2024年12月7日(日本時間8日)の『UFC 310』(米国ラスベガス・Tモバイルアリーナ)のコ・メインで、UFC世界フライ級王者・アレッシャンドリ・パントージャ(ブラジル・ATT)に挑戦する朝倉海(日本/JTT)のセコンドに兄の朝倉未来がつくことが21日、分かった。未来が自身のYouTubeで発表した。
兄の同行に海は「セコンドで来てくれることになった!」と投稿。さらに「もう1人最強の方が来てくれるので後日紹介します」「日本からラスベガスまで応援に来てくれる人がたくさんいて嬉しすぎる」と、さらなる援軍が駆け付けることを示唆している。
日本には3人目のスパーリングパートナーとして王者の母国ブラジル出身のアラン・ベゴッソがJTTに合流。万全の体勢でパントージャ対策を仕上げていく。
朝倉未来「みんなも『それは(海の試合に)行ってくれ』と言うと思う」
17日の会見で本誌の取材に、『BreakingDown14』と同日の『UFC 310』で、朝倉未来のセコンド入りを望んでいた朝倉海。
海は未来のセコンド入りについて「いま話しているところですね。来てくれるような気がしていますけど、同日なので厳しい戦いになると思いますが、何とか説得して連れてきたいと思っています。もちろん来てほしいですね。兄貴のセコンドの指示はすごいですし、やっぱりいてくれることの安心感がすごいあるので」と、兄弟でUFCのマットに立ちたいと語っていた。
弟の想いに、兄は「『BreakingDown14』が過去最高の大会になるんじゃないかっていうような対戦カードが組めました。マジで凄い。全力のカードが組めました。それに基づいてじゃないけど、開催日が12月8日なんですよね。弟(海のUFCの試合)と一緒の日で、本当に前もって、2カ月前にくらいに、弟のUFCタイトルマッチが決まったことは知っていたんで、どうにか動かせないかなって調整できないかなってずっと動いてたんですけど、BreakingDownって年間スケジュールが決まっていて、特に今回さいたまスーパーアリーナのコミュニティアリーナなんで、5、6千人入る。その規模の会場が空いてないということで、どうしても日にちがかぶると。弟の試合が多分日本時間の12時くらい。その日の(午後)3時ぐらいからBreakingDownが始まるんですけど、さすがにね、どうしても(試合日を)移動できなかったんで、行くことができないんですけど……弟の晴れ舞台だったんでね、どうしても行きたかったんですけどね、僕もCEOとしての仕事がありますから。残念ながら行けないということで」と、当初はラスベガス行きを断念する方向だったという。
しかし、「……というところなんですけど、さすがに、弟のセコンドに行かせていただきます。申し訳ないんですけど、皆さんそこはご了承いただいて。多分、視聴者の皆さんも“それは(海の試合に)行ってくれ”と言うと思うんで。
僕としては、『BreakingDown14』で本当に面白いカードを組んだんで、12月8日(午前)はUFCを皆さん見ていただいて、その流れでBreakingDownも見ていただくと、そういう日にしてほしいなと思っています。
僕は11月ぐらいから一緒に行けたら行こうかなと思ってます。それで一緒に練習もしたいね、アメリカで。絶対に勝ってもらいたいんで、アジア人(男子)初のUFCチャンピオンということで、これもう行くしかないでしょうということですね」と、今回は海のUFC王座挑戦をサポートするために、渡米する決意を固めたことを明かした。
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JTTvsATTの情報合戦も
(C)kai_asakura_
19日には海が、フランス『Hexagone MMA』の現フライ級王者ミケール・アルジャウジとのスパーリングを公開。同級で欧州トップ3に入る強豪でUFCファイターとも対戦しているアルジャウジが、対パントージャに向かう陣営入りしたことを明かしていた。
さらに、21日には、デイナ・ホワイト・コンテダーシリーズ(DWCS)に出場した28歳のアラン・ベゴッソ(ブラジル)の合流も公開。
MMA8勝3敗1分で、DWCS2022では、現UFCバンタム級のファリド・ バシャラートに判定負けも、2023年8月の前戦ではクリスチュャン・ジオバニーに判定勝ちで、LFA戦績を4勝3敗としている。
8勝中3KO・3SUBのベゴッソは、オーソドックス構えから跳びヒザ、右のスピニングバックエルボーや左右の強打と決定力を持つファイター。前進力があるパントージャとの試合に向け、当たりの強いベゴッソとの練習は、ファイトキャンプ前半を日本で過ごす海にとって“仮想”パントージャになりうるだろう。
何より、ベゴッソが強豪ブラジル人ファイターであることは、様々な点で相手へのプレッシャーにもなる。
年末のフアン・アーチュレッタ戦で相手セコンドの言葉まで分析していた海にとって、今回も、これまでのパントージャの試合のセコンドの指示は解析済みに違いない。そこにファイターとしてベゴッソが加わることで、タフなブラジリアンファイターのメンタルまで体感することになる。
(C)Kyoji Horiguchi
パントージャが所属するアメリカントップチーム(ATT)では、セコンドとしてブラジリアン柔術家のマルコス・パルンピーニヤがサポートしており、さらにチームには朝倉海と戦った堀口恭司と、その参謀マイク・ブラウンがついている。
必勝体勢で臨む王者陣営に対し、JTTの朝倉海も、かつてない万全の体勢で、アジア男子初のUFC王座に向かおうとしている。
海は、すでに8月のタイ合宿では同じくDWCSに出場したマンド・グディエレス(※11月4日『DEEP 122 IMPACT』で後藤丈治と対戦)を招聘。近く日本にも合流するとし、JTTでは神龍誠、ONEで活躍中の柔術家の石黒翔也、トミー矢野らが練習に加わっていることを明かしている。
そして、朝倉未来のセコンド入り──朝倉兄弟はUFCで黄金のベルトを巻くために、海を渡る。