キックボクシング
レポート

【DEEP☆KICK】KING剛が初回TKO勝ち、三度目の正直で王座戴冠。KING龍蔵が王者対決を制し「6月のRISE大阪で梅井泰成とやってもいい」

2024/04/04 15:04

▼第7試合 DEEP☆KICK-52kg契約 3分3R
◯溜田蒼馬(FUTAMI FIGHTCLUB)
判定2-0(28-27、27-27、28-27)
×セネガル駿一(NJKF心将塾)



 いったい誰がこれほどの激闘になると予想していたであろうか。溜田とセネガル駿一の一戦は今大会のベストバウトをメインのKING剛vs中田史斗と争うほどの一戦となった。実をいうと、ふたりは以前ともに所属していたジムのジムメイト。もっといえば、小学生の頃からの親友だ。しかしお互い別々のジムに移籍し、今回セネガルが引退マッチとしてリングに上がることを決意したことで親友同士の一騎討ちが実現した。


 当然お互い相手の手の内やクセはわかりすぎるほどわかっている。とはいえふたりの間に遠慮など一切なかった。スリップダウンしたセネガルの頭部を溜田は何度サッカーボールキックを狙ったことか。最後の介錯まできちんとやることが親友に対しての礼儀だと思ったのかもしれない。


 戦前の予想ではかつて当時RISE王者だった鈴木真彦(フリー)からダウンを奪ったこともある溜田が有利といわれていた。果たして溜田は1Rに痛烈な左で先制のダウンを奪う。ラウンド終盤には左の追撃で二度目のダウンをとり、KO勝ちは時間の問題かと思われた。


 しかし、第2R、レフェリーのストップ後に放ったヒザ蹴りで溜田は痛恨のレッドカードをもらってしまう。その後左の三日月蹴りで相手の足を止める場面もあったが、それからのセネガルの粘りは驚異的だった。左フックで溜田をグラつかせる場面もあった。


 2Rまでのオープンスコアは二名が18-17、一名が19-17とともに溜田。3R、溜田がテンカオで攻め込むと、セネガルが明らかに嫌がる素振りを見せる。しかし、この日のセネガルはまるでゾンビだった。その後、左ストレートで逆に溜田に効かせるなど相手の追撃を許さない。最後はともに死力を尽くしての打ち合いになった。気力と気力の勝負。まるで宇宙遊泳の中での打ち合いのようにも見えたが、その凄味は観客席まで十分すぎるほど伝わっていた。


 判定は2-0で溜田。試合後、溜田は親友との一騎討ちを実現させるため、今回10㎏の減量で試合に臨んだことを明かした。一方、セネガルは引退後、アフリカのセネガルから故郷の兵庫県明石市にUターン。結婚して大工として身を立てることを誓っていた。

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