平本が、いまタイで武者修行をしている萩原京平と向き合ってどうなのか?
──「苦い夜」というのはセミ・メインの内容含めてということでしょうか。
「そうですね。まああの試合がもうすこし弾けるというか、スイングする試合になってくれれば……常にプロモーターもファンも求めるものが残酷なので、メインの試合で求められるものを、(試合経験の少ない)あの2人にメインを託して求めることが、本当は酷なんだと思います。急遽メインになったんだから、メインとしてこの大会を締めるようなスペクタクルに富むスリリングな試合内容含めて作品を作り出せよっていうことが、このキャリアの2人には──でもまあ、十分僕らが求めるものには近い答えを出してくれたというか、見せてくれたことには平本蓮選手にも怪物くんにも感謝はしたいと思います」
──メインの平本選手が勝ちに徹していた上での初勝利を掴みましたが、どう見ましたか。
「解説陣の言っていることが、多分見ている人たちも自分も思ったことですけど、MMAという“何でもあり”、あるいは総合格闘技っていう部分でいうと、打撃戦に徹した戦いになってしまった両選手が、グラウンドの展開とかグラウンドの展開を匂わせる中での打撃戦とか──あれだったらボクシンググローブつけたキックボクシングで戦った方がもう少しすっきりしたのかなっていう──、これは結果論なんで何ともアレなんですけど、もう少し、そういう総合格闘技の幅広さというかバラエティに富んだ展開が見られたらよかったかなと思いますけど、平本選手もあえてそういう戦いをしたのかもしれない。
怪物くんがもう少し1Rでグラウンドに行く展開をしてそういう局面を、3Rのなかでアクションがあっても良かったのかなと思いますけど、本当に見ている側の勝手な思いではあるんですけどね」
──鈴木選手に勝利した平本選手が先ほど、もっと試合をしていって、萩原京平選手ともやりたいと。今後の平本選手の路線をどのように考えていますか。
「そうですね……あんまり口滑らないように言わないと(笑)。どんどん、試合を組んだらいいと思います。やってくれるんだったら。やるべきだと思うし、経験積む必要があると思います。今日は、対戦相手が(ストライカーの)鈴木選手だったということも含めて、総合格闘家としての進化が、そんなに今日の試合では顕在化しなかったので。
打撃が強いのは最初から分かっているじゃないですか、それを活かすための総合のテクニックを、本当にテイクダウンを取るとかグラウンドに行くような展開を、平本蓮が見せていれば僕らも“おっ”となったかもしれないかど、相手がそういう展開に来ないことに合わせたのかもしれないし、あえて封印したのかもしれないけども、そこのところが全く未知数で見えないんで。
本当にじゃあ、いまタイで武者修行をしている萩原京平選手と向き合ってどうなのか、鈴木千裕も沖縄に来て、平良(達郎)選手が所属する道場(Theパラエストラ沖縄)でグラウンドしかやっていないくらいにして、寝技の練習を猛特訓している。そういう選手との距離が縮まったのか、縮まっていないのかが、ちょっと今日の試合だけでは見えなかった。ただ、試合はコンスタントにやって経験を積むことはいいことだと思うので、萩原選手と組むかどうかは別として、早いタイミングでマッチアップはしたいですね」