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2024年6月9日の『RIZIN.47』で、フアン・アーチュレッタ(米国)を1R 2分25秒、内ヒールフックで極めたクレベル・コイケ(ボンサイ柔術)。そのフィニュシュの速さと極め力が話題となっている。クレベルは、いかに元RIZIN&Bellator世界バンタム級王者を極めたのか。足関節の名手・高橋“SUBMISSION”雄己(和術慧舟會HEARTS/今成柔術)に解説してもらった。
「掴む」ことと「掴まれる」こと
大晦日・斎藤裕戦に続く連続フィニュシュ勝利のクレベル。
前回は斎藤に“喧嘩スタイル”で圧力をかけて、斎藤に「バックとか取られたらキツいから先に組んだ方がいい」と組みを選択させたところをカウンターのフックスイープでひっくり返してのダースチョークで一本勝ち。
今回も、変則的なリズムの打撃のなかで右ハイ、左ローを蹴って、その蹴り足を掴んだアーチュレッタにニータップでテイクダウンをさせておいてのカウンター。それは、クレベルにとって初の足関節でのフィニュシュだった。
テイクダウンされたクレベルは押さえ込まれないように、すぐに足を手繰り深く潜ってアーチュレッタの股下に上体を入れてリバースクローズ(ドンキーガード)の形に。
そこから足関節・あるいはバックを狙うクレベルに、リバースクローズを解除したアーチュレッタがスクランブルで正対へ。その左足にバックから「50/50」で足をからめたクレベルが内ヒールフックを極めている。
時に「掴まれること」は「掴む」ことと同じ意味を持つことがある。
“柔術の鬼神”として、常に「いかにいい形で組むか」が課題となるクレベルにとって、相手にテイクダウンを切られてトップから削られてジリ貧になる形が負けパターン。
そこに前戦では、斎藤のテイクダウンにスイープを合わせる形で「テイクダウン」を成功させ、今回は蹴り足を取られてのアーチュレッタのテイクダウンを足関節に切り返した。
米国ATTでは、KSW時代の王座戦で敗れた現UFCライト級5位のマテウス・ガムロらと練習。クレベルは、今回の動きを「ガムロはレスリングのスクランブルでいつもバックから逃げる。それをATTでいっぱい練習した」と、対アーチュレッタ用にシミュレーションしていたという。
「サトシ先生からも言われた。『ミドルキックを蹴ると絶対彼がキャッチする』。それは分かってるし、それを心配しない。コーチも『クレベル、キックだったらいいと思う。(キャッチしたら)相手は掴まっているから。どうせテイクダウンをやりたいのだから、あなたが一番上手なのは寝技だから』と。自分のキックを掴んで彼がテイクダウンを考えているなら私はありがたい」(クレベル)
MMAで足関節はパウンドを受けるリスクを伴うポジションになることもあり、これまでのクレベルもフィニュシュホールドとなっていない。オールアメリカンレスラーでトップから強いアーチュレッタを相手に、テイクダウンで下になったクレベルは、いかにパウンドを防御し、リバースクローズからトランジションで内ヒールを極めたのか。
6月16日(日)の『KROSS×OVER -CAGE.3-/LEVEL-G PRO』でサブオンリーのグラップリング試合・今成正和(今成柔術)vs.須藤拓真(X-TREME EBINA)の「新旧足関対決」を実現させたLEVEL-Gプロデューサーにして、グラップラーの高橋“SUBMISSION”雄己(和術慧舟會HEARTS/今成柔術)に、次ページから今回のクレベルのフィニュシュを解説してもらった。