格闘技を不本意ながら引退、未練が残っていた
そんなバン・テヒョンがまさかの「BLACK COMBAT」参戦。MMA18勝10敗の39歳は、80.8kgの緩めの身体で計量し、DEEPとの対抗戦の選抜戦にライト級で出場するという。
「この機会を与えてくれたことにありがたく思っていて、一生懸命やってみようと思う」と語ったテヒョンは、主催者から「どれだけ強いのかも説明を」とうながされ、「私はそういうのは苦手で……」と答えると、「キャリアを話してくれればいい」と言われ、参戦の経緯を語った。
「私はもともとここに日本と戦うと聞いて来た。その日本の団体の元チャンピオンで、UFCの選手だったし、DEEPで元ウェルター級チャンピオン(中尾受太郎)、ライト級チャンピオン(横田一則)、元フェザー級チャンピオン(三島☆ド根性ノ助)の3人にKOで勝っている」
「今でもDEEPを相手にそれは可能ですか?」と問われると、「準備期間さえあれば、昔の実力を、それ以上にもう一度引き上げる自信があるけど、いまの自分の状態が体力が耐えられるか、私にも分かりません。格闘技から離れて6年経ったので、それでも経験というものがあるので一生懸命やってみようと思います」と、静かな口調で意気込みを語った。
そのテヒョンの1回戦の相手は“メンテス(カマキリ)”ユン・ダウォン(5勝4敗1分)。キャリア3戦目でDEEPでキャリア35戦目の横田一則に2R 一本負けを喫したものの、以降は4勝2敗1分。近年の黒星はDouble G FCフェザー級でパク・チャンスとパン・ジェヒョク(※2022年12月のPANCRASEで透暉鷹にスプリット判定負け)に敗れている。
ダウォンは77.45kgで計量。テヒョンの登場に「意外な人物が出て来てびっくりした」と驚きを隠さず。「バン・テヒョン選手は有名だけど、ちょっと休み過ぎかな。私はいま盛んに戦っているから、私が韓国代表になりそう」と笑顔で語った。
フェザー級を主戦場としながらもライト級にエントリーしたことについては、「今回の契約体重に達しなかったけど、一つ上の階級くらいは制することができそうだから」と説明。
対DEEPに関しては、「昔、DEEPで戦ったけど、そのときはまだ全然MMAが出来ていない時期で横田選手に敗れた。バン・テヒョン選手はその選手とやってKOしている(※2008年5月のDEEPライト級タイトルマッチで横田を右フックで1R KO勝ち)。でも私は今、成長している。元DEEP王者に勝てるという自信がすごくあるから志願した。もう一度DEEPと戦いたい。私の最終目標はDEEPに復讐すること」と、5年ぶりのリベンジを果たしたいとした。
同級トーナメントで、脱北ファイターのチャン・ジョンヒョクの交渉により、キム・グンヒ戦が先に決まったため、24歳のダウォンと戦うことになったテヒョンは、「若すぎる方々と戦わなければならないというのが完全に慣れない感じだけど」と苦笑しながら試合に向かう。
テヒョンを「事実上、過去の栄光のなかで生きている。その栄光は全部終わった。世代交代するとき」というダウォン。
「挑戦を……ほんとうに勇気を出して来ました。私は格闘技を不本意ながら引退することになったじゃないですか。“余韻”が残っている状態で機会があればまた格闘技の試合に出てみたいと思っていたんですが、今回、DEEPとの対抗戦と聞いて、自分は元DEEPのチャンピオンでもあったので出ることにしました。でも準備がうまく出来ていないです。幸いなのはラウンドが短いこと。3分2Rだからフルスパーリングで」と覚悟するテヒョン。
大き目のオープンフィンガーグローブとシンガードを着用する両者。顔面ヒザなどが禁止された3分2Rの非公式戦は、ともにオーソドックス構えから始まった。