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【PANCRASE】4戦目の戴冠! 渡邉史佳が杉山しずかをTKOで女子フライ級新王者に。黒澤はストロー級王座初防衛。井村が松井に一本勝ち、バルボーザが反則ヒザも続行の粕谷を絞め落とす、山本がRYoに一本勝ち、本野が藤野に辛勝、後藤が合島を左で沈める、山木が矢澤に初回TKO勝ち! 村山が長岡との投げ対決を制す

2025/03/09 13:03
 2025年3月9日(日)神奈川・横浜武道館で『PANCRASE 352』が開催された。13時45分試合開始(19時30分頃全試合終了予定)。試合の模様は、U-NEXTにて配信、英語解説版はTIGET PPVにて配信された。 ▼クイーン オブ パンクラス チャンピオンシップ フライ級 5分5R ※選手名からインタビュー×杉山しずか(リバーサルジム新宿Me,We)第4代QUEEN OF PANCRASIST 23勝8敗1分 56.45kg [1R 2分15秒 TKO] ※右フック〇渡邉史佳(FIGHTER'S FLOW)挑戦者 1位 3勝1敗 56.35kg※渡邉が第5代フライ級クイーンオブパンクラシストに  2024年3月にPANCRASEに初参戦し、ライカを相手にスタンドでも巧みに左の蹴りを当てて、テイクダウンからコントロール。フルマークの判定勝ちで初陣を飾った杉山は、2024年7月立川大会の2戦目で重田ホノカを1Rフロントチョークで絞め落とし、第4代クイーンの座に就いた。  そして、2024年11月24日には、『ベストボディジャパン日本大会』のフィットネスモデル部門レディースクラス(35歳~49歳)の部に出場し初優勝。さらに同部門の各年齢クラスの優勝者で競われるオーバーオールで総合優勝し、日本一に輝いている。  14kg減量の末、コンテスト当日の体重は54.9kg。MMAのフライ級は125ポンド(56.7kg)のため、格闘技の試合時より、さらに1.8kg絞った美ボディでベストボディジャパンを制している。この研ぎ澄まされた“魅せる”身体作りにより、新たに強化された部分も含め、ファイトする身体はどのように進化したか。注目だ。  対する挑戦者の渡邉は、2023年3月のプロデビュー戦でライカにスプリット判定勝ちすると、2024年3月にキャリア2戦目で当時ランキング3位のNORIに判定勝ち。9月立川大会で第2代王者の端貴代をフルマークの判定で破り、プロ4戦目にしてタイトルマッチの舞台に駆け上がってきた。  渡邉はテニスで活躍後、ボクシングのプロライセンスを取得。MMAではOOTA DOJOを経て、FIGHTER'S FLOWで渡辺華奈らとトレーニングする逸材との呼び声が高く、アグレッシブな闘いを信条とする。RIZINで杉山に2度勝っている渡辺華奈(米国PFL参戦中)はジムの先輩にあたる。華奈の後押しも受けて、一気に時代を掴むか。  それともベストボディジャパンで日本一に輝き、さらに肉体を研ぎ澄ましてきたベテラン杉山が、本職のMMAでも女王の座を守るか。 杉山「明日は大きな壁となって吹き飛ばすつもりで、しっかりリカバリーして戦いたいと思っています。PANCRASEとう歴史ある団体のチャンピオンとしてふさわしい試合をしたいと思っています。よろしくお願いします」※杉山会見コメント 渡邉「明日は全力でベルトを奪いに行きます。応援よろしくお願いします」※渡邉会見コメント  1R、サウスポー構えの杉山にオーソの渡邉は左ローも空振り。続く杉山の右ローに渡邉はいきなり右でダウンを奪う。  足を効かせて蹴り上げの杉山は立ち上がり、そこに右をフルスイングする渡邉もかわす杉山。左を振ってシングルレッグに入る杉山に切る渡邉。  杉山は左ハイ、ガードした渡邉は、右アッパーのフェイントで杉山の組みをけん制する。杉山の左の蹴りにカウンターの右を当てる渡邉! ローシングルの杉山を切る。  右前手フックの杉山だが、足に力が入らないか滑らせる。杉山の左ミドルを右で狙い打ちする渡邉。被弾した杉山は後退しながらも左ハイは遠い。  先に右を出した渡邉に杉山も右を返そうとするが、そこに左フックを突く渡邉。後退した杉山にさらに右ストレート。足が泳ぐ杉山だが、ここでダブルレッグに。顔を剥がして突き放す渡邉。  杉山は覚悟を決めて左から右を返す。渡邉の左ローを掴んでニータップ&左ストレートでテイクダウンを奪うもすぐに立つ渡邉が、立ち際の杉山に右フックをヒット。  ワンツーの踏み込みが鋭い渡邉。杉山も果敢に左ストレートを返しに行くが、そこに渡邉は外から右をかぶせると杉山は後方にガードを取れずダウン、レフェリーが間に入った。  渡邉が第5代女子フライ級王者に。試合後、新王者は「試合までいろいろありましたが、チームのみんなの応援のおかげで覚悟を決めて試合をすることができて、ベルトを獲れて感謝の気持ちでいっぱいです。これからベルトの価値を上げられるよう、強い選手とどんどんやって頑張っていくんで、今後も渡邉史佳とFIGHTER'S FLOWの応援をよろしくお願いします」と語った。 [nextpage] 黒澤がカットも左ボディ効かせてラッシュ、TKO勝ち ▼キング オブ パンクラス チャンピオンシップ ストロー級 5分5R ※両選手会見コメント〇黒澤亮平(THE BLACKBELT JAPAN) 第4代KING OF PANCRASIST 19勝4敗 52.2kg[2R 2分23秒 TKO]×植松洋貴 (NEVER QUIT)挑戦者 1位/2022年NBT同級優勝 5勝3敗1分 52.0kg  2024年4月立川大会でリトルを右フックによる衝撃KOで破り、暫定王者となった黒澤。その後、正規王者となった黒澤に挑むのは、11月ニューピアホール大会で髙島俊哉を執念のパンチ連打による初のKO勝利を収め、遂にタイトルマッチへと漕ぎつけた植松。  修斗に続きPANCRASEのベルトも手に入れ、軽量級ながら一撃で試合を決する武器を持つ黒澤。  一方、PANCRASE一筋、ようやくベルトに手がかかった“決して諦めない男”植松は、増田大河、尾崎龍紀に判定勝ち、髙島俊哉を1R TKOに下し、3連勝中。対照的な二人が相まみえるタイトルマッチ。最後に手が上がるのは? 黒澤「今までで一番の準備してきました。必ず防衛します」 植松「明日は大番狂わせ、絶対起こすんで、期待してください。以上です」  1R、オーソの黒澤はダブルレッグテイクダウン。そこに植松は左の縦ヒジ。さらにギロチンチョークを合わせるが、首を抜く黒澤。右足をまたごうとする黒澤だが、テイクダウンの際で骨盤に当たったか左まぶたから出血。フックガードの植松に、ブレーク。中断後、再開。  短期決戦に出る黒澤の右に合わせに行く植松。左ジャブ、左ボディストレートの黒澤。そこに右を狙う植松だが、黒澤の出入りは速い。左の入りに右のバックフィストを狙う植松。さらに黒澤の右に右を返す。踏み込んで右ハイをガード上に当てる植松。高速左ジャブの黒澤。ガードの植松。3者10-9の黒澤を支持。  2R、左ジャブの黒澤、右ローの植松は細かいステップで押し戻すと、黒澤はワンツーの右。ガードを絞ってブロッキングの植松。互いに右ロー。左ジャブの刺し合い。黒澤は左前蹴り、右ボディとバリエーションを変えて、左から右ストレートをヒット!   下がった植松に黒澤は左ボディ! レバーに効かされた植松はくの字に。さらに黒澤はボディ連打、首相撲ヒザ、ガード固めて打ち返そうとする植松だがレフェリーが間に入った。  初防衛に成功した黒澤は「カットは自分が入って骨盤に当たって切ったんで。格闘技やってもやっても強くなれなくて。でもこれより面白いものないんでもっともっと頑張ります」と語った。 [nextpage] ▼バンタム級 5分3R〇井村 塁(ALMA FIGHT GYM PUGNUS)2位/2020年NBT同級優勝 12勝4敗 61.3kg[1R 3分17秒 リアネイキドチョーク]×松井斗輝(THE BLACKBELT JAPAN)5位 7勝2敗 61.55kg  2024年9月立川大会で初の国際戦に挑むも中央アジアの強豪ウルルに敗れた井村。片やバンタム級に階級を上げた11月ニューピアホール大会で、ハードパンチャー矢澤諒相手にヒザ蹴りを効かせてからのパウンドで秒殺KO勝利を収めた松井。  タイトル戦線の生き残りを賭け、ここで再起を図りたい井村。2試合連続体重超過というどん底から這い上がり、このまま一気にバンタム級トップランカーに昇り詰めたい松井。寝技と打撃、互いに突出した武器をどちらがどう使うか。 