DEEP JEWELS 24
2019年6月9日(日)東京・新宿FACE
▼第10試合 DEEP JEWELS 58kg以下5分3R
◯中井りん(57.70kg/修斗道場四国)
[2R 1分56秒 TKO]
×ゲオチャイ(57.50kg/Tarnthong Gym)
中井りん(修斗道場四国)が1年4カ月ぶりに復活。2019年6月9日(日)東京・新宿FACEで開催される『DEEP JEWELS 24』のメインイベントで、ゲオチャイ・プラチャムウォン(タイ)と対戦することが発表された。中井がDEEP JEWELSに出場するのは今回が初。
中井は体操、柔道を経て2006年10月にMMAでプロデビューし、2010年11月にトーナメントで優勝してVALKYRIE(現在は消滅)女子無差別級初代王者に。2002年12月には初代バンタム級クィーン・オブ・パンクラス王座も獲得し、2014年9月からはUFCに参戦。この試合でUFC女子バンタム級2位ミーシャ・テイトに敗れるまで16連勝(1引き分けを挟む)を達成した。なお、20勝2敗1分の戦績でこれまで喫した黒星はUFCでの2戦のみ。
2016年7月からは国内に復帰。4連勝を収めたが、2018年7月の『RIZIN』前に猛暑の中で練習中に熱中症となり、急性腎炎を併発してドクターストップ。杉山しずか戦が直前で中止となり、その後も体調が回復しなかったことから戦線離脱が続いていた。
ようやく復帰戦が決まった中井は4月16日から20日までは上京し、出稽古を行っていたことをファンに報告している。だが、5月10日の自身のブログには「練習相手がいなくて困っています」との悩みを吐露。「ネットを見ると、世間の人達は私が負ければ良いと想っているんだなと想ってふさぎ込んでしまって生きてる事がつまらなくなります。こんな状況で、試合なんか出来るのかと想います」(原文のまま)と、復帰戦へ向けてナーバスになっていると思われる投稿がされていた。
しかし、前日計量では、「日本の女性が強いということをJEWELSの代表としてお見せしたいと思います」と力強く語り、宇佐美館長も「全局面で上回って相手にならないと思う」と自信を見せた。
対戦相手のゲウチャイ・プラチャムウォンはMMA戦績2勝2敗という26歳。ムエタイで65勝10敗、ボクシングで32勝12敗、レスリングで45勝28敗、母国の柔術大会でもメダルを獲得している打撃を得意とするトータルファイターだ。
MMAで喫した2つの黒星のうちひとつは、3月のDEEP JEWELSで佐藤絵実を34秒でリアネイキドチョークで下した強豪アム(スワナン・ブンソーン)戦でのもの。2014年に110ポンド(49.89kg)契約でアムと対戦したゲウチャイは、オーソドックスのアップライトの構えでアムの蹴りをスウェイでかわし、蹴り足を掴んで先にテイクダウンを奪い、相手のマウントを2度リバーサルするなどシーソーゲームを展開したが、最後は腕十字に敗れている。
また、もうひとつの黒星の相手はONE Championshipにも参戦経験のあるタロス・サム(カンボジア)で、2017年11月に同じく腕十字で一本負けを喫している。
いずれの試合もゲウチャイは、162cmの長身から繰り出す右の長い蹴りを武器に、自身のSNSでのニックネームを「Keawjai Boxingsex」としている通りの好戦的な右のパンチで相手に圧力をかけており、身長で6cm下回る中井にとっては警戒が必要な打撃を持つが、組み力では、中井に分がある。下からのリバーサルに注意しながら、しっかりと抑え込んで削りたいところだ。 前日計量後にはゲウチャイが、大学でレスリング部に所属し、ローカルタイトルも持っていることが判明。得意のムエタイにいかに融合させてくるか。
1R、ゲオチャイは右ミドルをヒット。中井もゲオチャイのミドルを掴んで右ストレートを入れる。さらに中井の左にゲオチャイは鼻を赤くする。右を振り蹴り足をつかんでテイクダウンは中井。しかし宇佐美館長の「立たせろ」の声に3度スタンドに戻す。
2R、打撃を試すように右フック、左ストレートを刺す中井。ゲオチャイも右ミドル、得意の左ハイは中井はブロック。思い切って左右のボディ打ちで入る中井。蹴り足を掴むと中井は一気にテイクダウン。ゲオチャイに足を効かさせず、サイドから中腰で鉄槌連打! レフェリーが間に入った。
試合後、中井は復帰戦に至った周囲への感謝を述べると、「これからも私が JEWELSに出て JEWELSは強いんだというふうにしていけたらと思います」とあいさつ。恒例の勝利の側転からのバック宙を2度、披露した。
試合後の会見では、今回の出来を「30点。ダメでした」辛口の自己評価。理由を「練習したことが出せなかったので」と語り、今回、数限られた実戦のなかで、ムエタイベースのファイター相手に様々な打撃にトライしていたことを明かした。同席した宇佐美館長も「あそこ(パウンド)で勝負を決めたくなかったわけです。(実戦で試したかった?)練習では100パーセントでやっていますが、試合と練習は違うということを実感しました」と課題が残ったことを挙げた。あえて1Rに打撃勝負に出ながら、2Rにテイクダウンからフィニッシュしたことについて中井は、「我慢できなかった」と反省しきりだった。