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【RIZIN】クレベルはいかにアーチュレッタを極めたか?『リバースクローズ』『バックサイド50/50』からのヒールフックを高橋“SUBMISSION”雄己が解説! 今週末「今成正和×須藤拓真」も=6月16日(日)『LEVEL-G』

2024/06/13 19:06

高橋SUBMISSION「クレベルが仕掛けた『リバースクローズ』とは?」

高橋「作戦なのか成り行きなのかは分かりませんが、クレベル選手が作った逆さまになって相手の胴に両足を絡める形は『リバースクローズ』と言って、今グラップリングシーンでは少し注目を集めている形です。

 昔ジェフ・グローバーという選手(※2007年『World NOGI』優勝。ディープハーフガードの名手)がグラップリングの試合で四つん這いで相手にお尻を向けたまま接近し、両足で胴を挟み込みこのガードを作る……という奇妙な戦法を多用した事で話題となった形でもあります。

 当時は“ドンキーガード”と呼ばれていました。実は私もこっちの呼称の方が馴染み深いんですが、今回はナウく“リバースクローズ”と呼ばせていただきます。このリバースクローズですが、ここから様々な足関節技での攻めに繋げる事が可能な形になります」

足関節を極めるための『レッグポジション』が必要

高橋「“足関”って突然極まるように思われがちですが、バックチョークを極めるためにバックを取らないといけないのと同様に、足を極めるためにも、そのための『レッグポジション』を取る事が必要です。


【写真】正面からの50/50の内ヒールフック。クレベルはバックサイドから極めに行った。

 で、今流行りのリバースクローズのメリットですが、入り方がポピュラーになり過ぎたレッグポジションを直接作るよりも、一旦リバースクローズを経由する方が足関での攻めを行いやすいという点にあります(あくまでグラップリング界での話ではありますが)。

 クレベル選手としても自身が展開するスクランブルの中で使用しやすい形だったんでしょうね。

ちなみに、余談ですが、リバースクローズのまま“Abe lock”と呼ばれて外ヒール的に極まる変形のアンクルホールドも最近のプチトレンドです」

『リバースクローズ』を解除したクレベルは『バックサイド50/50』からのヒールフックに

高橋「ただ、今回の極まり手自体はリバースクローズの展開で絡めとられたというよりも、一旦リバースクローズの解除に成功したにも関わらず、アーチュレッタ選手のミスでシンプルな『バックサイド50/50(フィフティ・フィフティ)』のヒールフックに入られてるような印象です。

 バックサイド50/50というのはグラップリングでポピュラーな『レッグポジション』の一つで、内ヒールを取るための最も代表的なポジションである50/50を後ろ側から仕掛けている形になります。

 内ヒールというのは50/50などのヒザを固定したポジションを整えた状態から踵を前腕でフックし、固定したヒザが回らない方向に向かって捻り、ヒザや足首を破壊するサブミッションです。

 つまり前提として、50/50に入られたとて、踵をキャッチされなかったらヒールは成立しない事になります。そのためレッグポジションを成立させてからのヒールの攻防は“踵をいかに取るか”“踵をいかに逃がすか”というものになるんですね。

 しかし、今回クレベル選手が作ったバックサイド50/50は、踵を隠す事が非常に困難なのが大きなメリットです。

 もちろん、反転されたらただの50/50になるのでそこからの攻め直しが必要になりますが、今回のクレベル選手はうつ伏せの状態の間に踵を取り切る事に成功した形です。お見事。

 アーチュレッタ選手のミスに合わせた形とはいえ、大変スムーズなバックサイド50/50のエントリーでしたが、実はバックサイド50/50ってリバースクローズからの攻めの常套手段で。

 一旦解除されてリバースマウントのようになりはしたものの、リバースクローズの時点からずっとクレベル選手の狙いはバックサイド50/50だったのかも知れませんね」

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