MMA
インタビュー

【RIZIN】ムサエフと対戦する武田光司「勝ちが欲しい。内容にはこだわっていない」

2023/11/03 10:11
 2023年11月4日(日本時間4日22時)アゼルバイジャン・バクーのナショナルジムナスティックアリーナで開催される『RIZIN LANDMARK 7 in Azerbaijan』の個別インタビューとファイスオフが2日、同地にて行われた。  現地の英雄トフィック・ムサエフ(アゼルバイジャン/ORION FIGHT CLUB)と対戦する武田光司(日本/BRAVE GYM)は、日の丸を背負って登場。ムサエフと握手をかわしつつも、フェイスオフでは鼻と鼻がクロスするほどの近距離で視線をかわした。  直前インタビューでは、「UFCに立つためには乗り越えないといけない壁。勝ちが欲しい。内容にはこだわらない」と勝利への強い渇望を見せた武田。公開練習での試合までのディテールに加え、現地ではアゼルバイジャンで感じた思いを率直に語っている。その全文を紹介したい。  武田は、元高校6冠グレコローマンレスラーで、元DEEPライト級王者。2018年10月に北岡悟に判定勝ちでDEEP王座を戴冠。大原樹里を相手に2度防衛に成功し、2020年9月から参戦したRIZINでは5勝5敗。  当時の修斗王者・川名雄生、PANCRASE王者・久米鷹介をいずれも判定で下すと、“ブラックパンサー”ベイノア、ジョニー・ケース、ザック・ゼインにも勝利。しかし、2022年の大晦日にBellatorのガジ・ラバダノフに判定負けを喫すると、2023年4月の前戦ではルイス・グスタボにもスプリット判定で敗れ、2連敗中。  ムサエフは、2019年「RIZINライト級GP」覇者。2021年6月の「RIZIN.28」のライト級王座戦でサトシに一本負けで戴冠ならず。  2022年7月に「Bellator 283」でシドニー・アウトローを27秒KOする衝撃Bellatorデビューを飾ったものの、2023年3月のBellatorライト級ワールドGP1回戦ではアレクサンドル・シャブリーの前蹴りを受けて3R TKO負け。7月にアキラを71秒 TKOに下し、再起を飾っている。 [nextpage] 『武田光司がどういう試合展開ができるか』というプランで行きたい ──試合直前の心境をお聞かせください。 「覚悟はもう決まっているんで、やるだけだし、異国の地のアゼルバイジャンでの戦いでアウェイということもありますが、レスリングではたくさん経験してきたので、そこに変な感じもしないし、懐かしい感じもして、フライトを逆算して寝て、時差も感じていないし。いつも通り」 ──バクーで試合をすることをどう感じていますか。 「僕はいつも日本で戦っていて海外の選手たちが日本に来る。それを逆に今回は僕が乗り込んでいく。海外から日本に来てくれる選手たちはこんなにつらい思い、大変な道のりを耐えて来てくれているんだ、と感謝の気持ちになりました。なので今回のバクーでの試合も大変ですけど、それを海外選手はいつもやってくれているので、それがたまたま僕のターンになっただけだと感じています」 ──アゼルバイジャンの英雄との対戦に、アウェー感もありますか。 「いえ、僕は減量しているので飯を食っていないですけど、昨日、こっちに着いてリカバリー食などの買い出しに中村倫也さんたちと行ったときにケバブ屋で声をかけられたり、ムサエフ選手のセコンドの方が隣の車にいて、クラクションを鳴らして『コンディションはどうだ?』と話かけられたりして、アウェーとか感じなかったですね。ここに来るまでは敵対視されるかと思っていましたけど、国は違えどみんな人間なんだなって。敵対視とかはあったけど無かったな。自惚れてはいないですけど、すごい温かい国だなと思いました」 ──今回、2連勝からの2連敗脱出に向けて、どのように気持ちと身体を作ってきましたか。 「最初は格闘技をどうやっていいかも分からなくて、原点に帰ろうと思って。格闘技の楽しさ・素晴らしさとか、自分自身が身体を動かして楽しいということを感じようと。そのときは勝ちたいから、負けないようにとかではなくて、純粋に格闘技を楽しもうと思って。