ともに練習する須田と松田と栗山ら大阪勢が勝利に気勢を上げる(C)ゴング格闘技/DEEP
2023年11月23日(木)に東京・ニューピアホールにて『skyticket Presents DEEP JEWELS 43』が開催された(U-NEXT、サムライ TV 、DEEP/DEEP JEWELS メンバーシップ配信)。
メインイベントでは「DEEP JEWELS ストロー級(52.2kg)暫定王者決定戦」として、 元女子プロ野球選手からMMAに転向し、プロ3連勝中の松田亜莉紗(BLOWS)と、10月のRIZINで日本女子MMA史に残る熱闘で、渡辺彩華をスプリット判定で下し、4連勝をマークした万智(スポーツジム 67's)が対戦した(※両選手インタビュー)。
▼第10試合 DEEP JEWELS ストロー級暫定王座決定戦 5分3R
〇松田亜莉紗(BLOWS)51.95kg
[判定3-2] ※29-28×3, 28-29×2
×万智(スポーツジム 67's)52.1kg
松田は、元女子プロ野球選手。小学4年生でリトルリーグに入団、中学はリトルシニア、高校で硬式野球を始め、2013年に女子プロ野球の京都フローラに入団。2013~2014年に女子プロ野球リーグのベストナインに選出され、2014年には外野手としてジャパンカップ個人賞を受賞。そして2015年に京都フローラがリーグの年間女王に輝き、大会MVPに輝いた。
2017年に格闘技転向のため野球を引退。ハワイHMCで学んだ後、中蔵隆志代表率いるBLOWSに所属。2021年にアマチュアMMAに参戦し、2022年8月の和田千聖戦でプロ昇格し、1R TKO勝ち。11月の2戦目で長野美香を判定で下す金星をあげている。2023年4月の前戦では、純玲を判定3-0で下し、3連勝中。
万智は、柔道ベース。DEEP JEWELSアマチュアでMMA経験を積み、2022年11月のプロデビュー戦でARAMIに判定勝ち。2023年2月大会では大島沙緒里に判定勝ちの実績もあるHIMEと対戦し、奇襲の組みでペースを掴み、リアネイキドチョークで一本勝ち。2023年5月に韓国のキム・ユジョンを1R アメリカーナで極めると、10月1日の前戦では、現修斗女子スーパーアトム級(-50.0kg)王者の渡辺彩華と52.5kg契約で対戦。日本女子MMA史上に残る熱闘で、万智が渡辺をスプリット判定で下している。4連勝中。
松田と万智は、2021年12月にDEEP JEWELSアマチュアルール55kg契約で対戦しており、先に万智がテイクダウンを奪い、Vクロスを狙うも、スクランブルからバックを奪う松田が判定2-1(20-17, 18-19, 19-18)で熱戦を勝利している。
伊澤星花が王座に君臨する同級で、キャリア4戦目の松田と、5戦目の万智が暫定のベルトを争う今回の再戦は、ヘッドギアを外したパウンドありのプロルール。
高いフィジカルをベースに、出入りのステップとクリンチボクシングから際でポジションを制し、トップから肩が回る強いパウンドで白星を重ねてきた松田に対し、万智も強力な組みをベースに強豪との連戦で打撃も強化、アマチュア時代のようにはポジションを譲ることなく、ドミネートからフィニッシュするスタイルを見せている。
約2年の時を経て、成長した両者のケージでの世界に繋がるストロー級戦に注目だ。
松田「こんな、めちゃくちゃ強い万智選手と試合を組んでくださり、ありがとうございます。今の気持ちは、明日試合を楽しみにしています。いつも通り、自分のやるべきことをやって、絶対に、絶対に、絶対に、絶対に私が勝ちたいと思います。そして、お世話になっている方に、勝ちをプレゼントしたいと思います」
万智「明日は、万智の日です。そして松田選手にリベンジする日です。絶対に絶対に絶対に、勝ってベルトを獲ります」
1R、サウスポー構えの万智の詰めにオーソドックス構えの松田は右の前蹴りもスリップ。その際で組んだ万智は四つに。
大内刈を狙うが、凌いだ松田にボディロックから大腰で投げを狙うも、ここも耐えた松田。万智はボディロックから引き出しすが、すぐに立つ松田がヒザ蹴り。ついに突き放す。
ともにローの蹴り合い。右足を外に置く万智に、松田は右前蹴り。万智も右前蹴りも掴んだ松田がヒジ。万智は詰めてボディロック。そこにこつこつ掌底は松田。万智は大内刈で崩すが、すぐに松田も立ってヒザを突く!
2R、松田の右の蹴り足を掴んでテイクダウンする万智。すぐに金網まで這い、右小手で立ち上がる松田はヒザ。ブレーク。
松田の左を被弾しながら右を打ってボディロックテイクダウンは万智! 金網ま這う松田の左足をヒザ上に乗せる万智だが、足を引いた松田は左を小手に立ち上がり。ブレーク。
万智の右の蹴りの入りに右ストレートを合わせに行く松田。左の蹴りは掴まれながらも組んで前に出る万智に、右ストレートを、ヒジを突く松田! 万智は鼻血。それでも前に出て組む万智に体を入れ替える松田だが、万智も戻して右ヒジ! スタンドから組む松田のバック狙いの足をかけさせず、脇差し組む。
3R、ゴングと当時にダブルレッグテイクダウンは万智! サイドを奪うとマウント。松田のケージウォークに再びサイドに戻り、右で脇差し背中を着かせて肩パンチ、ニーオン、マウント。松田のブリッジにサイドに戻りクラッチして右差し、左枕で押さえ込んでヒザ!
万智のパウンドに左を差し返した松田が上体を立てると、そこに万智がバックテイク! 両足をかけ、4の字ロックに成功。リアネイキドチョークを狙いゴング。
判定は、万智に組まれても立ち上がり際で打撃を入れた松田が、29-28×3, 28-29×2のスプリットで接戦を勝利! DEEP JEWELSストロー級暫定のベルトを巻いた。後半に追い上げてポジションを奪った万智だが極めきれず。
中蔵隆志代表とハグをかわした松田は、「BLOWSの松田です。自分でもホッとしています。勝てて良かったです。応援にお越しいただきあありがとうございました。大阪に持ち帰って勝ちを伝えたいと思います」と語った。
またバックステージでは、大阪女子練習について「葵ちゃんが勝って、萌ちゃんも勝って、次は私やな、絶対モノにしないと、と思って戦いました。試合が無い時は月2回ぐらい一緒に練習して、萌里ちゃんの所に行ったり、葵ちゃんはこっちに来たり私も行ったりしていて、天理大4年でレスリングやってる“あやか先輩”って呼んでる子も来てくれて、身長や体型が万智ちゃんに似ているので対策をしてくれました」と、成果を語った。
さらに、正規王者の伊澤星花との統一戦について、「めちゃ楽しみ。普通に出ていたらやれない相手。いま勝てる自信? 試合は何があるか分からないので、対策練習したらいけると思います」と意欲を見せた。