MMA
インタビュー

【Bellator】堀口恭司はなぜマットに倒れたのか──4R 3分24秒、モヒガン・サン・アリーナの悲劇をひもとく

2021/12/06 12:12

2022年、優勝賞金100万ドルのワールドGPでリベンジのチャンス

 スコット・コーカー代表は、堀口の失神KOのダメージと、2022年開催の優勝賞金100万ドル(約1億1千2百万円)のBellatorバンタム級ワールドGPの日程について、「ホリグチ次第」とRIZIN王者の復活を待つつもりだ。

「彼のファイターとしてのレベルを見たよね。信じられないほどのレベルの高さを。自分が思うに基本的に彼はずっと試合をコントロールし続けていて、にも関わらず捕まってしまったということだ。それはMMAにあっては起きうることで、それこそがこの競技の美しさでもある。何が言いたいかというと、速く、爆発的で、生々しい、それが人気の理由なんだ。彼は目を見張るものがあったし、あの瞬間が起きるまでの彼の姿は、私にとってはもう驚くべき、輝かしい姿そのもので、だが彼は仕留められてしまった。格闘技とはそういうものなんだよ。

 対するペティスもチャンピオンになるにふさわしい人物で、バックグラウンドもあり、諦めずに努力し、相手がどんな打撃で来ようと、いかにレッスルしてこようと、それを全て把握して仕留める、素晴らしい選手だった。

 ホリグチにとってこの試合は重要なカムバックの機会だったし、ほんとうに3ラウンドまで素晴らしかった。結果としてはKOに倒れたが、あんな決着になるというのもこの競技なら起きること。まさしくチャンピオン対チャンピオンという、次元の違うレベルの試合だった。GPはホリグチの回復次第だが、3月を見据えて行いたい。ただ、ドクターとも相談して、どうなるかだね。つまりもしサスペンション(出場停止期間)というようなことがあったら、考慮する必要があるということだ」

 この日のメインイベント前には、2022年バンタム級ワールドGPの開催が発表されており、メインのペティスと堀口を含む8選手の陣容が明らかとなっている。

 メンバーは、Bellator同級王者のセルジオ・ペティスと、RIZIN王者の堀口恭司に加え、1位のフアン・アーチュレッタ、2位のラフィオン・スタッツ、3位のパッチー・ミックス、4位のマゴメド・マゴメドフ、5位のレアンドロ・イーゴ、6位のジェームス・ギャラハーの8選手だった。

 いずれ劣らぬ強豪揃いのメンバー。あえて“黄金のバンタム”と称される同級でのGP開催を、コーカー代表は「世界中で一番優れていると示せる階級だから。GPを16人で行うことは容易だが、全選手が脅威的な、世界に示すべきトップの8人で行うことが重要だった」と語っている。

 そのワールドGPに向け、失神KOとなった堀口は、余計なダメージをもらうことなく迎えることが出来るのは、朗報だろう。

 試合後の会見で「今日の勝利以上に、最後に余分な一発を追撃しなかったことが今後、ファイターであり、マーシャルアーティストとして称賛されていくことになるのでは?」と問われた王者は、不安や恐怖を抱えて試合に臨み、「クレイジーな仕事だ」と認めつつも戦う、複雑な思いを吐露している。

「どうあれ不安にはかられるものだし、いまだに不安を抱えているけれども、それでもここで他の人間と戦ってパフォーマンスしなきゃいけない。クレイジーな仕事だと思うけれど……ただ、成長して、格闘家としての自分の人生における自分の役割みたいなことをようやく理解できているんだと思う。

 何を望んでいるかといったらそうじゃないから──つまり人を意識不明になるほどに痛めつけたいと思ったことなどないし、後々の相手の人生に影響を与えてしまうような後遺症になるほどのダメージを負わせるほど傷つけるようなことなんてしたいわけはなくて、確かにこれは残念ながら自分の仕事の一部とでもいうか、そういうものだということで──結果的に、ちょっと嘘くさい言い方になってしまうけど、彼の方がやられた結果で良かった。自分がやられるよりは──そしてそうなった。自分はここ(ケージ)を離れたらとっても優しいし、だけどさ、実際、彼だって(試合では)自分に同じことをしただろう、そういうことだよ」と、勝利を決めた瞬間を振り返った。

 この日、死線を潜り抜けた王者は、次なるワールドGPに向け、「正直なところ、もっとハードに頑張らなきゃって思っている。4Rまで堀口に圧倒されてしまっていたのだから、もっと努力が必要だ。僕は対戦相手を選ぶためにこの位置に上り詰めたわけじゃない。僕はそういう意味でのボスになったわけじゃないんだ。誰と戦うかをただ知らせてもらえばいい、事前に知らせておいてもらうなんてこともないよ」と、誰とでも戦うために、さらなる努力をすると語る。

 そして、敗者も復活を誓う。

 ケージの外に担架で運ばれながらも観客に向けて片手でガッツポーズを見せていた堀口恭司は、試合翌日にYouTubeを更新。「負けは負けでしっかり認めて、次、来年バンタム級のトーナメントがあるので、そこでしっかり優勝して、ついでにしっかりブッ飛ばそうかなと思っています」とリベンジを約束する。

 ダメージについては「自分全然元気なので、たくさんの心配のコメント、メッセージありがとうございます。ただ大の字に伸びただけで、全く問題ないんで。(右目下の絆創膏は)ちょっと縫ったくらいで全然問題ないです」と語り、最後に「応援ありがとうございました。期待に応えられなくて申し訳なかったです。また頑張ります」と再起を誓っている。

 4Rを戦い、最後にケージの中に立っていたセルジオ・ペティスとの一問一答の全文は以下の通りだ。

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