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【RIZIN】鈴木千裕が下からの蹴り上げ&パウンドでケラモフを失神TKO! フェザー級新王者に。ムサエフの右ヒジ&右フックに武田光司が最終回に沈む、アブドゥルカリコフが地元アバソフを下す、マメドフが緊急参戦のギョクテペを圧倒

2023/11/04 21:11

▼第9試合 ライト級(71.0kg)5分3R
〇トフィック・ムサエフ(アゼルバイジャン)
[3R 2分03秒 TKO]

×武田光司(BRAVE)

 王座にホベルト・サトシ・ソウザが座るRIZINライト級。

 ムサエフは、2019年「RIZINライト級GP」覇者。2021年6月の「RIZIN.28」のライト級王座戦でサトシに一本負けで戴冠ならず。

 2022年7月に「Bellator 283」でシドニー・アウトローを27秒KOする衝撃Bellatorデビューを飾ったものの、2023年3月のBellatorライト級ワールドGP1回戦ではアレクサンドル・シャブリーの前蹴りを受けて3R TKO負け。7月にアキラを71秒 TKOに下し、再起を飾っている。

 対する武田は、元高校6冠グレコローマンレスラーで、元DEEPライト級王者。2018年10月に北岡悟に判定勝ちでDEEP王座を戴冠。大原樹里を相手に2度防衛に成功し、2020年9月から参戦したRIZINでは5勝5敗。

 当時の修斗王者・川名雄生、PANCRASE王者・久米鷹介をいずれも判定で下すと、“ブラックパンサー”ベイノア、ジョニー・ケース、ザック・ゼインにも勝利。

 しかし、2022年の大晦日にBellatorのガジ・ラバダノフに判定負けを喫すると、2023年4月の前戦ではルイス・グスタボにもスプリット判定で敗れ、2連敗中。

 ムサエフは、オーソから左右を振って前のめりに打つ打撃のなかで、コンパクトな左と真っすぐの右、遠間からのオーバーハンドの右と打ち分けている。ケラモフよりもステップを踏み、右の上下の蹴り、スイッチして左の蹴りはローのみならずハイキックも強力でダミアン・ブラウンをTKOに追い込んでいる。

 組みは左を振ってのニータップ、金網に詰めてのダブルレッグも見せるが、ケラモフ同様に相手の動きに合わせてのものが多く、安易に低めに外から蹴ると掴んでのテイクダウンが待っている。21勝中17のKO・TKOで、一本勝ちは2つ。立ちで打撃を効かせてグラウンドではパウンドが必勝パターンだ。

 サウスポー構えの武田としては、右の蹴り、右オーバーハンドを被弾しない立ち位置から、いかに組みの距離にアプローチするか。間合いと組みに注目の武田だが、下になっての仕掛けの一発も目が離せない。

 試合中盤で負傷はしたものの、グスタボの圧力を経験したことがムサエフ戦で活かせるか。序盤から機を見て倒しにくるムサエフに対し、武田はケージレスリングで相手を削っての後半勝負も想定したい。

 武田は、ムサエフを「ハンドスピードの速さが世界トップレベルでインファイトでもミドルレンジでも、どんな距離でもやっぱりハンドスピードは世界一。僕はハンドスピードが速くないけど勝負できるところはもちろんあります。(勝つイメージは)1個しかない。タイでハンドスピードの速い選手ともいっぱいやってきたし。15分(レスリングを)やり続ける自信があります」と評し、国内でも、伝統派空手で空手国体入賞の実績を持つBRAVEの野村駿太を、スイッチを多用する仮想ムサエフに見立て、シミュレーションを重ねてきた。

 日の丸ハチマキを頭に巻き、花道でストレッチをし、蹲踞の姿勢から花道を歩き始めた武田。セコンドに中村倫也がつく。背中を叩かれ、咆哮してケージイン。

 対するムサエフの入場に場内は大歓声。ルスランコーチがセコンドにつく。中央で武田のグローブを上から叩いたムサエフ。

 1R、サウスポー構えの武田、オーソのムサエフは身体が大きい。武田の左ローは空振り。ムサエフは慎重な入り。武田の左ミドルに右を合わせる! 武田の最初のシングルレッグは切るムサエフ。右ミドルを当てるムサエフに左ミドルを返す武田。左ハイは武田がブロック。

 続く武田の組みも突き放すムサエフ。スイッチするムサエフ。組む武田は右で差すが組めず。突き放すムサエフ。武田は固執せず離れてステップ。中央を取るムサエフ。圧力かけて右ミドル。武田も左ロー。金網に詰まると右にステップ。その外足を取るムサエフは右ストレートから右で差すが、自ら腕を抜いて離れる。右前手で触る武田にムサエフは左、右で詰めてゴング。

 2R、右インローのムサエフ。武田の右回りを阻止する。右前蹴りのムサエフ! 武田も左インロー。武田は足を入れ替えフェイントも動じないムサエフは右ローからワンツーの連打で崩れた武田が下に。

 ハーフの武田にムサエフは肩固め狙い。「後ろ向いて立ってもいい」のセコンドの声だが、ムサエフの圧力に足を戻す武田。

 場内の手拍子に再びハーフにするムサエフ。下の武田は抱き寄せて足を戻してフルガードで防御に徹する。残り1分。

 3R、右インローから入るムサエフ。武田は細かいステップを変えず。左右にサークリングして的を絞らせずも組めない。

 圧力をかけるムサエフは左右フックで詰めて右で押し込み。しかし、体を入れ替えるムサエフは、押し込み右ヒジ! 効かされた武田が左に回るところを右フックで武田がダウン! パウンドのラッシュに動けず。レフェリーが間に入った。

 10年ぶりの母国凱旋試合でTKO勝利したムサエフは、「ご来場ありがとうございました。RIZINの関係者、ご協力してくださった皆さまに感謝いたします。長く話したくないですけど、いつも応援してくださった国の皆さん、戦争で人生を失った皆さんにこの勝利を支えます。またアゼルバイジャンの皆さんに感謝します」と語った。武田はキャリア初のTKO負けとなった。

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