井村 年内一発目として、自分なりにしっかり仕留めて、年内必ず僕はフライ級キング・オブ・パンクラシストになります。 松井 明日はしっかり勝って、タイトルマッチの(同門の)黒澤さんに繋ぎます。 (※以下、会見でのコメント) 松井 毎回、格上の相手と組んでくださって、ありがとうございます。しっかり勝ちたいと思います。 井村 ALMA FIGHT GYM PUGNUSの井村です。前回、強豪外国人と試合をして無惨に負けちゃったんですけど、再起の一戦ということで、松井選手は強いですけど、僕が格の差を見せつけてやろうと思っています。よろしくお願いします。 ――相手の印象と、この試合が決まった時の気持ちを教えてください。 松井 極めが強いという印象を持っていました。つ後は井村選手が来るんじゃないかと思っていたので嬉しかったです。 井村 印象は、もうほんとうボクサーって感じ。打撃の一発一発にキレがあって、危ないなと思います。(試合が)決まった瞬間、もう負けられないと思ってるんで、前回見せられなかった自分のニュースタイルを見てほしいなと思うぐらいですね。 ――松井選手、前戦からバンタム級に転向しましたが、戦ってみて手応えは? 松井 試合までの練習ですごく動きが良くて、減量じゃなくて試合に集中してできるので、この階級が合っているなと思いました。 ――井村選手、先ほど「格の違いを見せつける」と言っていましたが、それはバンタム級での経験の違いを見せるということでしょうか。 井村 そうですね。松井選手、下(の階級)から上がって来たんですけど、言い方は悪いんですけど、フライ級はフライ級、バンタム級はバンタム級と僕は思ってます。それだけですね。 ――井村選手、前回のウルルとの試合には背水の陣で臨まれたと思うのですが、残念な結果になってしまいました。その後、どのような気持ちで過ごされていましたか。 井村 まあ『あれが世界だ』と思いました。今後やって行くには、ああいうのを超えていかなきゃいけないのかなと思いました。負けた後は落ち込みましたし、辞めようとは思わなかったですけど、開き直ってもう一回やっていこうと思ったのが本音ですね。 ――わりとすぐに立ち直られたんですか? 井村 意外とすぐ戻りましたね。多分、2日か3日ぐらいで戻りました。 ――どのように変わって来ていますか。 井村 向き合い方としては、本当にイチから全部作り直して来てるし、自分の得意のグラウンドもイチから作り直して来ているし、打撃の部分もメンタル的にもイチから作り直して、3月の試合に臨みます。もうちょっとで完成するかなっていうぐらいの感じですね。 ――松井選手、2025年の初戦、どんな試合をしたいですか。 松井 相手はランキング2位なので、勝てば2位ぐらいに上がれると思うので、次にタイトルマッチをやってもいいんじゃないかと思ってもらえるような試合をしたいと思います。 ――井村選手な粘り強く組んでくる選手です。組みの部分に関しては、どなたとスキルを磨いているのでしょうか。 松井 ジムにはレスラーが多いので、先輩だったり後輩だったり、強い選手とやらせてもらっています。 ――井村選手のフィールドに入った時の対応、自信のほどは。 松井 自信、あります。 ――解説の大沢ケンジさんが、井村選手のスタイルについて「井村しつこい塁」とおっしゃっています。今回、新しいスタイルが完成したら、井村塁はどう変化するのでしょうか。 井村 しつこくなくなると思いますね。いや、わからないです、もっとしつこくなる可能性もありますけど(笑)。まあ、見ててください。 ――師匠の石渡(伸太郎)さんからは、前回の試合、また、今後に関してどんなアドバイスがありましたか。 井村 まあ、あると言えばあるんですけど、言えない事ばかり(笑)なので何も言えないですけど、まあ、『やれ』の一言ですね。 ――タフな相手に対する意気込みはいかがですか。 井村 自分の持ち味を出すのもそうですけど、半年かけて作って来たものを試合に出せたらいいなと思ってるんですけど。でも、最終的には僕が手を挙げられるというか……僕が失神してるか、松井選手が首を絞められて失神してるかどっちかだと思うので。そういう試合になると思いますね。  1R、サウスポー構えをとる井村は左で前に。オーソの松井の左前足にシングルレッグでドライブ。押し込み。そこに鉄槌の松井は左差し上げて体を入れ替え離れて右ロー。  右ストレートを突く松井。シングルレッグを切ると、右インロー、左ローも。右オーバハンドをブロッキングする井村は、ノーモーションで身体ごとと踏み込む左ストレートでダウンを奪うとスクランブルする松井のバックに。最初は左手で、後ろ手を剥がす松井に、右手でリアネイキドチョークを極めて、タップを奪った。  試合後、井村は「応援ありがとうございます。前回、キルギス人にやられてどうしようもないところまで落ちて、松井選手、試合ありがとうございました。年内、必ず僕がキングオブパンクラシストになるので、世界で戦えるように成り上がっていきます」と語った。 [nextpage] ▼ライト級 5分3R×粕谷優介(総合格闘技道場CROWN)2位・14勝10敗2分 70.65kg[2R 4分02秒 ダースチョーク]〇ラファエル・バルボーザ(MAQUININHA DO FUTURO/ブラジル)15勝5敗 69.8kg 粕谷 バルボーザさん、遠くブラジルから日本までありがとうございます。頑張ります、バルボーザ 日本にまた来れてとても興奮しています。日本に戻ることは私にとって必要でした。明日頑張ります。押忍。 2023年3月に葛西和希に判定勝ちで3連勝をマークした粕谷は、雑賀ヤン坊達也、久米鷹介に判定負けも、2024年9月の前戦・立川大会でホン・ソンチャンに左ハイキックからのパンチラッシュで1R TKO勝ち。  対するはLFAから初参戦を果たすブラジルのラファエル・バルボーザ。2023年3月の前戦LFA155では現UFCのマイロン・サントスに判定負けを喫したものの、その後、サントスがTUF32で2連勝してUFC入り。2024年8月のオクタゴンデビュー戦でもカーン・ オフリに2R TKO勝ちしていることからも、バルボーザのポテンシャルの高さがうかがえる。  14勝の内5つのKO勝ちと4つの一本勝ちというバランスの取れたバルボーザを、海外勢との激戦を多く経験しキャリアで上回る元UFCファイター粕谷がどう攻略するか。 (※以下、会見でのコメント) 粕谷 CROWNの粕谷です。ランカーの中で、なんで僕がブラジル人とやらなきゃいけないのかとちょっと思ってはいるんですけど、頑張ります(笑)。 ――相手の印象と、この試合が決まった時の気持ちを教えてください。 粕谷 バルボーザ選手の印象は、イケメンだなと。LFAで戦っているので、すごく強いんだろうなと思いました。 ――対戦相手のバルボーザ選手は身長が183cm、27歳と若い相手です。下がっても打てる打撃を持つこの選手に対して、どのような打撃の印象を持っていますか。 粕谷“届かないのかな”っていうのと、ブラジルから多分30時間くらいかけて来ると思うので、大変だなと思います。 ――ジムの生徒さんとの練習が中心で、出稽古はされていないということですが、現在もその練習環境は変わっていないですか? 粕谷 MMAはジムの一般の道場生とクラスで練習して、柔術はヴァンガード柔術の岡本先生に習っています。柔術はMMAに活かしたいとかではなくて、柔術が楽しくて習いに行っているという感じでやっています。 ――その練習環境が、粕谷選手の強さをキープしている? 粕谷 うーん、やりたいことを、やりたいようにやりつつ、格闘技を楽しんでくれている道場生と楽しく練習できたらいいなという感じです。 ――そんななか、CROWNからは、2月のネオブラフェザー級で田口翔太選手が勝利するなど選手も育って来ている環境の変化について、どう思われていますか。 粕谷 アマチュアの子が育ってきて、プロを目指す子が増えてくれているのはすごく嬉しいですね。 ――粕谷選手は参戦以来、ずっとトップ戦線にいます。その強みはどこにあるのでしょうか。 粕谷 辞めないことですかね。 ――現在のモチベーションは? 粕谷 ずっとトップにいるとは言っても、あとちょっとでベルトが獲れない、という位置にいると僕は思ってるんで、今はとにかく、ベルトが獲りたい、まずは挑戦したいなというのがモチベーションですね。 ――UFCでは豪州の強豪アレクサンダー・ヴォルカノフスキーとも対戦していますが、ブラジル人選手は初めてですか? 粕谷 はい、初めてです。 ――ブラジル人選手であるということも含めて、相手にどのような印象をもっていますか。 粕谷 とにかく移動が長くて気の毒だなと。