4月のあと6月に大会を挟んで、7月28日のさいたまへ
──「負けたらベルト」はともかく、タイトルを作るという言葉もありましたが……。
「それはあってもいいと思ってます。UFCの、BMFベルト『Baddest Mother Fucker』そのままの言葉だと、最高にイケてるクールな奴っていう風にアメリカでは分かるんだけど、日本で“マザーファッカー”とかっていうと、またその言葉だけが独り歩きしてよくないんで(笑)。かといって“ミスターRIZINベルト”というとだいぶダサいんで。何か考えて、そういうものを賭けて戦う。2人が──まあ引退させたくないだけど、引退を賭けて戦うと宣言しちゃっているので、まあ何かか考えます」
──7月28日の『超RIZIN.3』がさいたまスーパーアリーナのスタジアムバージョンということで、券売でPRIDEを超える事は可能な席数になるんでしょうか。
「そこはさいたま(スーパーアリーナ)さんとも相談して、記録はとにかく塗り替えたいと思っています。プロモーターとして、10年、来年10周年ですけど、RIZINをやってきた中でPRIDEの時代でまだやれてないことは塗り替えていきたいし、そんなこと言ったら国立競技場でやらなきゃいけないというような事にもなるんだけど、それも僕らの視野の中ではイメージはある。
まずはさいたまスーパーアリーナのスタジアムバージョン、PRIDEの時代は2カ月に1回やってたんですけどね。そこがこんなにやっぱり“エイヤッ”てやるのにプロモーターとして高いハードルだったんだなという。このカードをもってタイミングを合わせてアンダーカードしっかり準備して、やっぱり4万人以上集めようと思うと、普通のハードコアなファンたちに、通常の流れのものだけを届けていても、そのムーブメントというかその人達(一般層)の動員は難しいと思うから、やっぱりカジュアルなファンまで届くような“祭り”を作り出せたらいいなと思ってますので、アンダーカードもちょっと期待していただいて」
──券売ゲート収入、PPV、全部さいたまスーパーアリーナ新記録を目指すと。
「そうですね、そういう全てのものを数字的にも越えていけるように。『THE MATCH』はほんとうにキック界の総力で乗り越えたというか作り出したムーブメントだと思うし、その中に我々も参画して作らせてもらった感じですけど、今回はRIZINの中のこの9年間の歴史の一つの集大成だと思いますので、その中でどこまで数字的に日本の今まで叩き出してる数字の記録を塗り替えられるか、それもまあチャレンジだなと思ってます」
──『超RIZIN.3』は、何試合ぐらいでカジュアルとコアなカードのバランスは?
「あんまりまだイメージはないですね。全10試合から12、13試合だと思いますけど、それが全部MMAで並ぶって事でもなく、色んな──リングでやろうって言ってるのはそういう意味も含めて、リングの良いところってキックボクシングも、それこそRIZINスタンディングバウトルール、ボクシングに準ずるような打撃だけのルールの試合も見やすいし実施しやすい場所でもあるんで、そういう場所としてリングというものの良さを活かせるようなルールの中で、色んなマッチアップをテーマを持って、勝負論のあるものを。ダラダラたくさんやってもしょうがないんで、10数試合並べばいいかなと思います」
──集大成ということですが、RIZIN初期に出ていた選手を呼び戻すのか、未来に繋がるカードを思い描いているのか。
「いろんな話題を全部突っ込む感じですね。過去も現在も未来に向けても含めて、ここが一つの起点になって、ここで何か集大成として終わっていくものもあれば、ここから始まるものもあれば、RIZINが理念に掲げるものを、その中に全て取り揃えることができたらいいなと思ってます」
──海外向け配信をやらないとのことでしたが、去年プランにあった「メイウェザーvs.パッキャオ」などの隠し玉も?
「はい、いいところ突いてると思います。そういうのも含めてもう、今出せるカードは全部切るっていうつもりでいます」
──パッキャオはボクシングに舵を切る路線で行こうとしてますが、それ以降は格闘技路線に?
「今パッキャオともメイウェザーとも、当然2人が戦うって事もそうだし、それぞれバラバラでまたRIZINの中でチャレンジをするということも含めて、どれも実現の可能性はあるだろうなと思ってます」
──マッチメイクにトップ選手を揃えるために前後の大会は間が空いたりするのでしょうか。
「あまりそれも考えてなくて、6月にはこのイベントの前に一つ大会を挟みたいと思ってます。4月のあと6月に大会を挟んで、7月の28日。その後は9月の末ぐらいに例年通りまたさいたまに戻って来れるといいなという今イメージではいます」
──今の格闘技ファンの熱は、コロナ前を越えて、さいたまスーパーアリーナのスタジアムバージョンを埋められるほど復活してると感じていますか。
「動員力はすごく増している。コロナ前よりも増しているんじゃないですかね。ただ、熱は一瞬で冷める。安定はないので。『THE MATCH』の後のようなロスみたいなものもあるなかで、『THE MATCH』はスペシャルなものだから、そのまま引き継がれてはダメ。キック界はあれは忘れた方がいい。『THE MATCH』という別タイトルをつけて、武尊と那須川天心というスーパースターがいたから、その1カードじゃないですか。
今回は“総力戦”で行きますから。RIZINの10年目を目指す、この9年間の戦いの歴史のなかで生み出された熱をここでひとつ集約する。また将来に向けて1年後、2年後にこういうものが見られるかもしれない、というものが生み出されるような、そんな通過点のひとつの大きな山──という風に考えてもらえればなと思います」
──様々な配信会社が格闘技を手掛けるなかで、PPVはどこで?
「これからですね。当然、ABEMAさんとかU-NEXTさんとか、既存のお付き合いのある配信プラットフォームさんとも相談もして、いまはNetflixも(マイク)タイソンの試合(ジェイク・ポール)を配信するなど、スポーツコンテンツにいよいよ本格的に乗り出してきたじゃないですか。Amazon PRIMEもDAZNもあって、こことしか組まないという契約も無いので、各社、このコンテンツが欲しいというプラットフォームで、一番情熱を持って宣伝プロモーションを全力でやってくれるところと、ベストな環境が整うように向き合っていきたいと思います」