ダメージの蓄積もあったので2カ月くらい身体を休めてそこから徐々に運動をして、格闘技の楽しさを心の底から感じて、そこから“またやりたいな”と思い始めたので、6月くらいからMMAの身体作りから始めました」 ──今回のセコンドにUFCファイターで同じレスリングベースの中村倫也選手がついていますね。どんな力になっていますか。 「力は力ですね(笑)。でも、倫也先輩とは中途半端な関係性ではないので、言い方を変えればケツの穴まで見られてもいい存在なんで、全部を任せられるような存在です。宮田(和幸)先生の師弟関係で全部を預けられることとはまた違った信頼感があるし、倫也さんとは先輩・後輩でそれを越えた関係性なので、全部任せられる。それに宮田先生と同じレスリングベースで、UFCというトップ団体で試合をしているので、海外のトップ選手と試合をしてきたからこその指示だったり、信頼性もある。居心地のいいセコンドなので、すごく気が楽ですね」 ──今回の対戦相手のムサエフ選手の印象を教えてください。 「印象も何も、トップファイターなんで。ベルトも何もかかっていないですけど、自分は挑戦者側なんで、自分の持っているものを全部出せばいい結果になると思っています。ムサエフ選手からしたら“そんな試合はさせない。自分の試合をして終わらせる”と思っていると思う。そこは試合をしてみて蓋を開けたらどうなるか分からないですけど、僕は僕の持っているものを全部出そうと思っている。ムサエフ選手の印象というより、『武田光司がどういう試合展開ができるか』というプランで行きたいと思っています」 ──武田選手が主導という試合展開は? 「日本のファンの方々が思っている通りのゲームプランになるのかなと思う。それしか言えないです」 ──ムサエフ選手の攻撃で警戒するのは? 「打撃ですよね。そこはインファイトをしても勝てないので。ハンドスピードの速さも、いろんな展開を考えても能力的にはムサエフ選手の方が上と見られていて、僕もそこは認めています。そこが一番要注意」 ──武田選手がムサエフ選手に負けない部分は? 「みんな分かっていると思いますが、組み。そこで勝負するしかない。そこも負けてないというよりも、やってみないと分からないので組みの展開で勝負したいと思うし、打撃は打撃で行けるところは要所要所で行きたい」 ──今回の体制でムサエフ選手攻略は見えている。 「もちろん。それだけです」 ──恐怖心をどのように乗り越えてきましたか。 「RIZINでライト級GPを制していて、Bellatorでもランカーのムサエフ選手が相手という重圧のなかで、日本人選手が2人しか出ていない。抜擢しているからこそやらなくちゃいけないという重圧感のなかで、毎日辛い思いもしていますけど、それを乗り越えてきたのは僕だけじゃなくてほかの選手も一緒だし、僕が乗り越えてきた過程で家族や仲間の支え、サポートがすごい力になっているので、重圧もすごいあるけど、サポートもあったからこそ乗り越えられた壁。壁は高いけどそんなに高くないという感じです」 ──武田選手にとって、このタイミングでのムサエフ戦をどうとらえていますか。 「この試合に全部賭けているつもりでいるし、僕はUFCというトップ団体を見て格闘技を始めた人間なので、そこの舞台に立つためには乗り越えないといけない壁だと思っているし、こんなところで立ち止まるわけにはいかないと思っています。  次の試合で終わってもいいという覚悟はもちろんありますが、先のことを見据えて考えるとやはりはUFCという舞台に出たいと思っているし、出るためにはどうすればいいのかと言えば、目先の試合を勝ちに行く。RIZINという舞台で戦わせてもらい、ここまで大きな舞台で試合をさせてもらって。やはりRIZINでトップの選手たちを倒してUFCに行きたいと思っています」 ──UFCという言葉が何度か出ました。結果はもちろんハイライトリールになるような、ジャーマンスープレックスなど、内容も気にしますか。 「無いですね。内容より勝ち負けが──連敗中の僕が言える立場ではないかもしれませんが──重視されると思うので。だからこそ勝ちが欲しい。内容には今はこだわってないです」
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