強豪しかいない鬼のトーナメント、バルナウイもスタンバイしていた
優勝賞金100万ドル(約1億4千万円)のBellatorライト級GPは、世界の強豪しかいないトーナメントだ。
すでに3試合が行われた1回戦では、現Bellator世界ライト級王者のウスマン・ヌルマゴメドフ(ロシア)が、元UFC世界王者のベンソン・ヘンダーソン(米国)を1Rに右ブラジリアンキックでダウンを奪ってのリアネイキドチョークで一本勝ち。元Bellator世界ライト級王者のブレント・プリマス(米国)が、優勝候補の1人とされていた元ROAD FC王者のマンスール・ベルナウイに判定勝ち。そして、そのプリムスをKOに下しているアレクサンドル・シャブリー(ロシア)が、トフィック・ムサエフ(アゼルバイジャン)を3R、ボディへの右前蹴りでTKOに下している。
AJの欠場を受け、当初、GP代替選手として、ムサエフのカードのスライド、さらに、フランスからバルナウイを呼び寄せる案も浮上していたという。
榊原CEOは、「スコットも言った通り、AJ欠場の代わりに、ムサエフというアイディアもあったけど、ムサエフは試合(vs.アキラ)が決まっていて、Bellator側はフランスのマンスール・バルナウイもスタンバイして日本に飛ばすというところまで来ていたけど、米国での放送には担保できても、日本のファンは納得しないだろうと。さらにビザ(発給)の問題もあった。じゃあどうする? となってときに『サトシを口説くよ』となったのが日曜日だった。
サトシは当初、9月か10月の秋にRIZINに出す予定で、その後、年末にタイトルマッチかなというイメージだったけど、ビッグチャンスなので──GPで勝ち進めば長期拘束されますが、RIZINにとっても、Bellator GPを制すれば、“やっぱりRIZINすごいと繋がると思うし、(推薦した)。十分、勝機はあると思う。RIZINファンからすれば、Bellatorパートのメインは見やすくなったかもしれない。ファンの皆さんに厳しいことは言われると思いますが、『結果オーライだね』と言ってもらえるように、熱を帯びる会場の画は浮かんでいます」とした。
Bellatorのスコット・コーカー代表は、「榊原サンがサトシを推薦してきた時には、“これは最高の試合じゃないか”と思った。そもそもサトシには最初からライト級GPに出て欲しいという気持ちもあった。とても能力の高い柔術を持つ選手がここにきてGPに出てきてくれることは非常に嬉しく思う。彼は日曜日にテストされるわけだけど、いずれにしろこの試合に勝てば準決勝と決勝、2試合で100万ドルの賞金が手に入る。サトシには“ようこそ”と言いたい」とAJの代わりにふさわしいと語った。
鈴木千裕vs.パトリシオ・ピットブル・フレイレを含め、榊原CEOとコーカー代表の長年の関係がなければ実現しなかった、直前の2カード。
この2試合がRIZINとしてもリスクがある? と問われた“地獄のプロモーター”は、「(対抗戦は)まあ、5連敗中なんで、団体としても失うものはない(苦笑)。ここで一矢報いたら、取り返せる。『真夏の格闘技の祭典』と銘打って、スコットのBellatorと共同開催する大会に、“チケットを買ってよかった”“PPVを買って観よう”という熱を作り出すことが大事だった。“怪我の功名”でそれ以上のものを十分、担保できたと思う」としながらも、「負けられない。ほんとBellatorを“いわせて”(傷めつける)ほしい」と巻き返しを狙っている。
サトシと鈴木千裕、ピットブルブラザーズのそろい踏みと、真夏の祭りの狂騒のなかで、RIZINの逆襲なるか。