彼が勝った。ロイバル戦も同じだ。4R目にかなり顔にパンチをもらっていたのに勝ち残った。エルセグの時も同様だ。そういう能力があるんだよ。ただ、朝倉海との試合はどうなるかな。UFCってのはまるで世界(レベル)が違うから」
──メインイベントを担当する事が続き、モレノ、ロイバル戦が始まってからUFCでは9戦目になると思います。プレッシャーについてどのように感じ、どのように対処しているかお聞かせください。
「メキシコ人の世界チャンピオンとして、大きな国を背負って戦っている。責任を持ってやらなければいけない事は、ただ純粋にファイトキャンプやトレーニングだけではなくて、メディア対応や試合の為の旅程などがたくさんある。他の人からしたらなんでもない事だって言われるかもしれないし、ただ自分が弱いだけかもしれません。ただ自分にとってはそれはすごく大きい事だった。この2、3年試合をし続けてきた。たくさん練習をして、たくさん試合をして、世界中を回ってメディアの対応をした。俺も人間なので。どこかで爆発したんだ。それで休暇を取る判断をした。家族と過ごして家で数カ月過ごした。新しい趣味を見つけたりね」
──新しい趣味はなんですか? もちろんレゴが好きなのは知っているのですが、先日もうあまりレゴは作っていないと仰っていました。
「僕はコレクターなので、最近ポケモンカードを集めています。オフィシャルには14カ月集めているよ。本当に楽しいんだ。あとはコーヒーについても学んだりしている。コーヒーが大好きなんだ。豆のクオリティや豆の挽き方などを学んでいる。モンスターバイクも始めた。あのスポーツは危険だよ。落ちるとしたらかなりハードだからね。だけどすごく楽しいし、いい運動になっている。そういう感じで家族や愛しているものたちと楽しく過ごしていた」
──今回の5ラウンド戦に向けて準備はいかがですか?
「自分は対戦相手全員をリスペクトしている。アルバジも今回ベストで戦いにきてくれる事を願っているし。彼もタイトルを狙っていて、やる気も溢れているし、準備万端だろう。それを迎え撃つ準備はできているし、本当にこれまでとエネルギーが全然違うんだ」
──一時期フライ級消滅の話がUFCでもありました。あなたも一度は去って、何人かの選手達も去っていきました。そんな中、数週間前の「ロイバルvs.平良戦が今年のベストファイトだ」という声が上がっています。フライ級が再度熱くなってきていますが、この階級が再燃し始めている今、そのパートを担っていることをどう思っていますか?
「そうだね、運命なのか、それが人生なのか何なのかは分からないけど、それに感謝したいと思っています。UFCにもこの階級を残してくれたことに感謝をしているし。私たちは素晴らしいアスリートたちです。スキル的に言うと、本当に心の底から今までで最高の階級になっていると思う。僕たちが小さいからかは分からないけれど、話題に上がらない事が多い。どの選手も素晴らしいレスリングや柔術の技術、ストライキングの技術を持っている。フライ級は残るべき階級だと信じているし。今は本当に花火が上がっているほど熱い。新しい若手も出てきているし、新しい選手も入ってきた。TOP5の選手はさっきも言ったように少し詰まっているところはあるけれど、いずれにしろ素晴らしい才能をもった選手達だ」
アルバジ「手術後、医者から『麻痺状態になる寸前だった』と言われた」
──1年4カ月ぶりのオクタゴンのアルバジです。お帰りなさい。これまで色々大変だったと思いますが、メインイベンターとしてファイトウィークここに座れていることをどう思われますか。
「正直に最高の気分です。ようやくここに、ファイトウィークに戻れたこと、そしてそれがメインイベントである事を嬉しく思います。すごく意味がある事で、この階級で自分が何ができるかを見せるいい機会になると思っています」
──何度も聞かれている質問だとは思いますが、まだ知らない方の為にこの一年強あなたが通ってきた苦しい道のりを教えてください。
「カイカラ・フランスとの試合の前、健康に問題を抱えていました。当時は原因は分かってなかったのですが、試合のあとに発作性上室頻拍という心臓病だという事が分かりました。簡単に説明すると不整脈で心拍が239まで上がってしまう状況でしたので、手術を受けました。手術が終わってからもトレーニングをしていたのですがメキシコシティでのモレノ戦を控えていた時に左腕が上がらなくなってしまったんです。
ジャブも打てませんでした。何も出来なかったのですが、トレーニングは続けていました。とにかく右で撃ってサウスポースタンスに変えたりしていました。MRIを受けた後に先生にもうあなたは戦わない方が良いと言われました。9時から5時までの仕事をするように勧められました。それをUFCのドクターが知った時にすぐに試合が消滅となり、手術をする事になって。医者は『麻痺状態になる寸前だったよ』と言っていました。その手術を経て、私は今ここにいます。自分のキャリアの中で一番長い休暇でした。競技だけでなくアスリートとしてのキャリアの中でも。手術から6カ月の経ってトレーニングを始めました。本当に感謝をしています。一歩一歩、障害物を乗り越えながら今ここにいます」
──試合には戻れないかもしれないと思われる日もあったかと思いますがやはり落ち込む日もありましたか。
「常にです、常に。医者に行くたびに、もう止めなさいと言われ続けたけど、どのように対応するべきかも分からなかった。辛い日はたくさんありましたが、トンネルの先には光があると考えて過ごしました。自分は神を信じていますので、自分の道は定められていると考えています。なので、絶対に復帰できると信じていましたし、これは自分が越えなければいけないハードルのひとつなんだと感じていました。そしてまたここにいる事が出来ています」
──あともう少しで麻痺状態になってしまう状況から、5R殴り合うという試合に出場のOKが出るまでどのような準備をしてきたのですか?
