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【Bellator】ムサエフの肋骨を折ったシャブリーの「リブキック=肋骨蹴り」は空手由来かATT発祥か

2023/03/17 17:03
 2023年3月11日の『Bellator 292』(U-NEXT配信)で行われた優勝賞金100万ドル(約1億3千万円)のBellatorライト級ワールドGP1回戦で、元RIZINライト級GP2019優勝のトフィック・ムサエフ(アゼルバイジャン)が、アレクサンドル・シャブリー(ロシア)の「肋骨蹴り」に試合続行不可能に。3R TKO負けとなった。  同大会で元UFC王者のベンソン・ヘンダーソンをダウンさせた、現Bellator王者のウスマン・ヌルマゴメドフの縦蹴り=ブラジリアンキックに続く変則キックでの決着だった。  試合は3R、ムサエフの右オーバーハンドに、カウンターのシャブリーの前蹴りが胸から股間に滑り、ムサエフが手を挙げて後ろを向いてしゃがみこみローブローをアピール。  試合は中断され、インターバルが置かれたが、通訳を通したジェイソン・ハーゾグレフェリーの「出来るか?」の再三の呼びかけにムサエフは首を振り、続行不可能とみたレフェリーが両手を挙げて試合を止めた。  GPの強豪の一人と見られていたムサエフの1回戦敗退。  このとき右で振りかぶって中に入って来るムサエフに対し、シャブリーは右の中足蹴りをムサエフの大胸筋下あたりを突いている。  これが「リブキック=肋骨蹴り」ではないかと、格闘技界で話題となっている。  試合後、Bellatorのスコット・コーカー代表は現地メディアに、ムサエフが肋骨を骨折したことを公表。試合ストップのダメージはローブローによるものではなく、正当な攻撃によるものだとの見解を示した。 松濤館流空手出身でATTで練習するシャブリーはムサエフの打撃に脅威を感じてなかった  実は、この蹴りを繰り出したシャブリーは幼い頃から伝統派の松濤館流空手を経験。その後、ムエタイも習得しており、前戦でシドニー・アウトローを27秒 KOしたムサエフの打撃についても「僕はそこに何もプレッシャーを感じてはいない」と本誌の取材に語っていた。  ロシアのペレスヴィエット・ファイトチーム所属ながら、フロリダのアメリカントップチーム(ATT)でも練習してお、今回のファイトショーツにもそのロゴをつけている。  そのATTには、日本のシュートボクシングに参戦経験を持ち、流行る以前からカーフ(ふくらはぎ)キックを得意技としていたカテウ・キビスが所属しており、そのキビスは、2年前から「普通のリブキックとは違う。肋骨を蹴られると、戦闘を続けることができなくなるんだ」と、「リブキック」の存在を北米メディアに語っていた。  空手出身のシャブリーが「肋骨」を狙っていたかは定かではないが、ムサエフのオーバーハンドに、中足蹴りを狙っていたのは確かだ。 [nextpage] 三日月蹴りの元祖・盧山初雄「左はレバー、右は脇腹か肋骨を蹴る」  三日月蹴りの元祖・盧山初雄氏はかつて本誌の取材に「左に構えたときはレバーかみぞおちを、右に構えたときは相手の左脇腹、あるいは肋骨を蹴る。内臓に中足がグッと入れば七転八倒するし、入らなければ肋骨が折れる。スパンッと蹴った後に相手がもんどりうって倒れるのではなく、前に崩れるような蹴りでないとダメ」と、その切れ味を語っている。  松濤館流空手&ムエタイ&ATTのシャブリーは、ムサエフが前かがみで右を振ってきたとはいえ、そこに突いた前蹴りは打点の高いものだった。そしてストッピングのための前蹴りではなく、ヒザをいったん上に上げてから中足を突き刺し、それが胸の肋骨をとらえていた。空手とも、ムエタイの蹴り方ともいえる突き方で、それは常にピンポイントでとらえられるものなのか。  この肋骨蹴りが、今後、必殺技となっていくかどうか分からないが、ATTのキビスは、「カーフキックはATTで長い間練習されてきたもので、新しい技とさえ考えられていない。ここ(ATT)でやる肋骨蹴りは正確な位置に蹴ることが出来る」と語っている。  三日月蹴り、踵蹴り、カーフキックと、技には流行り廃りがあり、その防御方法も含め、アップデートされ、技は巡っていく。果たして「リブキック」は、新たな潮流となるか。
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