僕も海外で戦っていたことがあったので。バルボーザ選手はどうか分かりませんが、僕はとにかく飛行機が嫌いなので、とにかく大変だな、と思っています。来てくれてありがとうという感じです。 ――今回、どのような試合を見せてくれますか。 粕谷 前回、ランキング2位の状態で相手をKOして、(でもその結果)2位のままだったんで、勝って1位にしてくれたらいいなと。で、できればベルトにチャレンジしたいなと思ってます。 ◆バルボーザ「町田嘉三さんが声をかけてくれた」 「初めての日本はとても美しくて、この国に来られたことが本当に嬉しいです。そして、PANCRASEという大きな大会に呼んでいただき、チャンスを与えてくださってありがとうございます。自分の強さを見せたいです。  11歳から空手を始めました。私はサンパウロまで6時間くらいかかる田舎町で育ったのですが、父の勧めで空手を始めました。サンパウロで大きな大会が開かれるので、いつかそこを目指しなさいと父に言われていました。でも、空手を始めて1カ月後に父が癌で亡くなってしまって、自分の今の姿を見せることはできないのですが、大きな大会やサンパウロのことを見ると父のことを思い出して、自分の初心を思い出しています。  松濤館空手でたくさんの大会に出ていたので、そこでシンゾー・マチダさんのお父さん(町田嘉三)が私のことを見てくれて、たくさん戦績を残していましたし、そこで同時進行で格闘技も練習していたので、その頃にリョートさんが活躍していたので、そこでお父さんに声をかけていただいたというのが一番最初です。そこからシンゾーさんたちとMMAの練習をするようになりました。  今回、日本に来られた嬉しさにはもう一つ理由があって、空手の友達が世界大会で2カ月前に来日していて、すごく羨ましかったんです。そう思っているところへPANCRASEからオファーをいただいて、自分もここに来ることができたので、とても嬉しいです。  12時間のフライトは本当に長くて驚きましたが、日本の街を歩いたりして今テンションが上がっていて、もう何も問題はありません。戦いへの準備は万端です」  1R、サウスポー構えの粕谷が左インロー。ダブルレッグに入るが、差し上げるバルボーザは金網背に。体を入れ替えると左右ヒザ。左で差して入れ変える粕谷は押し込み。  四つで体を入れ替え、粕谷の崩しを浴びせ倒したバルボーザがトップに! 背中見せた粕谷のバックから4の字、おたつロック。リアネイキドチョークを狙う。ヒザ裏の二重を外して正対した粕谷。トップを取るも有効打は打てず。3者10-9でバルボーザを支持。  2R、ワンツーの右を打ち込むバルボーザ。左回りでインローも。シングルレッグの粕谷に、顔を剥がして差し上げるバルボーザ。粕谷は右で差して押し込むが、突き放すバルボーザは右。  粕谷は左ミドルを当てると、ワンツー、ボディから左でケージに詰める。さらに左インロー。左を振ってニータップでシングルレッグもがぶりの状態からグラウンド状態の粕谷に反則の左ヒザ。イエローカードで減点1に。  粕谷は再開を決断。バルボーザはワンツーの右。かわした粕谷は右前手も合わせに行くが、ヒザ蹴りにシングルレッグへ。そこでダースチョークを組んだバルボーザは、ハーフガードに足をからめて引き込み絞る。粕谷は足を抜いたが仰向けになり落ちた。 [nextpage] ▼フェザー級 5分3R×Ryo(リバーサルジム横浜グランドスラム/RINGS)3位、5勝6敗 65.8kg[2R 1分43秒 キムラロック]〇山本歩夢(K-PLACE)6勝2敗 66.1kg RYO リングス/グランドスラム横浜所属のRyoです。明日は最初から行きます。 山本 K-PLACEの山本歩夢です。1R目から極めに行きます。 3連敗から名田英平、栁川唯人相手に2連勝。2024年6月の前戦で平田直樹に判定負けでフェザー級コンテンダー争いから後退したRyoだが、2021年には現王者・透暉鷹を最終ラウンド残り1秒、魂のフロントチョークで仕留めるなど“激闘王”として知られる。  今回対峙するのは、柔道エリートの山本歩夢。インターハイ5位入賞の実績からDEEPで3連勝。2022年3月の『RIZIN 34』でRYUKIにTKO負け後、7月の『ROMAN ZERO』で2年4カ月ぶりの再起戦を道衣ありのMMAで戦った。2024年12月のPANCRASE初陣で合島大樹と対戦予定も、交通事故により欠場。今回が仕切り直しの一戦となる。  5勝すべてが1R決着と圧倒的なフィニッシュ力を誇る山本と、最後の1秒まで勝負を諦めないRyo。試合開始から終了の瞬間まで目が離せない両雄のぶつかり合いだ。 (※以下、会見でのコメント) 山本 今回、フェザー級で仕切り直しの一戦になりますが、いつも通り1RでしっかりKO・フィニッシュします。よろしくお願いします。 Ryo 今回、試合を組んでくださったPANCRASEさん、支えてくださった皆さんがいらっしゃって試合ができることをすごく喜んでいます。全力でぶつかっていきたいと思います。よろしくお願いします。 ――相手の印象と、試合が決まった時の気持ちを教えてください。 山本 3R目で逆転フィニッシュしてるなというのが印象です。試合が決まった時は、そうですね。他の選手が3R目まで極めきれなかったから逆転されてるだけなので、僕は1Rでしっかり仕留めます、と思ってオファーを受けさせていただきました。 Ryo 印象は、もう本当に若くてバリバリ行っちゃうぜ! って感じの印象ですよね。今大会の中でも若さ溢れる、かき乱してやるぜ! というような印象を持ってます。試合が決まった瞬間は、そういった元気でイケイケで、っていう選手が僕に来るってことは、僕もイケイケなんだなって思ってるので、めちゃめちゃ嬉しかったです。 ――お2人とも柔道出身ですが、ファイトスタイルは異なると思います。お互い、相手よりも自分が上回っていると思うところはどんなところでしょうか。 山本 何だろう……組み、極めは上回っていると思います。乗りに乗せた時のバックブローだとかヒジがちょっと怖いかなぁぐらいですかね。ナメて試合をやってるとそういうのが当たると思うんで、もう最初からブッ倒すつもりで気を引き締めていきます。 ――長期戦での自信はいかがですか。 山本 長期戦での自信はないです。1Rで仕留めます。 ――それを受けて、Ryo選手、いかがですか。 Ryo 素直な選手だな、素敵だなと思いました。僕だったら隠して、ああじゃない、こうじゃないって言っちゃうかもしれない。優っているところで言ったら、経験ですよね。これは絶対的だと思います。それが第一です。この経験の差が、しっかり見ている人に伝わるようなパフォーマンスに繋げたいと思います。 ――手は合いそうですか。 Ryo どちらかと言ったらたぶん合わないと思います。だからちょっとキツイな、苦手だなと正直思ってます。 ――山本選手、前回(※2024年12月)は減量中に事故に遭われて試合ができませんでした。その怪我の具合と、練習をいつごろから再開されたか教えてください。 山本 2、3週間ぐらい休んで、徐々に練習は再開しましたね。首はまだ正直痛いんですけど、そんなことも言ってられないのと、今回フェザー級でお願いしたのは、正直バンタム級だと、怪我して減量っていうのがすごく辛いなということも分かったので、フェザー級でしたらどこか骨折していてでも出場するので、っていうので、とりあえず今回はフェザー級でお願いしました。 ――ということは、適正階級はバンタムだと思っている? 山本 バンタム級で一度試合をしてみたいのと、この間も65kg切ってるぐらいの段階で、水抜きもなしで調子も良かったので、バンタムで行きたいなとも思いますけど、そうですね……正直、減量してもしなくてもあんまり気にしないんで、試合を組んでくださりのであれば、バンタムでもフェザーでもいいので試合をします。 ――相手はフェザー級きっての激闘王のRyo選手は、山本選手と同門の栁川唯人選手ともすごい試合をしています。そのRyo選手にどのように挑みますか。 山本 柳川は柳川なんで、MMAで勝とうとした結果が、最後、大逆転というのがあると思うんで。変に型にはまらず僕の戦い方で闘えば、ハマる試合ができるんじゃないかなと思ってます。 ――山本選手は、これまで勝利の全てが1Rフィニッシュ。今回も狙いますか。 山本 そうですね。3R戦う練習もしてはいるんですけど、まだ試合で出せるような感じではないと思うんで、1Rでフィニッシュしようかなとは思ってます。もしそこで2R、3Rいった時、疲れた時に出る技とかがどんなもんなのかっていうのも、僕自身ちょっと興味があるなっていうのはあります。