MMA
レポート

【PFL】西川大和がPFL初戦でコラードに判定負けも「注目に値する」健闘。元UFCオバメルシェ、元ROAD FCミランダ、シュルチ、マンフィオがライト級3P獲得

2023/04/15 09:04
【PFL】西川大和がPFL初戦でコラードに判定負けも「注目に値する」健闘。元UFCオバメルシェ、元ROAD FCミランダ、シュルチ、マンフィオがライト級3P獲得

(C)PFL

 2023年4月14日(日本時間15日)ラスベガス・ザシアターヴァージンホテルズにて『PFL 3: 2023 Regular Season』が開催された。

 北米デビューの西川大和(西川道場・20歳)は13日(日本時間14日)、ライト級(155ポンド/70.3 kgプラス1ポンド許容)戦の前日計量を153.4ポンド(69.58kg)のアンダーでパス。対戦相手のクレイ・コラード(米国)も154.4ポンド(70.03kg)でパスしている。大会の模様は日本ではDAZNで4月15日朝8時から配信された

 修斗世界ライト級王者の西川は、2022年10月にアブダビ開催の『UFC 280』でオクタゴンデビューの予定だったが、「複数の問題によりカードから除外する」ことをUFCが発表。契約関連の確認のためUFCからリリースされていた。2022年11月からタイのバンタオジムで3カ月強の長期合宿を行い、今回のPFL参戦となる。

 対戦相手は、元UFCでプロボクサーでもあるクレイ・コラード(米国・MMA21勝10敗)。“カシアス”の異名を持つコラードは、6歳でレスリングを始め、11歳でボクシングを始めた29歳の格闘エリート。

 2011年3月にプロMMAデビューすると13勝4敗1NCの戦績で、2014年8月にUFCに参戦。マックス・ホロウェイに3R TKO負け後、4カ月後にアレックス・ホワイトに判定勝ち。ガブリエル・ベニテス、チアゴ・トラターに判定負けでUFC1勝3敗でリリース。その後、MMAで4勝1敗をマークし、2017年にプロボクシングデビュー。プロボクシング9勝(4KO)6敗3分の戦績を持つ。

 2021年4月にPFLに初参戦し、いきなりアンソニー・ペティスに判定勝ち。ジョイルトン・ラターバッバにもスプリット判定勝ちで2連勝でプレーオフ進出を決めると、8月のハウシュ・マンフィオ戦で判定負け。

 ボクシングで2敗後に、再びPFL2022に参戦し、4月に元UFCのジェレミー・スティーブンスに判定勝ち。6月の前戦ではアレックス・マルティネスにスプリット判定負けしている。

 21勝中、10KO・TKO、3つの一本勝ちをマークしており、オーソドックス構えからシャープなジャブ、左右の蹴りも器用にこなし、際のダーティボクシング、ヒザなど近距離の打撃も巧み。MMAでは多くない頭を下げてのダッキングなどパンチディフェンスにプロボクシングのキャリアを感じさせるファイターだ。

 コラードは身長180cm・リーチ185cm、西川は身長170cmとライト級としては小柄ながらリーチが184cmあり、近い距離での打ち合いも辞さないコラードに対し、いかに立ちあうか。

 コラードはテイクダウンを許すものの立ち上がりにも長けており、2018年に現UFCのダリック・ミナーにリアネイキドチョークを極められて以降は一本負けしていない。スティーブンス戦では激しい打ち合いから一転ダブルレッグテイクダウン、ラターバッバ戦ではバックを取られてのヒザ十字、ガードからキムラを狙うなど寝技に付き合う時間もあり、西川にとっては打撃で遅れを取らず組みの展開でリードを取りたいPFLデビュー戦だ。

 PFLはリーグ戦を採用しているため、ヒジ打ちを禁止しており、下になってもパウンドをコントロールすること、さらに下からのヒジを武器とする西川にとって、アジャストが必要なPFLデビューとなる。

 日本勢としては、4月1日(日本時間2日)に、工藤諒司(TRIBE TOKYO MMA)がPFL第4戦目で、2021年PFLフェザー級王者モヴィット・ハイブラエフと対戦も初戦は判定負け。翌週の4月7日(日本時間8日)に東よう子(リバーサルジム新宿 Me,We)がマリナ・モクナトキナ(ロシア)と対戦も2R TKO負けと、予選のリーグ戦で黒星発進しており、3週目の日本人選手登場となる西川は、北米の強豪相手に初戦で勝利を掴むことができるか。

