【RIZIN】榊原CEO「鈴木千裕は『こうなったら試合じゃない。ケンカですね。行くしかないんすよォ！』と言っていた。Bellator側は誰も鈴木が勝てるとは思っていないからビッグチャンス」

　2023年7月30日、さいたまスーパーアリーナで開催される『超RIZIN.2』にて、RIZINルールでのライト級（70kg）5分3Rで、パトリシオ・ピットブル・フレイレ（ブラジル）vs.鈴木千裕（クロスポイント吉祥寺）の追加カードが電撃決定した。 　現Bellatorフェザー級王者と緊急対戦することになった鈴木は会見で、「試合が終わっていろいろ自分自身考え直して。練習環境や自分のもろもろを変えようかなと悩んでいて。それこそ海外に練習に行ってみようとか、海外で試合したいなとかいろいろと考えていた中でオファーをいただいて。“断る理由なんてねえな”と思って。僕はファイターなので、常に戦える状態と気持ちを持っているので、どんなオファーが来てもいつでも戦える覚悟と準備を持っているのでそこは問題ではない」と意気込みを示した。 　会見後の取材で榊原信行CEOは、AJ・マッキー欠場による代替カードのみならず、ピットブル兄弟そろい踏みを実現させたことを「プラスオンで現王者が出場する。“怪我の功名”でそれ以上のものを十分、担保できたと思う」と語る。 　鈴木が所属するクロスポイント代表の山口元気代表に、鈴木の出場を打診したのは月曜日（24日）。「山口代表は『千裕にすぐに聞いてみます』と言って、30分もしないうちに返事が返ってきて『千裕、やると言っています』と。『じゃあ、やろう』となった」という。 　兄パトリッキーのセコンドとして来日し、朝倉未来とトライフォース赤坂でパトリッキーのファイトキャンプをサポートしてきたパトリシオは、今回の来日で試合をする意思は、「まったく無かったと思います。彼も日曜日にAJが出られない、というなかで打診した」と榊原CEOは明かす。 「AJがコケなければ、当初のままの試合数で行ったと思う。でも、やっぱりもうひとつ何かプラスがいるなというなかで、“そういえば、パトリシオがいるな”と。スコットもいるし『やらない？』と聞いてもらったんです。すると『相手次第、条件次第。兄貴（パトリッキー）とも相談してみる』と（返答があった）」 　フェザー級ではなく70kg契約、互いに対戦相手の想定練習をしての戦いではなく、自身の階級でのベストコンディションでもないため、興味は引くが、戦う者にとってはリスクも大きなマッチアップだ。 　榊原CEOはそこに勝機があるという。 「ある意味、準備を整えて、満を持してじゃない短期間だからこそ、千裕が吹っ切れて何か起こせるかもしれない。千裕もクレベル戦のことをすごく反省しているところもあるから、なにかやってくれるんじゃないかという期待感がある。 　クレベル戦で思いを持って戦って完封されて、いろいろ思い悩んでいるとも聞いていたので、これも天命でチャンス。失うものがない千裕の外連味のない、すごい試合を期待している。チャンスはあると思っている。クレベル戦はいろいろなことが起きすぎた。でも選手ってメインイベンターとしてとか、期待されていることに対して応えていくという経験則も絶対に必要。前回の試合はすごく成長させるのに効果があったんじゃないかと思う」と、鈴木の爆発に期待を寄せる。 　さらに、「今回は本来の鈴木千裕のファイトスタイルが見られるのかなと期待している。いろいろなことを考え過ぎずに、本人も『こうなったら試合じゃないですね。ケンカですね。行くしかないっスよー』と言っていた（笑）。そういうタイプなんです。クレベル戦も考えすぎたんじゃないかと思う。でもそれも経験。前回の試合で漢気を見せてくれた千裕にチャンスが回ってきた。機会を提供できたんで、思いっ切り戦ってほしい。これで勝ったら“飛び級”も飛び級でえらいこと。勝ったらBellatorから契約のオファーが届くというような話なんで。Bellator側は誰も（鈴木が）勝てるとは思っていないんで、そう意味ではビッグチャンス。しかも、この試合はRIZINルール。千裕には、やらかしてほしいなと思っている」と、パトリシオ陣営が、鈴木を過小評価しているなかで、アップセットを期待した。 　メインカード消滅の危機のなか、自著の『負ける勇気を持って勝ちに行け！』の言葉通りの試合を組んだ榊原CEOと、緊急オファーを受けた鈴木。その賭けに、RIZIN陣営は勝つことが出来るか。