でも、辛くなってもちゃんとフィニッシュして勝つので、期待していてください。 ――Ryo選手、これを受けていかがですか。 Ryo すごく素直な、誠実な選手だなって、僕は思いますよ。 ――そこで、Ryo選手はどのように戦おうと思っていますか。 Ryo 1Rの決着率が高いということは、やはり1Rに全力を振っている部分が大きく占めていると思うんですね。だから、こっちも1R目からブッ放しますよ。 ――初参戦の選手に対して、PANCRASEランカーとしての意地は。 Ryo 意地とかプライドとかは、あるっちゃありますけど、ないっちゃないんで。時として、それは要らないでしょっていうプライドってあると思うんですね。今回に関しては、要らないと思ってます。僕がパンクラスさんにお世話になったのが5年前なんですけど、その時の新たな気持ちで、『初めまして、よろしく願いします』っていう気持ちでいきます。 ──今回も会場を沸かせてくれるでしょうか。 Ryo 当たり前ですよ! 俺ですよ。 ――Ryo選手、最近はジャッジなど運営面でも関わっていらっしゃいますが、そのことは選手としてどのような影響がありますか。 Ryo 試合のお手伝いは、客観的に物事を見られるという点ですごく成長にも繋がりますね。そして、試合を遠くから見ているわけじゃないですか。そうすると、選手の気持ちでもあるし、選手じゃない時の気持ちでもあるから、じゃあ自分が選手になった時は、どうしよう、ああしよう、っていうふうに思えるということが新たに生まれたというのはすごく良かったなと思います。  1R、ともにサウスポー構え。詰める山本にRyoはインロー。右フックを強振する山本は一気に組みに行くが、突き放すRyo。  右前蹴りの山本に右の上下を着いて押し戻すRyo。山本は右ジャブ、前蹴りも掴むRyo。足を抜く山本。Ryoのシングルレッグを切ってヒザ! Ryoはワンツー。山本のシングルレッグにギロチンチョークを狙うが、首を抜く山本。  両者スタンドに。右ボディから左を突くRyo。インローも。ワンツーの左を振るRyo。かわす山本にワンツーのRyo。山本の入りにバックヒジ! 山本は動きが一瞬止まるがホーン。3者山本を支持。  2R、中央を取る山本は左ローも、Ryoは右から左をヒットさせるが、そこに山本はダブルレッグテイクダウン! 潜りからスクランブルするRyoに手首を掴みキムラクラッチを組んだ山本は、ケージを蹴って動くRyoに頭をまたいでキムラロックを極めてタップを奪った。  試合後、山本は「PANCRASE初めてかな、試合どうでしたか。応援来てくれて感謝の気持ちを伝えたいんですけど、タイトル獲ったら涙ながらに伝えます。みんなフィニッシュしてないんで、もうタイトルマッチを。タイトルかからないなら試合しないから。タイトルマッチでもフィニッシュします」と豪語した。 [nextpage] ▼女子ストロー級 5分3R×藤野恵実(JAPAN TOP TEAM)2位/第3代QUEEN OF PANCRASIST、修斗初代女子ストロー級王者 29勝16敗2分 52.6kg[判定0-3] ※28-29×3〇本野美樹(リバーサルジム横浜グランドスラム)元DEEP JEWELSストロー級暫定王者 9勝5敗 52.5kg 藤野 ジャパントップチーム藤野です。自分はもう格闘技しかできることないので、負けないように全力で戦いたいと思います。明日、本野手と素晴らしい試合できるように頑張ります。 本野 グランドスラム横浜所属の本野美樹です。明日PANCRASEデビュー戦ということで、藤野選手と覚悟を持って熱い戦いをします。明日私が生き残ります。頑張ります。  元DEEP JEWELSストロー級暫定王者の本野美樹がPANCRASEに電撃参戦。2020年に伊澤星花に連敗でJEWELS王座陥落した本野は、同年12月にHIMEに判定勝利し再起を飾ると、以降もにっせーに腕十字で一本勝ち、2022年11月に須田萌里に判定勝ちで3連勝をマーク。  2023年10月に中国Happy Elephant MMAでフォン・シャオツァンの三角絞めからの腕十字に一本負け。2024年の『ROAD TO UFC』でシャオツァンと再戦し、最終回にマウントを奪うも判定負けで対海外で2連敗中。AACCからリバーサルジム横浜グランドスラムにジムを移籍し、心機一転闘いの場に選択したのはまだ足を踏み入れたことのないバッテンマークのケージとなる。  迎え撃つのは、第3代PANCRASE女王にして現修斗王者の藤野恵実。藤野は2024年5月の修斗で杉本恵に3R TKO勝ちで2団体制覇を達成。9月大会で1年半ぶりにPANCRASEに戻り、ストロー級QOP王座戦で第5代王者ソルトに判定負けで2団体同時王者達成はならなかった。  実績、キャリアで上回る藤野が本野の侵略を阻止するか。日本人相手にはRIZIN絶対王者・伊澤星花以外に負けなしの本野がレジェンド藤野超えを果たすか。女子ストロー級注目のカードが決定した。 (※以下、会見でのコメント) 本野 リバーサルジム横浜グランドスラムの本野美樹です。PANCRASE参戦ということで、最短でチャンピオンまで駆け上がりたいと思います。よろしくお願いします。 藤野 JAPAN TOP TEAMの藤野恵実です。まだ格闘技ができることに感謝して、後悔のないように一戦一戦やりたいと思います。よろしくお願いします。 ──「格闘技を続けられることに感謝」と言葉がありました。今、どんなモチベーションで格闘技と向き合ってるのでしょうか。 藤野 今もモチベーションは変わらず、やっぱり格闘技が一番好きで、その好きなことをずっとやりたいっていう気持ちが一番強いです。 ――対戦相手の印象と、この試合が決まった時の気持ちを教えてください。 本野 藤野選手の印象は、他団体のチャンピオンでもあって、ベテランの選手で、戦闘機のような強さを持っているような選手だなという印象です。あと、試合でフィニッシュされて負ける姿をほとんど見たことがないので、今回の試合で自分がしっかりフィニッシュして、自分が強いっていう存在をアピールして行きたいと思います。  あと、試合が決まった時の気持ちとしては、日本のストロー級の女子選手の中で唯一やってみたいなと思っていた選手なので、決まった時は嬉しかったです。 藤野 本野選手の試合はずっと見ていて、最初の頃からすごく実力のある選手だなと思って見ていました。『ROAD TO UFC』に行くのも羨ましいなと思っていたくらいですし、強いし勢いのある選手だなと思って見ていました。でも、交わることがなかったので、(今回対戦が決まって)最初すごくびっくりして、それと同時に、私も強い選手と試合をさせてもらえるという嬉しさがあります。試合ではその気持ちを出せるように頑張ります。 ――本野選手、PANCRASEの印象は? 本野 最近は海外の試合にも興味があったので、それに近い団体だなっていう風に思っていました。PANCRASEの試合を初めて見に行った時は、すごい海外風な大会でカッコイイなっていう印象があって。あとは最近はRTUだったりDWCSだったり、そういった試合にPANCRASEの選手がすごい参戦している印象もあったので、自分も日本で試合を約2年ぶりにやるんですけど、PANCRASEで試合がしたいなと思ってお願いしました。 ──前戦(RTU)の課題をどのように捉えて今回の試合に臨みますか。 本野 前回の対戦相手は2回戦ったことのある相手(フォン・シャオツァン)で、結果負けてしまったんですけど、1回目(2023年10月、Happy Elephant)の時は自分からガンガン攻めの姿勢を作れたんですけど負けて。2回目(2024年8月『ROAD TO UFC』)の時は、少し相手の様子をうかがってしまったところが敗因だと思うので、今回の試合は自分からどんどん攻めて行きたいなと思っています。 ──藤野選手にとっては下からの世代の突き上げを受ける形になります。そのなかでいかに戦おうと考えていますか。 藤野 まあ、上の世代がもういないので、全部下からになるんですけど。もうやっぱり今、強い選手が本当にどんどん出てきてて。若い選手で、キャリアが浅くても結構ベースがあって、しっかり完成されている選手が多い。私はもともとベースもないですし、何ができるってわけでもないんですけど、ただMMAを一人長く続けてきたので、まあそこを出したいなとは思ってます。 ――藤野選手、これまで本野選手とは、練習などで接点はあったのでしょうか。 藤野 はい。昔は何回か練習させてもらったことがあります。最近はやってないですね。 ――その時の印象はいかがでしたか。 藤野 組みがすごく上手い選手だと思っていました。