 各階級のリーグ戦形式で行われるPFLの同級レギュラーシーズンは2試合。各ラウンドのフィニッシュが点数に反映されるポイント制で上位4人に残ればプレーオフ進出。優勝者には100万ドル(約1億3600万円)の賞金が支払われるPFLで西川は優勝を目指す。

▼ライト級 5分3R
〇クレイ・コラード(米国)22勝10敗/154.4ポンド(70.03kg)※3P獲得
[判定3-0] ※30-27×3
×西川大和(日本)21勝4敗6分/153.4ポンド(69.58kg)

 1R、解説から「修斗チャンピオン」とコールされた西川。いつものように『ロッキー』のテーマでケージイン。「コラード選手に限らず、PFL全体的に前に出るアグレッシブな選手が多いので、初っ端から取り合う、フィニッシュしあう展開になるのではと思っています」と語るビデオが流される。

 1R、向き合うと体格差がある両者。オーソから、サウスポー構えのコラードに右インローを当てる西川。2発目にコラードはバランスを崩すが、コラードも首相撲ヒザ、続く右ストレートを浴びた西川は後退する。さらに左ボディを当てるコラード。続く左が下腹部に当たりローブローで中断。再開。

 右インローでコラードのバランスを崩す西川。ワンツーから左ストレートに繋ぐコラードは金網背に首相撲からヒザを突く。ワンツーから左ボディを突くコラード。西川もワンツー、右ロー。しかし左右ボディを突くコラードに西川は手数が減る。西川の右に蹴り足をつかむコラード。左を顔面と腹に受けて金網に釘付けになる西川。

 右ボディストレート、さらに左ストレートを突いてシングルレッグに入るコラード。それを切る西川。金網背にガードを固めて左右で押し返してゴング。

 2R、右から左ボディ打ちのコラードに西川は右インロー。さらに左ハイも、それうぃ潰したコラードがパウンド。ニーシールドでしのぎ、ガードから立ち上がる西川は左ミドルを当てて前に! しかしコラードも左の跳びヒザで前に。スリップした西川のガードに付き合わない。スーパーマンパンチで前に出るコラード。左右をガードする西川はまたも右インローでコラードをこかす。

 左右ボディから左フック7を当てるコラードは詰めてラッシュ! しかしガードする西川はコラードの左ハイをかわしてシングルレッグへ。同体で倒れて立ち上がり、左ローを当てる西川。徐々にペースを取り戻す。さらに右インローにコラードはヒザを着いてダウン! すぐに立ち上がるが、なおもインロー、左ローを当てる西川にコラードはバランスを崩す。

 詰めるコラードはボディ打ちから左を伸ばすが、そこにインローを合わせる西川に手打ちとなりバランスを崩す。

 3R、コラードのパンチに左奥足ローを当てる西川! 左右ボディ打ちにコラードに左ロー。さらにシングルレッグから左差しで崩すも、両者立ち上がり。

 ボディ打ちで詰めるコラードに西川もヒザを突き、ダブルレッグから引き込む形で三角絞めへ! ここは腕を抜くコラードは担ぎパスから鉄槌。しかし、なおも西川は三角絞め。これも腕を抜くコラードはパウンド。それを頭を振ってかわす西川は蹴り上げで立ち上がり!

 がぶりからアナコンダチョーク、アームインギロチンを狙うコラード。ここも下を選択し、三角絞めを狙う西川だが、頭を抜かれると草刈りで足を掴み立ち上がり!

 そこを詰めてヒザを突くコラード。今度は明らかに金的に当たり、「ファールカップに当たる音が聞こえた」と解説陣。スイッチして左ロー、オーソに戻して右インローを当てて崩す西川。

 序盤の手数はコラード。2R終盤から効かせた西川のローキック、下からの仕掛けはどれだけ評価対象となるか。

 判定は3-0(30-27×3)でコラードが勝利し、3Pを獲得。敗れた西川はリーグ戦で0ポイントスタートも、昨年のセミファイナリストのコラードとしっかり視線を合わせて握手をかわし、ケージを後に。現地解説は「注目に値する」と西川の初戦の健闘を讃えた。

MAGAZINE

ゴング格闘技 NO.335
2024年11月22日発売
年末年始の主役たちを特集。UFC世界王座に挑む朝倉海、パントージャ独占インタビュー、大晦日・鈴木千裕vs.クレベル、井上直樹、久保優太。武尊、KANA。「武の世界」でプロハースカ、石井慧も
ブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリアブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリア