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コラム

【超RIZIN】朝倉未来はなぜ平本蓮と戦うのか──「負けたら引退」のマネーファイト実現の真相とは?

2024/03/17 08:03

「記録を塗り替えたい」(榊原CEO)

──このマッチアップはスムーズに決まったのでしょうか。

「YA-MANに(平本蓮が)判定で勝ちました。その流れの中で未来は多くを語らなかったけど、『今年の夏にデカいことをやりたいですよね』と、発言のなかにもあった。BreakingDownも含めて、彼のなかにはプロモーター目線もあるので、当初、東京ドームで、という話もしていたんだけど、イベントということで考えたなかで、東京ドームでは5月6日に井上尚弥選手が試合(vs.ルイス・ネリ)をする。そこにかぶせてもしょうがないし、ほかの人がやっていないことをやろうということで、夏にビッグマッチをやろうということは、未来もすんなり(腑に)落ちたし、蓮も“待ってました”ということで、そんなにすごいハードネゴシエーションではなかったです」

──朝倉未来選手本人は「楽な相手だから」と言ってましたが、連敗中のこのタイミングで、みたいな事は本人は意識していたのでしょうか。

「未来はそう思っているんじゃないですか。全然、イージーな相手だと、ある部分思いながらも、連敗しているからしっかり準備はしてくると思います。その意味では両選手に4カ月間が与えられていますから、最高のタイミングでこのカードが見られる。油断して(急な)流れのなかでやる試合ではないので、未来にとっても、『この試合で負けたら引退する』という、蓮の引退は売り言葉に買い言葉かもしれないけど、まあでも、未来からするとこのタイミングで平本蓮に負けたら引退をするっていうのはなんとなくこう、僕は腹落ちがするって感じはします」

──以前は、平本選手が「実力不足」だと言われていましたが、今は拮抗していますか。

「どうなんですかね? 平本蓮のMMAファイターとしての器量とか力量というか、そこはこの前のYA-MAN戦だけではちょっと判断し切れないところがありますけど、間違いなく進化はしてると思いますけど。言っても朝倉未来は、この直近はケラモフに負けたあと、YA-MANに不覚はとっているけど、YA-MANとの試合は当然キックの試合ではあるし、MMAというスポーツの中でいうと、ちょっとレベル的には違うのかなと思いつつも、平本蓮がどこまで上積みできてるのか、期待ができるところまでは来てると思います。(勝負論があると?)あると思いますね」

──MMAで22戦以上の朝倉未来選手と、6戦3勝3敗の平本蓮選手とでは、戦績だけ見たら実現しないカードのようですが、それを実現させた平本選手をどう評価しますか。

「ほんとうにいまカリスマ性も求心力もあるし、ファッシヨンリーダー的なところもある。ほかのプロアスリートも含めて、ライフスタイルを真似したいというところも含めて、そういう求心力は平本蓮はすごいので、RIZINのなかでもすごく存在感のある選手には成長していて、そこにだんだん実力が追い付いてきている。そもそもキックのなかで素晴らしい戦績を持っているファイターではあるんだけど、MMAファイターとしても十分、アジャストできつつあるんだろうなと。そこは戦績うんぬんよりも、いまの瞬間のマッチメークとして、この2人が戦うに値する状況だろうと判断した感じです」

──最初に平本選手が朝倉選手に噛みついた時はここまでくると思っていましたか。

「いいことだとは思っています。目標を掲げて実現にこぎつけていくのは容易いことではないので。まあ、なるか・ならないかって、その時点では全く考えてなかったですけど」

──引退まで考えてた朝倉選手が、戦いたい相手選手の名前を出すほどモチベーションを上げてきたことについて、どのような心境の変化を感じていましたか。

「冒頭に未来が言った言葉がそうなんじゃないかなと。リング上でああいった形で、『来年、兄貴にはベルトを巻いてほしいです』と言われちゃったことも、やっぱり兄弟のなかで──それぞれ目指す方向性は違うのかもしれないですけど──1歳差で兄弟でありながらもライバルとして弟がいろんな夢に向かって目標を実現させていくことに併せて、弟からああいう言葉を受けて、まだこのままでは終わりたくないし、終われないという、弟へのライバル心も含めて、ああいうモチベーションになったんだろうなとは思っています」

──ファンの熱が冷めやすいなかで、大晦日まで溜めずにここでやってしまおうと?

「そう、そこまで溜められるカードでもないと僕は思っているので。実力的に、戦績的にどうなんだ? と。直近に誰を倒しているの? とか、いろいろなことを紐解き出すとどうなの? っていう。

 でもやっぱり強さだけじゃなくて、漢と漢、それぞれ“この2人が戦ったらどっちが勝つんだ? 見たい”というものっていうのは、強さを競うだけじゃない、それぞれの存在意義とか、生き様とかを賭けた戦いになるので、ほかの選手には負けてもいいけど、コイツだけには負けたくないっていう戦いになると思う。だから2人は競技者としてアスリートとしてというよりは、それぞれ『引退をする』というのは、“コイツに負けたらもう引退するしかないんじゃないの?”これだけボロクソに言っておいて、ソイツに負けちゃうっていうことは──その意味で存在意義や生き様を賭けた珠玉のカードになるんだと思います」

──ファイトマネーも破格に?

「なるでしょうね。まあPPVボーナスとかもミックスしながらになるでしょうけど、それだけの経済効果が生まれて、UFCみたいに訴えられても困る(独占禁止法訴訟)ので、UFCが一番いいときで13パーセントしか選手に還元していなくて、選手たちが集団訴訟を起こされていて、負けたら300億近いです。当然、そんなことにはRIZINはならないと思いますが、やっぱり適正な利益の配分はちゃんと選手に行かないと健全な発展はないと思うので、2人に、それぞれの選手に届くようにしたいと思います」

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