打撃も見づらいですし、強い選手だなという印象はずっと持っています。『ROAD TO UFC』行くのも羨ましいなと思ってたぐらいですし。強さと勢いある選手だなと思って見てました。 ――本野選手にとって、ベテラン中のベテランとの対戦です。かつてAACCで同門だった浜崎朱加選手も藤野選手と対戦していますが、藤野選手について何か聞いていますか。 本野 そうですね、やはり頑丈で、パワフルというか押し込み力がすごいので、そこは警戒しつつ、自分のやりたいことをしっかりやっていきたいと思います。 ──本野選手、さきほど「最短でPANCRASEのベルトを狙う」と。では今回はどんな勝ち方をしたいですか。 本野 藤野さん、強い選手だからこそ、その選手にしっかりフィニッシュして勝つことがまず第一だと思っています。 ――PANCRASEへの参戦も含めて、今後のキャリアの重ね方をどのように考えていますか。 本野 まずは3月9日、しっかり藤野さんに勝って、次は自分がベルトを獲って、というところですね。それから先は、自分がPANCRASEのチャンピオンとして海外でも活躍していきたいと思っています。 ――藤野選手は現在、修斗のベルトを保持しています。藤野選手のホームリングといっていいこのPANCRASEで、DEEP JEWELSの元暫定王者である本野選手を迎え撃つ、この構図をどう捉えていますか。 藤野 そうですね、団体が違うから交わることはないなとずっと思っていたので、その機会を作っていただけた、このPANCRASEの舞台にすごく感謝しています ――藤野選手、「最短でベルトを目指す」という本野選手に対してどのように思われますか。 藤野 まずは次の試合、自分はしっかり勝とうと思っているので、そんなに簡単じゃないというのを見せたいと思います。  1R、サウスポー構えの本野に、オーソの藤野が先に詰める。左インロー、前蹴りで迎え撃つ本野に、左右連打で詰める藤野。サークリングの本野はインロー。詰める藤野は組んで右で差して押し込み。  本野の剥がしに戻す藤野は押し込み。左のヴァレリーキックの本野。ブレーク。  左インローの本野は左ストレート。右の細かい連打で詰めて左で差して押し込みも、突き放す本野は右ジャブ。そこに右を返す本野は右を当てて詰めるが、右回りで離れる本野。右ジャブを突くが、そこに藤野は右ストレート! アゴが上がった本野だが、左を振ってダブルレッグテイクダウン!  そこにアームインギロチンを合わせる藤野。足を解いた藤野だが腰にかかとを落とす。ジャッジ3者10-9で藤野のラウンド。  2R、詰める藤野の押し込みにヒジを突き離れる本野。右ジャブに右を合わせる藤野。本野は左のインローから左ハイ。  しかし藤野は右のダブルで前に! ワンツーの左ストレートの本野。右回りも、藤野も左周りで蓋をする。インローの本野に、藤野は右の連打で前に。そこで体を入れ替えた本野はクラッチ組むが、右手を差し込んだ藤野はクラッチを切る。  離れる本野。右から左で前に出るが軸が若干ブレる。藤野の右の入りに下がる本野はカウンターを狙えず。しかしダブルレッグに。差し上げる藤野はがぶりヒザ。離れる本野は左ハイ。ブロックする藤野は圧力をかけて左で差して前に。右でこつこつ突く藤野。ジャッジ3者が本野を支持。  3R、ワンツースリーフォーの連打の藤野を右サークリングでさばく本野。藤野は右のダブルで詰める。右を当てる藤野に回った本野はダブルレッグテイクダウン!  ここもクローズドガードでギロチンチョークの藤野だが左手。外した本野は背中越しにクラッチして寝かせると中腰になる。再び左腕でギロチンを作り直す藤野。首を抜いた本野はトップから藤野の右足を組んで回すが、立った藤野が先に攻める。  ワンツーで詰める藤野。本野は左で応援。間合いを詰める藤野は細かい連打。本野は一瞬後ろを向いて離れる。左を返す本野だが、最後まで詰めたのは藤野。ホーンにヒザに手を着いた藤野、本野も座り込みそうになる。  判定は29-28×3でテイクダウンからコントロールした本野がPANCRASE初陣を勝利した。ガッツポーズの本野は涙。 [nextpage] ▼バンタム級 5分3R×合島大樹(ROOTS)6位 12勝10敗2分 61.45kg[1R 4分12秒 KO]〇後藤丈治(TRIBE TOKYO MMA)17勝8敗1分 61.4kg 合島 復帰戦の時は非日常だったんですけど、ちょっとあまりにも試合ペースが速くて日常になってきちゃったんで、もうちょっと非日常を楽しみたいと思います。 後藤 1R目からフィニッシュしに行きます。  2020年から修斗、RIZIN、ONE、DEEPに活躍の場を広げ、さらに強さに磨きがかかった後藤が5年ぶりにPANCRASE復帰を果たす。迎え撃つのは、2024年に6年ぶりに復帰し、小原統哉、安藤武尊相手に2連勝中の合島。  勝ち方次第でタイトル戦線に浮上する一戦で勝利するのは、多彩な打撃テクニックで相手を翻弄する合島か? それともRIZINでトレンド・ガーダム、日比野“エビ中”純也をツイスターで葬った“極め力”を持つ後藤か? 後藤は『ONE Friday Fights 61』でロシアのイリアス・エジエフに3R リアネイキドチョークで逆転の一本負け後、11月のDEEPで、LFAで活躍し、コンテンダーズシリーズにも出場したマンド・グティエレスにスプリット判定負けでキャリア初の連敗を喫している。5年ぶりのPANCRASEで再起なるか。 (※以下、会見でのコメント) 後藤 TRIBE TOKYO MMAから来ました後藤丈治です。5年ぶりの“世界標準”PANCRASE、いい試合をします。 ――相手の印象と、この試合が決まった時の気持ちを教えてください。 後藤 合島選手は、プレッシャーをかけてくるのが上手な選手だなというところです。試合が決まった時の気持ちとしては、自分自身、相手は誰でもOKと伝えていたので、相手が受けてくれたということは、イコール、自分に勝てると思って受けてくれたんだなというふうに思ったので、その気持ちをしっかり折ってやろうと思いました。以上です。 ――後藤選手、今回5年ぶりの参戦となりますが、パンクラスでの目標はどのように持っていますか。 後藤 一番は、今回すぐに試合を組んでくださるという動きをしてくださって、5年ブランクが空いたんですけど、5年前とは比べものにならないぐらい強くなっている自信があるので、それを証明したいなと思っています。  次の相手はランキング6位の選手でもあるんで、一番上のベルトっていうのももちろん見ていますし、いろんなチャンスをモノにするためには、自分の価値だったり実力をつけるっていうのがすごく大事だなというのも思っているので、目標としては、次の試合では、試合で自分自身をもっと強くしてやろうと、そういう風に思っています。 ――海外選手との試合が続いたあと、今回、日本人選手との対戦になりますね。 後藤 正直、自分は日本人でバンタム級最強を目指してやってるんで、今日(相手は)会見にいないですけど、ちょっと覚悟が違うなと思っているので、そこを見せたいと思ってます。 ――ONEでの試合後、専修大学でレスリングの練習をしていると聞いています。そういう個別のスキルアップの練習の成果はいかがですか。 後藤 専修大学のレスリング、すごく強い選手がたくさんいるので、技術的な部分を伸ばして頂いたというところと、一番は、気持ちの部分ですね。ずっと向き合って来たので、自分自身、出しきれていなかったポテンシャルがもっと出していける、そんな自信が今はあります。 ――師匠の長南(亮)さんからは、何かアドバイスありましたか。 後藤『いつも通り殺せ』ぐらいのことを言われたっていう感じですね。 ――後藤選手は打撃も強いですし、変形のツイスターなどの極め技も強いですが、今回はどんなムーブで沸かせてくれるのでしょうか。 後藤 打撃であれば、ちょっと一発当たったら終わるものを用意しているので、それの可能性もあると思っていますし、組みもあんまり日本では見たことがない、珍しいものを用意していますし、ツイスターも3連続あるかなと思っているので、いずれにしても絶対、完全決着で終わらせたいと思っています。  1R、サウスポー構えの後藤は左ハイ。オーソの合島も右ハイをガード上に返す。右ミドルは掴んだ後藤。足を抜く合島に後藤は左の奥足ロー! 左オーバーハンドを当てる後藤、合島の左の蹴りを掴んで崩す。右のかけ蹴りを見せる後藤は左フックも。ブロッキングの合島は、後藤のシングルレッグの入りは切る。  左ハイを入れる後藤。さらに左ストレートを上下に散らせる後藤。合島は右ストレートで前に。後藤も右前蹴り。