今成正和のオーバータイムの足関節をエスケープして勝利した石黒翔也(C)ゴング格闘後
2022年1月10日(月・祝)、今成柔術主催による「IRE vol.6」が無観客、ABEMA配信にて開催された。
ノーポイント&サブオンリーと掌底有りのルールで、オーバータイムでは、50/50かサドルロックを選択する「今成コンバット柔術ルール」で行われる同大会では、全6試合が決定している。
グラップリングながら、ケージの中で行われるため、ケージレスリングやスープレックスもOKで、グラウンドでも掌底が許されるなか、MMAファイターたちはいかにコンバット柔術を戦うか。
▼メインイベント 68kg(前日計量)1R7分
×今成正和(今成柔術)
[オーバータイム]
○石黒翔也(CARPE DIEM)
「足関十段」今成は、所英男、小谷直之、矢野卓見と並び“ZST四兄弟”からDEEPを主戦場とし、05年12月に初代DEEPフェザー級王座戴冠。07年2月にはCage Rage世界フェザー級王座も獲得。08年8月には梅村寛をヒールホールドで破り、DEEP初代バンタム級王者にも輝く。ONE4戦でもアームバー、ヒールフックで二つの一本勝ち。2021年6月のバンタム級ジャパンGP一回戦では瀧澤謙太に判定負けも2021年10月に春日井“寒天”たけしにアームバーで一本勝ち。2021年8月の「IRE」では、朴光哲に1分06秒、トーホールドで一本勝ちを収めている。
対するブラジリアン柔術全日本統一王者の石黒翔也は、2020年から柔術で負け知らずの強豪。柔術ではボトムからを得意とするが、このルールの今成戦でどちらを取るか。ノーギの経験は今大会のプロデューサーを務める高橋SUBMISSION雄己に勝利した2021年7月のQUINTET(ヒールフック無し)のみ。「IRE」の掌底有りのコンバット柔術ルール、押し込まれると極めが困難で、回転して逃げるのが難しいケージも初体験だが、掌底有りのルールでの相手の動きをチャンスに変えるか。
高橋SUBMISSION雄己プロデューサーは、「今成選手のグラップリングの最大の特徴はグラップリングの基本的な考え方を色々と無視して動くところ。これが今成選手の穴でもあるけど、ここに尋常じゃない極め力が加わる事で予測不能性という唯一無二の強みを生み出している。ポジションをほぼ無視の今成さんに対して、石黒選手はIBJJF系のルールを土俵に育ってきた生粋の競技柔術家、いわば“ポイントゲーマー”。
サブオンリーという土俵、またギ(道衣)の試合にヒールがない事から今回は完全に今成選手の土俵での戦いとなる。また、オーバータイムのサドンデスも足関節技の取り合いを余儀なくされるので、石黒選手としては本戦で一本勝ちを狙いたいところ。ポイントメイクの本質である、極めに至る動きが、このルールでいかに発揮されるか。ただ、そういった勝負論は置いておいても、個人的には対極の強さを持つ2人をこの特殊なルールに放り込んだら“何が起きるのか?”という点が非常に楽しみ」と語っている。(※詳報は後ほど追加)
カニバサミで倒す石黒。今成の足関節にはすぐに離れ、中央で戦う。シッティングガードをとる石黒。今成はわざと片足を差し出し、上から掌底狙い。スタンドでのイマナリロールも防御。上の石黒は今成に足をからませず、アグレッシブに左右の掌底を振りながらパスを狙う。足を抱えられても脇を掴み首を引き寄せ防御。
延長のオーバータイムは1分半、じゃんけんで勝ち、後攻を選択したのは今成。先攻の石黒は50/50を選び、ロックした足を上げて防ぐ今成がヒザを抜くのに対し、時間切れまで足をホールド。続く今成のサドルロックには石黒が立ち上がりクラッチを切って47秒でエスケープ。勝利の雄叫びをあげた。
柔術界から参戦し勝利した石黒は「TKOされたんじゃないかという夢のようです。何とか勝つことができました。今成選手というグラップリング界でトップの選手と戦えたことは生涯の宝物になりますし、これから自分のグラップリングの戦績も残して今成さんの次の人材になれるように頑張ります」と歓喜のコメント。
今成もマイクを持ち「残念ながら今成ロールでいかせられず、オーバータイムでいかされてしまったんですけど、こういう若い、強い、将来しかない選手と触れることができて最高の舞台でした。MMAでもグラップリングの選手でも強い選手がどんどん集まってほしいです。みんなでこのルールでやったらどうかなと思ってます」と、新たな強豪選手に参戦を呼び掛けた。