堀口はファイターである前に格闘家だと思っている
──フライ級で注目している選手はいますか。
「注目しているフライ級選手のリストはある。けれど、企業として単独のフライ級戦を組んでいくのか、階級を設けるのかは考えなければいけない。そこをまず解決しなければいけないね。ただ、堀口の事について、ひとつだけ皆に覚えておいて欲しい事がある。あらためて言うけど、あのペティスとの試合は、堀口は勝っていたんだ。試合途中にブーイングを受けてスタンドに戻して、あのスピニングバックフィストをもらうまでは。そこで捕らえられてしまった。この競技は皆、一度そういう風に足止めを喰らう時がある。どんなに強くても、どんなに優れた選手でも。格闘技ではそういう瞬間に当たってしまう事があるんだ。それでも堀口は勝利まで本当にあとわずかだった。しかも現チャンピオンを相手に、だ。そういった事を踏まえても、私は堀口は135(バンタム級)で戦えると正直なところまだ思っているんだ。これからも練習を続けて、Bellatorのケージにすぐに戻れるよう調整しよう、と伝えたいね」
──元王者の堀口恭司選手のBellatorでの試合への敬意を感じます。
「彼の事は本当に好きだよ。いつも笑顔でいつもハッピーで、機嫌が悪かった時に会った事がない(笑)。私もダンも彼と一緒に働けるのはすごく嬉しく思っている。私にとって彼との時間は素晴らしいのだけれど、彼にとってはうまくいっていない期間かもしれない。それでも、私の彼の選手としての印象は常にポジティブだ。RIZINでも彼が135ポンドを切り拓いた。RIZINの試合前もメッセージを送ったんだ。『Bellatorがどんなものか、日本に見せてやれ』って。その後も何回かやりとりをしたよ。だから、私も堀口の為になる事はできる事をやりたいし、本当に一緒に働くのが楽しい選手の一人だ。彼は……負けると私に謝ってくるんだけど、なんだか逆に申し訳なくなるからもう謝ってほしくない。負けてプロモーターに謝る選手なんて他にいない。MMAはほんとうにタフな競技なんだ。個人的に彼の持っているエネルギーはすごく好きだし、彼が我々の最強選手のリストに名を連ねている事をとても誇りに思っているよ。
ひとつ言いたいんだけど、彼を見ていると……マーシャルアーティストと競技者でいる事は違う事だと感じるんだ。他の選手や自分の友人や格闘技を分かっている人達と話すと、彼らはその違いが分かるって言う。いいファイターが必ずしもいい格闘家なわけではない。私にとって堀口は、ファイターである前に格闘家だと思っている。格闘家はあるディシプリン(規範)のようなものに従って生きている。単なるファイターにそういうものはない。MMAに入ってくるレスラー達はそういった規律に順じてはきていないだろう。これまでの格闘技の師範たちの事を考えてみてほしい。例えばマス・オーヤマ(大山倍達)もそうだろうけど。堀口は生徒としてそういった師範(二瓶弘宇館長)についてきたと思うんだ。そして、彼もいつかそのような師範になると思う。自分も若い時に格闘技を教えていた経験があるのだけれど、それは単にファイトだけではなく、格闘家として規範があってその中で生活をしているんだ。堀口を思い浮かべるとき、彼は偉大な格闘家の見本のようだなって思うよ」