合島の入りにシャープなショートの左を当てて合島をグラつかせると、フラつく合島に外を取って左ストレート! 試合を決めた。  後藤は「5年ぶりにPANCRASEに強くなって帰って来ました。僕はバンタム級日本人最強を目指しているので、まだまだ突っ走ります。上の選手、よろしくお願いします」と語った。 [nextpage] ▼バンタム級 5分3R×矢澤 諒(パンクラスイズム横浜)7位・5勝7敗 61.3kg[1R 1分43秒 TKO] ※左フック〇山木麻弥(ALIVE)3勝 61.55kg 矢澤 明日勝ちます。応援よろしくお願いします。山木 明日はいつもの自分を見せれるように圧倒します。よろしくお願いします。  漆間將生、木本海人、ジェイク・ムラタを初回KO・TKOに下すなど、勝利した試合はすべてパンチによる1R KOという一撃必殺のハードパンチャー矢澤が地元・横浜のケージに立つ。ムラタ戦後、笹晋久に判定負け、井村塁に1R 一本負け、松井斗輝に1R TKO負けと3連敗から再起なるか。  対するは、アマチュア時代から無敗を誇り、17歳でプロデビューを果たした山木。極真空手仕込みの殺傷能力の高い打撃で、前田海、宮城成歩滝を相手に2試合連続KO勝利を収め、勢いに乗る逸材だ。  若手の台頭が著しいPANCARSEで新星として輝くか。その野望を矢澤が地元で打ち砕くか。激しい打撃戦が予想される今後のバンタム級戦線を左右する一戦。  1R、サウスポーに構える矢澤。左右連打で詰める。オーソの山木は遠間から出入り。右ハイを突く。かわした矢澤はオーソになるもサウスポー構えに戻す。右から左を強振した矢澤に、山木はスウェイ、ダッキングでかわしてカウンターの左フック! 矢澤をダウンさせてパウンド。TKO勝ち。  3連続KO、3連勝の山木は、「すみません、いつも1Rで終わっちゃうんですけど怪我も無いんで、またすぐに呼んでください」と語った。 [nextpage] ▼ウェルター級 5分3R〇村山暁洋(暁道場)2位/第9代KING OF PANCRASIST 25勝14敗9分 77.65kg→77.45kg[判定3-0] ※30-27×2, 29-28×長岡弘樹(総合格闘技道場DOBUITA)GRAND第3代同級王者 29勝27敗13分 76.95kg  2025年3月に45歳を迎える両雄が、同会場で村山の判定勝利に終わった2022年12月以来の再戦を果たす。20年以上にわたり闘い続け、今も最前線で若いファイターたちとしのぎを削るタフな両者。新鋭の躍進が目覚ましい現在のパンクラスにおいて、日本MMA界の歴史を紡いできたベテランファイターがケージに魂を刻む。ケージレスリングの長岡に、MMA柔道の村山。スタンド打撃から優位なポジションを奪うのはどちらだ。 村山 明日はKOか一本で勝ちます。 長岡 最高に仕上がりました。明日は必ずリベンジします。 (※以下、会見でのコメント) 長岡 DOBUITAジムの長岡です。試合を組んでくれたパンクラス、再戦を受けてくれた村山選手に感謝します。当日は、自分のキャリアの中で一番の闘志を出して戦いたいと思います。必ずリベンジします。 村山 暁道場の村山です。同級生対決、絶対負けません。応援よろしくお願いします。 ――相手の印象と、試合が決まった時の気持ちを教えてください。 長岡 2年前(※2022年12月)に、自分は村山選手に負けてるんですけど、それから前回の試合を見ても、また強くなってるなと感じています。2年前に負けてから、村山選手にリベンジしたくて日々過ごして来たんで、当日はその思いを全てぶつけたいなと思っています。 村山 2年前に戦わせて頂いたんですが、その時ももちろん、その前から長岡選手はタフな選手と知っていて、なかなか(思うように)やらせてくれないし、それだけじゃなくて強いし、佐藤(生虎)選手との試合(2024年4月)もすごい試合だったので、それも含めて、気持ちもすごく強い選手だと思っています。ただ、リベンジに燃えてると思うんですけど、リベンジはさせません、 ――お2人とも、ジムで後輩のファイターたちが育っています。45歳、同級生同士の試合の中で、どういったものを見せたいと思われますか。 長岡 そうですね。ジムの代表として恥ずかしくない試合をしたいと毎回思ってるんですけど。ベテラン同士のテクニックとかではなくて、お互いの意地がぶつかるような、そんな試合ができたらいいなと思ってます。 村山 自分もやはり、道場生がいいるんですけど、それを超えて、意地を見せたいなと。いい歳ではあるんですけど、まだ負けず嫌いなので、ここは意地を張って勝ちたいと思います。 ――今、長岡選手にとって戦う意味とはどんなものでしょうか。 長岡 そうですね、もうこんだけ長くやっていますから、本当に格闘技、MMAが大好きで、試合をさせていただけることが本当にありがたいなと思っていますし、今、自分についてきてくれている選手たちに恥ずかしくない姿を見せたい──その想いが強いです。しかも今回。ずっと望んでいた村山選手が相手なんで、いつもよりもう本当、今までで一番のいい気合が入っています。もちろん勝つ姿を見せたいですが、この試合に臨むにあたっての自分の練習とかもDOBUITAのジム生たちは見ていますし、取り組みから試合当日の気持ち、気迫の部分、格闘技に必要な闘志というものを出したいなと思っています。 ――どんな勝ち方でリベンジしたいですか。 長岡 お互い組みベースではあると思うんですけど、一発もありますし、しっかり打撃の部分にも注意しながら、でも、自分も打撃ガンガンいくつもりなんで、打撃もタックルも思い切り行くし、全部出し切って。フィニッシュできればフィニッシュしたいし、ドロドロになったら最後まで俺の根性で勝つというつもりで練習をやっています。 ――村山選手は一度勝った相手との再戦を受けたのは? 村山 前回、確か2Rで結構もう、ガンガン来られてやられてしまって。試合には勝ったんですけど、その2Rの印象が強いので、今回はキチンと勝ちたいなという気持ちと、長岡選手の今のお話を聞いていて、自分もここにきてさらに闘志が湧いてきたので、その気持ちでぶつかり合いたいなと思います。 ――今回はハッキリとした目に見える勝ち方、フィニッシュを意識しているということでしょうか。 村山 そうですね。ただ(長岡は)正直むちゃくちゃタフなので、そこを超えてフィニッシュしたいというのは一番なんですけど、でもドロドロの試合になっても、最後は自分が勝てるように、試合まで作り上げていきたいと思います。 ――村山選手も暁道場を出されて、後ろ姿を追う若い選手も増えてきている今、どんな姿を見せたいですか。 村山 長岡選手と一緒になってしまうとは思うんですけど、しっかり自分の取り組みとかを見せられればいいなというのと、あとは色々積み重ねたものもあるので、新しいものも試合で出して、どんどん挑戦していく姿を見せたいなと思います。  1R、詰めて左で差して金網に押し込む村山は右手を掴んで引手を持ちに行き払い腰狙い。長岡は右で差して体を入れ替え。ともに払い腰狙い。右で差してダブルレッグも狙う長岡を差し上げた村山は、左小手で投げを狙うが、崩れない長岡。体を入れ替えた村山が首相撲ヒザ。  長岡を左右を振ってケージの反対側まで電車道で押し込み、四つからシングルレッグへ。ここも差し上げた村山が左小手に巻き投げ。残す長岡と同体でマットに頭をつきホーン。2者が10-9で村山。1者が10-9で長岡を支持。  2R、サウスポー構えの長岡。村山はジャブで前に。詰めて首相撲ヒザも、ダブルレッグ狙いの長岡。村山は差し上げて体を入れ替える。ともに体を入れ替え合い、長岡はダブルレッグへ。すぐに差し上げる村山は両足を束ねさせない。終了間際、首相撲ヒザを突いた村山。ジャッジ3者10-9で村山支持。  3R、あとがない長岡はスタンドで左右で前に。村山も応じて首相撲ヒザ。左で差した村山が押し込み。体を入れ替えた長岡。村山のヒザに離れた長岡。右ジャブを突く長岡に、村山は首相撲から押し込み。左で差して頭をアゴ下につけて四つでクラッチ。一転、首相撲からヒジ・ヒザ。  離れた長岡は、右ジャブで詰めるが、体を入れ替えた村山はヒザ。さらに左右で前に。そこで右を差して組んだ長岡が投げ。それを残した村山が引手を掴んで払い腰テイクダウン! 頭から投げた村山はパウンドから腕十字へ! 長岡も意地のクラッチで極めさせず。ホーン。  判定3-0(30-27×2,29-28)で村山が再戦を制した。 [nextpage] ▼フェザー級 5分3R×遠藤来生(Power of Dream Sapporo) 5位 14勝11敗3分 65.8kg[判定0-3] ※27-30×2, 28-29〇木下尚祐(リバーサルジム横浜グランドスラム)10勝6敗1分 65.8kg  7月の大阪大会でベテラン中村晃司に勝利し、連敗を脱出した遠藤。ZST、DEEPでキャリアを積み、PANCRASE初参戦となった11月ニューピアホール大会で小森真誉戦を制した木下。  遠藤がPANCRASEランカーの意地を見せるか、それとも木下がこのチャンスをものとしフェザー級の台風の目となるか。 遠藤 前回アクシデントで試合無くなってしまいましたが、集中切らさないで仕上げてきました。明日暴れたいと思います。よろしくお願いします。木下 動きまくるいい相手と僕なんで激しい試合になると思います。明日楽しみにしていてください。  1R、ともにオーソドックス構え。右の長いボディストレートを突く木下。遠藤は左関節蹴り。その入りに木下はダブルレッグも切る遠藤は右ロー。木下も右カーフを返す。左廻し蹴りは間合いを潰した遠藤が右ハイ。木下は右の跳びヒザを突く。ブロッキングの遠藤は右ロー。木下は左ジャブをヒット。1者遠藤も2者が木下。  2R、右ローを連打する遠藤。右ハイを掴んだ木下が右ハイ。ブロックする遠藤に木下から組みも突き放す遠藤。右ローの遠藤。四つから崩しにかかるが崩されない木下が逆にダブルレッグテイクダウン。スクランブルですぐに立つ遠藤。  木下の左ハイをブロックした遠藤は前に。そこに右ボディを突く木下は出入り。遠藤の右ローをかわして右ジャブを届かせる木下。詰める遠藤だがそこに右跳びヒザを合わせに行く木下。詰める遠藤が右をガード上に突いたところでホーン。3者10-9木下を支持。  3R、遠藤の入りに木下は右ストレートでダウンを奪うが、遠藤はすぐに立ち上がり距離を詰める。頬を切った遠藤。左で飛び込み、右フックも。木下に右を当てるが、間合いを取ると木下の左ジャブがヒット。  右オーバハンドをダブルで突く遠藤に、右ジャブで右回りの木下。遠藤の右フックの強振は空振り。左ジャブダブルから右アッパーとリズム良く突く木下。遠藤は詰めると木下がダブルレッグテイクダウン。遠藤は尻着きながらもすぐに立ち、左連打する遠藤にボディロックしたまま木下は凌ぎ、ホーン。  判定3-0(30-27×2,29-28)で木下が勝利した。 [nextpage] ▼フライ級 5分3R×山﨑聖哉(BRAVE GYM)6位//2023年NBT同級優勝 4勝4敗[3R 4分39秒 TKO]○時田隆成(トライフォース東中野)11位 3勝 山﨑 明日はBRAVEらしい、いい試合で絶対勝ちます。 時田 明日は確実に1R目から仕留めに行きます。  2023年3戦3勝でネオブラ王者に輝いた山﨑。しかし、2024年はまさかの2戦2敗(濱田巧と大塚智貴にKO/TKO負け)悔しさを味わうことに。一方の時田は、2024年12月のプロ2戦目で初代王者・砂辺光久を完封し、パウンドアウト勝利を飾った。  山﨑はアグレッシブなスタイルと柔道仕込みのテイクダウンが武器。対する時田は、レスリングベースのテイクダウンとキープ力が強み。2025年、フライ級ランカー対決の開幕戦となる。  1R、サウスポーの時田は山﨑の左ローに左ストレートを伸ばす。互いにけん制が続く中、時田がシングルレッグからバックへ。山﨑は前転して足を取りに行くが時田が上から抑え込みパウンド。山﨑は下からの腕十字を仕掛ける。腕を解除した時田はパウンド、ヒジ。時田のヒジ連打に腕を取りに行った山﨑だが、時田は立ち上がる。すぐにバックを奪って寝技に持ち込んだ時田はリアネイキドチョークを極めかけたがラウンド終了。オープンスコアは10-9×3で時田。  2Rも1分以上のけん制のし合いから、時田がシングルレッグでテイクダウン。すぐに起き上がろうとした山﨑とスクランブルになるが、上を取ったのは時田だった。ヒジを落とし、パウンドも打つ時田。そのままラウンドが終了し、オープンスコアは10-9×3で時田。  3R、山﨑が右を打ちに来たところに合わせて時田がシングルレッグ、山﨑はガブり、三角の体勢を作る。しばらくその体勢が続いたが時田は抜け出し、山﨑の首を抱えて上になる。立ち上がった山﨑にはダブルレッグですぐに組み付く。バックになった時田を投げるようにしてスクランブルに持ち込む山﨑だったが、時田はバックをキープ。バランスの良いバックマウントから強いパウンドを連打し、ここでレフェリーがストップした。  時田は「試合内容がイマイチでもっともっと強くなって次は上位ランカーとやりたいのでよろしくお願いします」とマイクでアピールした。 [nextpage] ▼バンタム級 5分3R○前田浩平(GRABAKA)2018年IMMAFオセアニア選手権優勝 10勝7敗[判定3-0]※30-27×3×梅原規祥(リバーサルジム武蔵小杉 所プラス)5勝5敗 前田 今回、階級変更一発目で梅原選手に喧嘩を売られたので、喧嘩を売ったことを後悔させるような試合をして、しっかり返したいと思います。よろしくお願いします。 梅原 会見で僕はいろいろ言いましたけど、本当に心から尊敬してます。2カ月間、本当にベストを尽くすために頑張ってきました。前田選手、明日、僕の全力を受け止めてください。ベストを尽くします。  前田は、2024年は砂辺光久、増田大河戦で2戦2勝という戦績を残すも、増田戦では両者共に体重超過での試合に。今回、階級を上げて臨む初戦の相手は、以前より前田戦を熱望し、師匠・所英男ゆずりのファンタジスタぶりで頭角を現してきた梅原。  2024年7月にXで前田戦をアピールして以降2連勝。前戦の坂本瑞氣戦では、試合終了1秒前に腕十字固めを極め会場を沸かせた。前田との対戦を自らの手で引き寄せた梅原。一方、喧嘩を売られた立場の前田。結末はいかに? (※以下、会見コメント) 梅原 所プラスの梅原規祥です。まずはこの機会をくださったPANCRASEの皆さまと、対戦を受けてくださった相手に感謝しております。9日、横浜武道館は僕が超えます。僕が作った物語なので、僕が終わらせます。よろしくお願いします。 前田 GRABAKA所属の前田です。前回、計量オーバーをしてしまったにも関わらず、このような大きな舞台に呼んでいただいて、本当にPANCRASEの皆さまには感謝しております。この戦いは梅原選手に作ってもらったストーリーではあるけど、この階級で僕が戦えることを証明する戦いだと思うので、しっかり潰して終わらせたいと思います。よろしくお願いします。 ――相手の印象と、試合が決まった時の気持ちを教えてください。 梅原 前田選手の印象は、自分のやるべきことを遂行してくる強い選手だなと思っています。ずっとやりたかったので、試合が決まった時はやっと捕まえたなと思いました。 前田 ずっとSNSで梅原選手からアプローチが来ていて。最初にアプローチが来た時は、確か梅原選手は1カ月後ぐらいに試合が決まってる状態だったんで、ちょっと気が早いんじゃないかと思って(笑)。まだそこまで意識はしていなかったんですけど。そこから彼も2連勝して、僕も去年負けなしで終えて、そういう自分で望んだものをつかむ強さを持っている選手だと思うので、前回のフィニッシュもそうですけど、そういう強さ、しっかり分かっているので、僕はそれをさせないように、作戦を遂行して、梅原さんのやりたいことをやらせずに潰すだけなので、そういう試合をしたいなと思っております。 ――梅原選手にうかがいます。以前から前田選手との対戦を希望されていましたが、その理由を教えてください。 梅原 そうですね、先ほど会見で井村(塁)選手も発言されていたように、フライ級とバンタム級は全く別のステージだと思ってます。計量オーバーしてバンタム級に上げて、初っ端からランカーとやらせるわけにはいかないな、中堅レベルの僕でいいんじゃないかなと思って。前田選手は知名度もありますし、もともと尊敬していた面もありますけど、僕が潰してやろうかなと思ってます。 ――梅原選手の希望が叶う形でこの試合が実現しました。 梅原 僕はずっと大学までサッカーをやってたんですけど、寮で門限もめっちゃ厳しい中、生活をしていて、その時に、前田選手の『格闘技代理戦争』を見ていて、すごいなとずっと思っていました。そんな中、自分がプロデビューして、PANCRASEに前田選手が戻ってきて、というんですかね、久々に試合に出られているのを見て、その時フライ級だったので、やりたいなと思っていたんですけれども、バンタムに戻して。で、計量オーバーされてSNSで階級変更を考えますっていう言葉に、ちょっと、計量オーバーしたからってバンタムにきて、良い相手とやらせてもらえるのは違うんじゃないかなと。僕はずっとバンタムで下からコツコツやってきたんで、僕がもう一回フライ級に戻してあげようかなと思って、敬意をもってコメントさせていただきました。 ――戦いたかった相手でもあり、思い知らせてやろうというところもあると。 梅原 そうですね。思い知らせてやろうっていうのは、まあそこまではないんですけど、バンタム級とフライ級はまた違うんで、僕も去年、一昨年か、フライ級に落としてだいぶ痛感したんで、そんな感じですかね。 ――前回(※昨年11月)、最後の最後で極めた腕十字は、師匠の所選手を彷彿とさせるものがありました。このようなところが梅原選手の一番の持ち味なのでしょうか。 梅原 そうですね、練習では、僕はアームロックとか腕十字は極められないんで、所さんはもちろん強いですし、兄弟子の先輩たちにも僕は取られてばっかりで、多分1回も取ったことがないんで、練習ではほとんどやらないですね。できないです。 ――試合では自然に出るのか、それとも狙っているのでしょうか。 梅原 狙ってないですね。気づいたらあの形になっているんで。やりたくなくても、今回はちゃんと壁レスやるぞと思っていても、手がクラッチ組んでますね。アームロックの形になっちゃってます。 ――その辺の感性は師匠譲り? 梅原 やられて覚えたので、所さんイズムと言えば所さんイズムかもしれないです。 ――今回、どんな勝ち方を狙っていますか。 梅原 そうですね、判定スプリット2-1で勝ちます。 ――前田選手、梅原選手の思いを聞いていかがですか。 前田『格闘代理戦争』を見てくれたというのはすごく嬉しいんですけど、僕もPANCRASEに帰ってきたわけじゃなくて、プロをPANCRASEからやってて、アマチュアもPANCRASEから勝ち上がってるんで、生え抜きっちゃ生え抜きなんで、その辺はPANCRASEのプライドもあるんで、どっちかと言ったら代理戦争の方がおまけというか、ご褒美的なものだったんで、パンクラシストとしてしっかり迎え撃ちたいなと思っています。 ――梅原選手から、フライ級に戻ってもらうというような言葉もありましたが、前田選手としては今後、階級はどのように考えていますか。 前田 僕、それこそ代理戦争ではフェザー級だったんですけど、ユン・チャンミン選手とか大きい階級の選手ともやっていますし、もともとプロデビューしたてはバンタム級で、前回グアムの大会でもバンタム級でやって。もちろんフライ級の方が長かったんですけど、ここで思ったのが。どの階級でも強い選手は強い。フライ級に行ったからといって弱い選手とやれるわけじゃないし、バンタム級はもちろん強い選手もいっぱいいるしというところで。前回グアムでやったときの感触では、僕はバンタム級の方が合ってるんじゃないかなと思うんで、たとえ負けようがこの階級でやっていきたいし、負けないんで、この階級でやれることを証明したいなと思ってます。 ――では、どんな勝ち方をしたいですか。 前田 腕十字で一本勝ちしたいなと思ってます(笑)。  1R、両者サウスポー。前田の左ミドルをキャッチした梅原はテイクダウンに行くが、前田が逆にケージへ押し込んでいく。体を入れ替え合う中、前田が大腰で投げてテイクダウン。すかさずマウントをとる前田に梅原は反転、前田がバックから4の字ロック。バックから鉄槌を打ち、チョークを狙ったところで梅原が立ち上がり、前田はその梅原を蹴って立ち上がる。すぐに組み付いた前田は梅原を押し込んだままラウンドを終えた。オープンスコアは10-9×3で前田。  2R、カーフを蹴り合う中、前田がパンチを出しながら前へ出て行き、梅原にケージを背負わせるとダブルレッグでテイクダウン。立とうとする梅原からすぐにバックを奪う。バックからボディロックする前田に梅原はヒジを打つが、前田がリフトアップしてテイクダウン、タスキを解除する梅原だが前田は右腕を首に巻く。動く前田をコントロールしていた前田だが、残り1分で梅原が反転して上になりパウンドを一発。前田は蹴って立ち上がると梅原をケージへ押し込み、殴りながらラウンド終了。オープンスコアは10-9×3で前田。  3R、梅原は左右フックで前に出るが、前田は脇を潜るようにして組み付きバックへ。前田はカカトで梅原のカーフを蹴り、投げてバックへ。クロスした前田の脚にヒジを落とす梅原。立ち上がろうとする梅原空前田は離れず、また元の体勢に戻した。梅原は向き合うとすぐに立ち上がり、“立て”とゼスチャー。飛びヒザ蹴りの梅原に前田は左フック。梅原も左フックを打つと前田は組み付く。ケージに押し込まれた梅原は体を入れ替えると離れ、ワンツー、左ハイで勝負をかけたが有効打は奪えず。  判定3-0で前田が完封勝利した。 [nextpage] 【プレリミナリーファイト】 ▼バンタム級 5分3R×千種純平(パンクラス大阪稲垣組)5勝1敗[判定0-3]※27-30×3○松井 涼(EXFIGHT×FIGHTFARM)2勝 千種「明日は、どこからでもフィニッシュ狙って、思いっきり楽しみに行きたいと思います。よろしくお願いします」 松井「明日楽しみです。よろしくお願いします」  東京大会初参戦となった2024年11月ニューピアホール大会で、宮島夢都希をヒールフックで下し連勝を5に伸ばした千種。  一方、グレコローマン天皇杯2位で専大時代に武田光司と同期のレスリングエリートの松井。2024年8月にMMAデビューし、佐々木健吾に判定3-0で勝利している。近い将来バンタム級勢力図を塗り替えるであろう期待の新鋭同士による一戦だ。  1R、松井が弾丸のようなダブルレッグでテイクダウン。千種がフロントチョークに捕らえ、松井は立ち上がって強引に首を抜く。立ち上がるが、松井はケージへ押し込む。シングルレッグを仕掛けつつ、太腿へのヒザ蹴りを見舞う松井。千種は松井の首を抱えるも松井はすぐに解除し、押し込んだままフックを見舞う。千種は右ヒジをクリーンヒットさせるが、松井のシングルレッグで尻をマットに着いた。オープンスコアは10-9×3で松井。  2Rが始まってすぐにダブルレッグでテイクダウンした松井は、千種の左足を両足に挟んでパンチを見舞っていく。ケージまで来た千種は立ち上がろうとするも、松井は両足を引いて立ち上がらせない。片膝を着いて起き上がる千種を再びシングルで寝かせようとする松井に、千種はフロントチョーク。これも抜いた松井は千種をケージへ押し込み続ける。千種は左ヒジ。松井は千種の右足を両足で挟み、顔面へパンチを見舞っていく。オープンスコアは10-9×3で松井。  3Rも始まった直後に松井がダブルレッグでテイクダウン。今度はサイドにつく。下からアームロックを仕掛ける千種だが失敗。松井が肩固めの体勢を作るが、千種はブリッジから立ち上がる。押し込む松井に千種はフロントチョークも、松井がテイクダウン。下からヒジを打つ千種に松井はパウンドを打つ。スペースを作らせずしっかりと抑え込む松井。コツコツと殴り続けて試合終了。  判定3-0でグレコ天皇杯2位の松井が完封勝ちした。 [nextpage] ▼フライ級 5分3R×今井洋希(禅道会)2敗[2R 3分15秒 リアネイキドチョーク]○稲垣祐司(NATURAL 9)1勝 今井「しっかり勝ちます」稲垣「第1試合目デビュー戦、頑張ります」  伊藤勇輝は、地元・横浜で悲願のプロ初勝利を掴み、同門で現フライ級王者・伊藤盛一郎の背中に一歩でも近づきたいところ。  稲垣は、2024年のアマチュアMMA全日本選手権オープントーナメントを制し、34歳でプロの舞台に立つ。ビッグマッチの大舞台で、このチャンスを掴むのはどちらだ!?  1R、30歳からMMAを始めたという34歳の稲垣が今井の蹴り足をキャッチしてコカし、すかさずパウンド。今井は稲垣の頭を抱えてのクロスガードに。上体を起こせない稲垣だったがクロスガードから抜けるとパウンド。今井はバックを狙うが稲垣が立ち上がる。スタンドに戻ると稲垣は右カーフ、左フック。左へサークリングしながら左右フック、右カーフを次々と当てていく稲垣に今井はガードを固めて防戦一方だったが、残り10秒でダブルレッグ。しかしテイクダウンは出来ず。オープンスコアは10-9×3で稲垣。  2Rも左へサークリングし、今井が前に出てくるとバックステップで距離をとりながら左右フックを当てに行く稲垣。今井はシングルレッグ、稲垣はケージを背にヒジを落とす。右足のクラッチを切った稲垣はバックへ回るが、今井は足関節へ。足を抜いた稲垣は立ち上がり左右フック、すぐに今井がシングルレッグ。またもクラッチを切った稲垣がバックを奪いリアネイキドチョークの体勢に。タップを奪った。
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