「とてもいい外科医の先生に手術をしてもらいました。具体的には分からないですが、本当に色んな調整をしてもらいました。首のところから前を開けて人口のディスクを入れてあります。なので今はチタン製の首です。多分。
UFCにも感謝しています。彼らは私の力を信じてくれて私が何ができるかを理解してくれていました。私はナチュラルボーンクラッシャーです。そう自分のレコードに書かれています。常にフィニッシュを狙っているし、もちろんたまに他の試合よりタフな試合になるときもあるのでフィニッシュが叶わないときもありますが、常にフィニッシュを狙うから常に試合が組まれています」
──6週間後にはパント―ジャと朝倉海のフライ級タイトル戦があります。今週末の試合に勝利したら勝者と戦うと思いますか。
「もちろん。試合は注目していますが、今自分が集中しているのは今週末のブランドンモレノ戦。それだけです」
──モレノについてはどう思われますか? 彼は彼なりの理由で少し休暇を取っていました。来年まで復帰はしないと思われていましたが、復帰が早まりあなたとの試合が決まりました。
「それは彼自身の事なので。皆それぞれ違うものを抱えています。私は私の苦悩があり、彼は彼の苦悩がある。彼が準備できて、自分が準備できて、あとはやるだけですよ」
──朝倉海の参戦と即タイトルマッチに関してはどう思われますか? あまりない事だと思います。
「あまりない事なので、皆驚いたと思います。この階級でタイトル戦を戦えると思う選手は他にもたくさんいます。ただ、同時になぜUFCがこのような事をしたのかも理解できます。パント―ジャはTOP5、6の選手を皆一掃してしまったから。自分だけがまだ戦っていない。なので、なぜ朝倉海に即タイトル戦を手配したのかは理解できます。彼は強い選手です。他の団体からきた選手でイージーな相手ではない。いい選手なので、ファイターのラインナップにもっとワクワクを与えてくれるだろう。個人的にはまずは試合に復帰し、勝利をして、それからタイトルの事を話したいと思います」
──ブランドン・モレノはあなたよりひとつ年下です。彼の年齢で彼のキャリアを積んでいることにどのように思いますか?
「確かに彼はたくさんのメインイベントを経験し、タフでハードな試合を重ねてきています。フィゲレイドとも何度か戦い、パントージャとも。しかし、私にとって年齢はただの数字でしかありません。あなたが言うように彼がどのように経験値を重ねていても。彼が私より若くても、年上でも、変わらず私は今まででベストな状態です。私はまだ日々上達しているし、年齢はファクターではないと思っています」
──新しいルールで、12-6エルボーや、グラウンドの定義の変更についてどう思われますか?
「もっとバイオレンスになるから、嬉しいよ」
──トレーニング中でこのポジションだったら今まで使えなかったこれが使えるようになるな、と思ったりはされましたか?
「もちろん12-6エルボーが出来るようになったからね。ただ、自分にとってあまり違いはなくて。対戦相手によっても状況は変わるけれど、もちろん頭には入れてあるし、特にダウン状態の対戦相手には。機会があれば披露したいと思っている」
──次のルール改定があるとしたら何がいいですか?
「サッカーボールキックかな? 私はグラップラーですがバイオレンスなのが好きなので、もっとエキサイティングになるんじゃないかと思います」
──先日のロイバルvs.平良戦が格闘技最高峰とも言われる試合をした事でいい試合を見せなければというプレッシャーはありますか?
「プレッシャーはない。これまでのほとんどの自分の試合はフィニッシュをしてきました。常に積極的にフィニッシュを狙っています。だからいつもより余計に頑張ってフィニッシュしなければ! などの気持ちはないので。ケージに入ったらアミール・アルバジらしい試合をするだけです」
──アリゾナのファイトレディでヘンリー・セフードとトレーニングをしていたと思います。ヘンリーにアドバイスをもらった事はどうでしたか?
「素晴らしかったよ。去年ベガスからフェニックスに引っ越してファイトレディに入った。ヘンリー・セフード、エディー・チャー、サンティノ・デ・フランコやチームが揃っています。素晴らしいメンバーがファイトレディにいて、大きく進化できたと思う。もう自分は新しいファイターになっていると思うし、皆さんはそれを今週末の試合で見れると思います」
──ヘンリー・セフードはブランドン・モレノとも一時期トレーニングをしていました。色々アドバイスを受けましたか?
「そうですね。彼はブランドンの事を本当によく理解している。一緒にトレーニングをしていたし、ブランドンの試合についてもよく知っている。なのでもちろん彼からの助言は受けるし、彼がどう考えているかも聞く。色々洞察をしてもらったし。
ただ自分は常に自分に集中をしていたいと考えています。自分の試合に集中をする。ブランドンも自分もベガスにいた時は一緒にトレーニングもした。彼も自分を感じる事ができたと思うし、私も彼を感じる事ができた。ただ、それでも私は自分がやるべき事に集中します。対戦相手がどうするかという事に集中しすぎないようにしています」
──どのような試合展開になると思いますか?
「もちろんフィニッシュを考えています。2Rか3R目かなと思っています」