アイルランド大会がこれからの「祭り」の始まりになった
──テコンドー黒帯のスコット代表にとって、そこまでの思い入れのある選手なのですね。ところで、階級転向といえば、元フェザー級王者のAJ・マッキー選手がライト級に転向しました。この路線は継続されそうでしょうか。
「スパイク・カーライルとの試合で彼はそれを決めるんじゃないかな。特に問題がなさそうなら155ポンドにステイすると思う(※試合後、コーカー代表は「Bellator史上最高の1Rだった」と評価)。それに、2023年に155ポンドのトーナメントを開催するかもしれないしね。この階級は本当にいい選手が揃っているから。ただ、AJが155ポンドで戦おうが、145ポンドで戦おうが、もう一度、パトリシオ・ピットブルと戦わせたい。それがBelletorの目標でもある。
ライト級と言えば──ひとつだけ言いたいんだ。日本では、RIZINのニュースで色々埋もれてしまったかもしれないけど、アイルランドのダブリンで行なわれた大会がすごく良かったんだ。アイルランドの観客は本当に最高だったし、ライト級でベンソン・ヘンダーソンはまた25歳に戻ったかのような試合をしたんだ」
──日本のU-NEXTで拝見しましたが、38歳のヘンダーソン選手が、地元アイルランドのピーター・クイリー選手を相手にあのように5Rを圧倒したことに驚きました。それに、あのダブリンの観客の『ゾンビ』の大合唱! あの地ならではの盛り上がりを感じます。
「まさしく! ダブリンは年に2回大会を設けているけれど、あの環境は本当にどことも違う。皆が飲んで歌って、3試合が終った頃には誰一人シラフじゃないと思う(笑)。彼らはパーティーが好きで、ファイトも好きで、少し街を歩いただけでも、300年とか500年の歴史のあるバーがあって、とても歴史的で素晴らしい場所だ。観客は皆、『スウィートキャロライン』や『ゾンビ』を歌って、まるでサッカーの試合を観戦をしているような気分になったよ。米国ではこうならない。日本も格闘技の観戦で歌う事はしないだろう? 君たちは一度ダブリンに観戦に来なければいけない。次は2月24日(現地)だ。本当に素晴らしいから。日本もハワイも格闘技が好きな人がたくさんいて、日本の格闘技はとても特別だ。自分が格闘技の根幹を学んだところだから。ただ、ダブリンはまたちょっと違う世界なんだよ」
──あの大会では、メルヴィン・マヌーフ選手の引退試合もエモーショナルでした。
「メルヴィンは日本でもK-1で人気の選手だったよね。彼がK-1で戦うのを見るのは本当に楽しかった。今回はキューバの強豪ヨエル・ロメロを相手に戦って、ロメロはメルヴィンをKOした。でもメルヴィンもファイトをした。この試合は、本当に全てのMMAファンが見るべき試合だと思う。メルヴィンが試合後に引退スピーチをしたのだけれど、家族もその場にいて本当に感動的だった」
──たしかに。マヌーフ選手が、シドニー五輪フリースタイルレスリング銀メダリストのロメロ選手と最後のMMAを戦った。「自分に人生を与えてくれたこのスポーツに感謝」という言葉は胸を打ちました。
「K-1やDREAM、HERO'Sなどで活躍したスリナム出身でオランダ在住、立ち技からMMAに挑戦したマヌーフがダブリンであの試合を戦った。素晴らしい旅路だったと思うよ。
このアイルランドの大会が私にとってこれからの“祭り”の始まりなんだ。ダブリンから始まってLAのビッグカードが揃った大会、シカゴ、ミラノの大会を挟んで、その後は、12月9日(日本時間10日)にモヒガンサンアリーナでラフェオン・スタッツとダニー・サバテーロがバンタム級GP準決勝&王座戦を戦う。信じられないラインナップだ。そして年末は……榊原サンとはまだ話し合い中だけれど、いくつか企画を話している。どうなるか楽しみにしていて欲しい」(※インタビュー中篇に続く)