(C)BLACK COMBAT
2023年2月上旬に韓国で「BLACK COMBAT」と「DEEP」の5対5の対抗戦が開催される。
BLACK COMBATは、ドラマチックな映像を駆使し、選手のバックボーンとキャラクターを際立たせ、YouTubeでそのストーリーを拡散させることで新たなファンの獲得に成功している韓国の新興MMAプロモーションだ。
対抗戦では、先にDEEPの強豪5選手が発表されているが、BLACK COMBAT側も負けず劣らずの4選手がYouTubにて続々、発表されている。
ライト級では、対抗戦の選抜戦に“まさか”の選手が出場した。
DEEP初の韓国人王者となったハン・スーファンことバン・テヒョンがUFC追放以来、6年3カ月ぶりにケージに
アイマスクをつけられた4選手がマスクを外した場所は、だだっ広く廃材が置かれた倉庫。その中央にケージが置かれている。
最初に「私は“鉄拳”です」と自己紹介したのはバン・テヒョン──日本では「ハン・スーファン」のリング名で、DEEP初の韓国人王者となったテヒョンは、2008年8月の「戦極~第四陣~」で五味隆典とも対戦している。
テヒョンの前戦は2016年9月のUFC。以降、ここまでブランクが空いているのは、その10カ月前のUFCでのレオ・クーンツ戦でテヒョンが八百長絡みの違法賭博に関与したからだった。
テヒョンは、2015年11月のUFC韓国大会で、八百長ブローカーから勝敗操作の話を持ち掛けられ、一度は受諾したものの、オッズの異常な動きを察知した米国本社から代理人を通じて事前警告を受け、八百長を翻して戦い、スプリット判定勝ちしたとされる。
前金として1億ウォン(約900万円)を受け取っていたテヒョンは、5000万ウォンをすぐに返し、残りの5000万ウォンを試合後に返却したというが、対戦相手に5000万ウォンを賭けていたとの報道もある。
当初は3R中、2つのラウンドでわざと劣勢となり、判定負けする計画だったというが、1Rにテヒョンはカウンターの左でダウンを奪うとそのまま僅差の判定で逃げ切り。クンツは「相手がわざと試合に負けるために戦っているようには感じなかった」と語っている。
現UFCライト級王者のマカチェフに2R 一本負けまでMMA14連勝(1分挟む)だったクンツを相手に、ダウンを奪い、試合をコントロールできる実力がありながら、いったんは許されざる八百長を受けたテヒョンは試合後、ブローカーから身辺の脅威を受けて自ら出頭。背任収賄罪で懲役10カ月、執行猶予2年の判決を受けていた。
事実上の追放の形で、オクタゴンでの最後の試合から約6年3カ月。その間、2020年2月のM-1、2021年5月のMONSTER WARで試合が発表されていたが、M-1は大会中止。MONSTER WARは試合がキャンセルされている。