「切り札」投入をバブルにしないために──総力戦で繋ぐ
格闘技では、魔裟斗引退試合が行われた2009年大晦日の「Dynamite!!」以来となる、4万人を動員するスタジアムバージョンで「記録を塗り替える」という榊原CEOは、今回の“金のなる試合”に、ファイトマネーとは別に、両者にインセンティブを与えることを明言している。
「(ファイトマネーも破格に)なるでしょうね。まあPPVボーナスとかもミックスしながらになるでしょうけど、それだけの経済効果が生まれて、UFCみたいに訴えられても困る(独占禁止法訴訟)ので、UFCが一番いいときで13パーセントしか選手に還元していなくて、選手たちから集団訴訟を起こされていて、負けたら300億近いです。当然、そんなことにはRIZINはならないと思いますが、やっぱり適正な利益の配分はちゃんと選手に行かないと健全な発展はないと思うので、2人に、それぞれの選手に届くようにしたいと思います」と、“真夏のマネーファイト”を語った。
これまでさいたまスーパーアリーナでの最多動員は、2005年大晦日に開催された『PRIDE男祭り』の4万9801人。メインイベントでは、元柔道五輪メダリストの吉田秀彦と小川直也がヘビー級で戦い、吉田が因縁の小川を腕十字に極めている。そのとき、ヴァンダレイ・シウバとヒカルド・アローナによるPRIDEミドル級王座戦は、セミファイナルに置かれていた。
今回もタイトルマッチではない朝倉vs.平本をメインイベントとする、RIZINならでの「切り札」カードを投入し、「やっぱり4万人以上集めようと思うと普通のハードコアなファンたちに、通常の流れのものだけを届けていてもそのムーブメントというかその人達の動員は難しいと思うから、やっぱりこうカジュアルなファンまで届くような祭りを作り出せたら」と語る榊原CEOは、今回の『超RIZIN.3』が“バブル”にはならないという。
「いま動員力はすごく増している。コロナ前よりも増しているんじゃないですかね。ただ、熱は一瞬で冷めるもの。安定はないので。『THE MATCH』後のようなロスみたいなものもあるなかで、『THE MATCH』はスペシャルなものだから、そのまま引き継がれてはダメ。キック界はあれは忘れた方がいい。『THE MATCH』という別タイトルをつけて、武尊と那須川天心というスーパースターがいたから、その1カードじゃないですか。
今回は“総力戦”で行きますから。アンダーカードも期待していただいて、RIZINの10年目を目指す、この9年間の戦いの歴史のなかで生み出された熱をここでひとつ集約する。また将来に向けて1年後、2年後にこういうものが見られるかもしれない、というものが生み出されるような、そんな通過点のひとつの大きな山、という風に考えてもらえればなと思います」と、RIZINの世界観を凝縮した「総力戦」で点を線に繋ぐとした。